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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
ナンシー来日編
290/438

280.ナンシーママの策略

 俺は、ナンシーママとりんごがデザインしたアクセサリーを、苦労して完成させた。


 出来上がった3つのアクセサリーを見てみると、かなり凄い出来だ。

 デザインしてくれたりんごや、コレを受け取るナンシーやめぐみちゃんの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。

 ナンシーママ? まあ、ついでだ。


~~~~~~~~~~


 翌日の仕事帰り、さっそくりんごに連絡して、一緒にナンシーとママさんに見せに行った。

 めぐみちゃんへは社長から連絡をしてもらって、ナンシーのところで待ち合わせだ。


「セイジ、りんごいらっしゃい」

「いらっしゃい」


 ナンシーとナンシーママが出迎えてくれた。

 ナンシーママもアクセサリーの出来上がりを待ちわびてくれていたみたいだ。


 社長とめぐみちゃんも、すぐ後にやって来た。



「さーて、みんな集まったところで」


 俺は、3つのそれっぽい木箱を取り出し、テーブルに並べ、それぞれフタを取った。


「ふわーー!!」


 真っ先にりんごが感嘆の声を上げた。


 りんごは、はあはあと息を荒げながら、木箱の中のアクセサリーを一つ一つ穴が空くほど確認しまくり、最後に3つを並べ、うっとり眺めている。


 あれだけ苦労して完成させたんだ、りんごが喜んでくれているみたいでよかった。


 ところが、徐々にりんごの目の焦点が合わなくなり、ふらふらと俺の方に倒れこんできた。


「りんご、どうした? 大丈夫か?」

「あん…あんまり、だ、だいじょうぶじゃないれす。

 わたし、うれしくて、うれしくて……」


 アクセサリーの出来に喜んでくれているのだろうけど……。

 ものを作る喜びとかなのだろうか? 感極まるとか、そういった感情が突き抜けちゃったのかな?


「わたしのデらインした、アクセサリーが…こんなに美しく……

 わらし…もう……らめ……」


 りんごは、俺の腕の中で、俺のことを見つめながら、

 恍惚の表情をうかべ、体をビクンビクンと痙攣させて、気を失ってしまった。


 これ、大丈夫なんだろうか?



 ナンシーは、青いネックレスを受け取り、大はしゃぎだ。


 めぐみちゃんは、ピンク色のブローチを社長に付けてもらい、うっとりしている。



 ナンシーママは、というと……。



 あれ? ナンシーママがさっきから動いていない。

 どうしたんだろう。


「うそ…。

 うそよ……。

 こんなアクセサリーありえない……」


 ナンシーママは、ワナワナと震えながらブツブツつぶやいている。


「ママさん、どうしました?」


「ありえないのよ……」


 うーむ、やっぱりちょっとやりすぎたか?

 今回は、りんご、ナンシー、めぐみちゃんの喜ぶ顔が見たくて、ちょっと張り切り過ぎちゃったんだよね~。

 だが、後悔はしていない(キリッ!)



 そこからナンシーママは、マシンガンのように喋り始めた。


「まず、こんな短期間につくり上げるなんてどう考えても不可能!

 そして、この金属。 なにこれ? 銀?? いいえ、違う、銀はこんなに強度がない。 しかも、銀より美しい輝き。 本当にこの金属は何なの!!!

 あと、この宝石。 私が渡したのは『ヌルポ石』だったはず。

 あの石は美しいけど加工が難しくて、扱いに困っていたものだったのよ! なのに、昨日の今日で……」


 そんなもんを使わせたのか!


「そして、このデザイン……

 あの時、私はだいぶ酔っ払っていて……

 まさか、こんなデザインを……」


 うそん……。

 ちゃんと、デザインしたものじゃなかったのかよ!


「うそよ……。

 うそ、うそ……。

 ……こんな屈辱はないわ!

 ……なんで……私……。

 他人の作ったアクセサリーに、心を奪われているの!!

 く、くやしい………

 で、でも……」


 そしてナンシーママは、人目を気にせず……。

 わんわん泣き始めてしまった。


「ちょ、ママ、どうしたの!?」


 ナンシーママは、ナンシーに寄り添われて寝室へ行ってしまった。


 りんごは恍惚の表情で気を失ってしまっているし、

 めぐみちゃんも、自分のブローチをいじりながら、心ここにあらずという感じでうっとりしているし……。


 どうしてこうなった。

 俺はただ、みんなに喜んで欲しくて、つい。



 結局その日はお開きとなり、気を失ってしまっているりんごは、俺がお持ち帰りした。


~~~~~~~~~~


 それから数日たった、その週の金曜日の夜……。


「兄ちゃん、ナンシーのママがテレビに出てるよ~」

「なに!?」


 テレビを見てみると、ナンシーママがレポーターに囲まれていた。


 『これより、ジュエリー・ナンシー代表のジェニファー・アンダーソンさんより、新作ジュエリーの発表があります』


 なんだと!?

 なんか、いやーな予感がする……。



 どうやら嫌な予感は的中したらしく、

 俺がナンシーママ用に作ったティアラが奥から仰々しく運ばれてきた。


 『まあ! なんて素晴らしいティアラなんでしょう!!

  この世のものとは思えない程の素晴らしさです!!!』


 レポーターの女性も大絶賛している。


 『しかしジェニファーさん、これまでのジュエリー・ナンシーとだいぶ雰囲気の違うデザインですが、どのような意図なのですか?』

 『この素晴らしいティアラは、私のデザインではありません』

 『なんですって!!』

 『今夜は、ジュエリー・ナンシーの新しいデザイナーをご紹介します』


 おい、まさか……。


 レポーター陣がざわめく中、

 りんごが、ものすごく緊張した面持ちで登場しやがった!!

 てか、りんご……、緊張しすぎて手と足が同時に出ているぞ!


 『こ、こ、こ、こんにちは……

  さ、さ、さ、佐藤りんごでしゅ…』


 りんご、緊張しすぎだ!!



 『佐藤さんはずいぶんお若いですが、お幾つなのですか?』

 『じゅ、19歳でです。専門学校に通っていましゅ』

 『佐藤さん、世界的に有名なジュエリー・ナンシーのデザイナーに抜擢されたご感想は?』

 『が、が、がんばりますです!』


 なんか大変なことになってしまっているようだ。



 ナンシーママは、いったんりんごを少し下がらせて、説明を始めた。


 『実は、このティアラは、単体ものではなく、

  ティアラ、ネックレス、ブローチの3作品の1つなんです

  それでは、他の2作品もご紹介しましょう』


 ナンシーママが合図を送ると、

 ネックレスをつけたナンシーと、

 ブローチをつけためぐみちゃんが登場した。


 なぜ、めぐみちゃんまで!



 『日本は、日出ずる国と言われている海に囲まれた国、

  そして、私はこの国に来て、この国の人々のまごころを感じました。

  それにちなんで、この3つのアクセサリーは……

  赤い宝石のティアラは【太陽】。

  青い宝石のネックレスは【海】。

  そして、ピンクの宝石のブローチを【心】と命名しました』


わーーーー!!


 レポーターたちの割れんばかりの拍手が鳴り響いた。


 流石はナンシーママ、やり手だ。



 『ところで、ネックレスとブローチをつけている、こちらのお二人は?』

 『ネックレスをつけているのは、私の娘のナンシーです。

 ナンシーは、この度開店するジュエリーナンシー日本店の店長を務めることになりました』


 『ナンシーです、日本の皆様、よろしくお願いします』



 『そして、ブローチを付けてくれているのは、

  今回、ジュエリー・ナンシーの専属モデルをしてもらうことになりました、八千代めぐみちゃんです』


 めぐみちゃんは、レポーター陣に向かってニッコリ微笑んだ。


 マジか!


ご感想お待ちしております。

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