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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
日の出の塔攻略編3
291/438

281.日の出の塔13階

 ジュエリー・ナンシーの新作ジュエリーの発表のあと、

 俺はすぐに電話をかけてみたが……。


 ナンシーママは、

『自力で、同じものを作ってみせる!』

 と、張り切っていた。


 大丈夫なんだろうか? 激しく心配だ。

 まあ、どうしてもダメな時は、また手伝ってやるしか無いか。


 上手く行かなくて困るのは、りんごも同じなのだから。


----------


 そんなこんなで、

 ジュエリー・ナンシーの事はひとまず置いておいて。



 後回しになっていた『日の出の塔』攻略を再開することにした。

 パーティの時の百合恵さんの様子も気になるし、あまり後回しにしておくことも出来ない。



 ということで、土曜日の朝。

 俺、アヤ、エレナ、ヒルダで異世界へ出発した。


~~~~~~~~~~


 先ずは、いつもの通りリルラに会いに来た。


「ようリルラ」

「セ、セイジ!!」


 まるで、ずっと会えなかった恋人にでもあったような態度だ。

 先週来れなかっただけで、ずいぶん大げさだな~。



「先週は来れなかったけど、

 なにか変化は無かったか?」


 リルラの話によると、

 各地の『悪魔族の像』を破壊したおかげで、悪魔族に因る襲撃は完全になくなっているそうだ。

 やはり悪魔族たちは、あれを使ってやって来ていたんだな。



「こちらが問題なさそうでよかった。

 他に問題とかは起きてないか?」

「問題では無いのだが……」


 ん? 他に何かあるのかな?


「各街の領主どうしが会話できる、あの魔道具。

 あれを使わせて欲しいという団体があって、セイジに許可をもらいたいのだ」

「団体? どこの団体だ?」


「冒険者ギルド、商人ギルド、回復魔法師協会の3団体だ」


 なるほど、どこも情報網・・・が必要な団体だな。


「俺としては問題ないぞ」

「そうか! それは良かった。

 魔道具の料金は別途、話をしよう」


 まあ正直、金は腐るほどあるし、それ程必要ないんだけどね~。

 くれるって言うならもらっておこう。



「あと、リルラ。

 あの魔道具の名前はどうするつもりだ?」

「通常、新しい魔道具は考案者が名前を決める。

 出来ればセイジに決めて欲しいんだが」

「そうか……

 じゃあ『魔石電話』でいいか」


「『でんわ』とは、なんだ?」

「俺の国であれと似た事のできる道具だよ」


「なるほど、お前の国には、あのような道具があるのか……」


 リルラが、『私も連れて行って』という目で俺を見ているが……。

 流石に用もないのに連れて来たりしないよ?



「じゃあ、俺たちはまた日の出の塔の攻略に向かうから、

 何かあったら【双子魔石】で連絡よろしくな」


 俺たちは、逃げるように日の出の塔に向かった。


~~~~~~~~~~


「ふう、

 やっと、ダンジョン攻略を再開できるよ」



 日の出の塔13階に来てみると――。


 そこは、だだっ広い荒野が広がっていた。


「あれ? ここ塔の中なの?」


 アヤが驚き戸惑っている。


「そうみたいだ、

 まあ、下の階にも花畑とかもあったから、そんな感じのフロアなんだろうよ」

「ふーん」


 しかし、何か他の階と違う雰囲気が漂っている。


「でも兄ちゃん、この階、風が吹いているよ」


 そうか! 風か!

 他の階で広い風景が広がってても、どこか嘘っぽく感じていた。それは多分、風がなかったせいだ。

 しかし、この階には極自然に風が吹いている。

 そのことが、本当に外にいるかのような雰囲気を作り上げているのだ。


「この階は、他の階となにか違うのかもしれない。

 慎重に行動しよう」

「はーい」「「はい」」



 俺たちが、辺りを探索していると――。


「兄ちゃん、鳥が飛んでる」


 アヤに言われて上空を見てみると、

 少し大きめのカモメのような鳥が飛んでいた。


「アレ、敵なのかな?」


 【鑑定】してみると、

 『アホウドリ』という魔物らしい。


「アホウドリだって」

「アホウドリ? アホウドリってあのアホウドリ?」


「アレも魔物みたいだから、地球のアホウドリとは違うのかもな」


 俺とアヤがそんな話をしていると……。


 アホウドリが俺たちに気がついて、襲ってきた!


 アホウドリが俺にめがけて急降下してくる。

 俺は、とっさにバックステップで避けた。


ボテ。


「あ」


 アホウドリは、地面に激突して転んだ。


バタバタ。


 アホウドリは、コミカルな動きで何とか起き上がり、

 よたよたと歩いて逃げようとする。


 俺が、逃げようとするアホウドリを白帯刀でやっつけようとすると――。


「兄ちゃん、待って!」


 アヤが急に俺を止めた。


「アヤ、どうしたんだ?」


「だって、かわいそうだよ」

「かわいそう? だって魔物だぞ?」

「でも……」


 アホウドリを見てみると、

 よたよたと、一所懸命に歩いて逃げようとしている。


 おそらく、一度地面に着地してしまうと簡単には飛び立てないのだろう。



「でも、逃したらまた襲ってくるかもしれないぞ?」

「その時は、私がなんとかするから!」


 まあいいか、アヤに任せてみよう。


「よし、アヤ、なんとかしてみせろ。

 もしダメだったら、俺がやっつけるからな」

「うん!」



 しばらく進むと、別のアホウドリがまた襲ってきた。


「アヤ、来たぞ」

「わかってる!」


 アヤは、風の魔法を使ってアホウドリを追い払おうとしている。


「この! てや! ナニクソ!」


 アヤの風はアホウドリにあたっているのだが、

 流石に鳥だけのことはある、

 なんとか空中で体勢を持ち直してしまうのだ。


「どうしたアヤ、全然なんとかなってないぞ」

「だって……」


「あいつらは、地面に落ちれば動けなくなるんだから、

 風を下に向けて吹かせたらいいんじゃないのか?」

「そうか! やってみる」


 アヤが、下向きの風を発生させると、

 アホウドリは、急に揚力を失い、地面に落ちてしまった。


「やったか?」


 アホウドリは、死んではいないらしく、

 なんとか立ち上がり、トコトコと逃げていった。


「やった! 下向きの突風、大成功!」

「下向きの突風か、『ダウンバースト』だな」


「『ダウンバースト』なにそれ、かっこいい!」



 アヤは『ダウンバースト』が気に入ったらしく、

 その後大量に攻めてきたアホウドリを『ダウンバースト』で蹴散らしていった。


「ぐははは! 私のダウンバーストを喰らえ!!」


 アヤは、ノリノリである。

 可哀想だから、追い払うだけにするんじゃなかったのかよ!



 その後、アヤの大活躍のおかげで、難なくその階を攻略することが出来、

 上に登る階段を見つけることが出来た。


ご感想お待ちしております。

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