266.富士山と京都観光
新幹線は、ものすごい速度で進んでいた。
「セイジ様、【フジャマ山】が見えてきました!!」
「富士山だろ」
「そうでした!」
「Oh! フジヤマ! 美しい!」
みんな大喜びだ。
梅雨の真っ最中だというのに、晴れてよかった。
「セイジ、やっぱり富士山に登ってみたいよ。
何とかならない?」
「ちょうど今日、富士山の山梨県側の山開きがあったはずだけど……
まだ雪が多くて登るのは大変かもよ」
「そうか~
いつか登ってみたいな~」
ナンシーはけっこう冒険家なんだな。
まあ、一人で世界一周旅行に行っちゃうくらいだしね。
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車内販売で、飲み物やお菓子を買って楽しく過ごしていると―
お昼の時間が近づいてきた時、京都駅に到着した。
「セイジ、おなか減ったよ」
「さっきまでお菓子を食べてたのに?」
「お菓子は別腹さ!」
うーむ、順序が逆な気がするが……
まあいいか。
俺たちは、京都駅の近くの天ぷら屋に入った。
「Oh! テンプーラ!」
ナンシーは、ソレばっかりだな。
美味しい天ぷらをいただきながら、『追跡用ビーコン』を仕掛けたマフィア達を見てみると―
やっとみんな起きだしたらしく、大混乱状態だった。
『何故、全員寝てしまっていたんだ!?』
『そう言うお前だって寝ていただろ!』
『これは敵の攻撃なのか!?』
『誰か敵の姿を見たものはいないのか?』
『……』
どうやら、マフィアたちに俺の姿は見られていないみたいだ。
『しかし、どうする。
失敗を報告したら、殺されるぞ』
殺されるのかよ! 怖えーな。
とりあえず、監視は続けておこう。
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天ぷら屋を後にした俺たちは、
『レンタル着物店』に来ていた。
「これ全部、どれでも着ていいのかい?
どれにしようかな~
迷っちゃうな~」
女の子たちが着物を選んでいる最中、
俺は、適当に選んだ着物に着替え終わってしまっていて、延々待たされることになってしまった。
まあいいけど。
やっと着替え終わった俺たちは、
『人力車』に乗せてもらって『金閣寺』に向かった。
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「ゴールド・テンプル!!」
「金閣寺ね」
「キンカクシ?」
「キンカクジ!」
ナンシーたちは、着物姿でおしとやかに金閣寺を見物している。
「すごい! あれだけ金があったらアクセサリーがたくさん作れそうだね」
ナンシー、金閣寺は全部金で出来てるんじゃなくて、金箔なんだけど……
まあ、夢を壊さないでおこう。
その後、色々回ったり、お茶をしたりして、京都を満喫した後、
俺たちは、着物を返却してから、今日泊まるホテルへ向かった。
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部長が用意してくれたホテルは、池の畔に立つ、超豪華なホテルだった。
俺がチェックインをしようとしていると―
アヤから電話がかかってきた。
「短大終わったよー、迎えに来て」
「はいよ」
ナンシーたちに待っててもらって、ホテルの外に行き、人気のないところから【瞬間移動】でアヤを迎えに行った。
「兄ちゃん、お迎えご苦労」
なんでお前はそんなに偉そうなんだ。
「ナンシー、来たよ」
「アヤ、京都まで一人で来たの? 凄いね」
「ま、まあね」
まあ、アヤはホテルで一泊するだけで、朝にはまた東京に帰るんだけどね。
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京都のホテルも、スイートルームだった。
そして、眺めが最高だ!
「兄ちゃん、このスイートルーム、露天風呂が付いてるよ!」
「いいね! ナンシーを誘って入ってこいよ!」
「覗くつもりでしょ!」
「するか!」
アヤたちは、みんなで露天風呂でキャッキャウフフしている。
いや別に、覗こうなんてこれっぽっちも考えてないんだからね!! 本当だよ?
なんかイライラ?するので、
マフィアたちの様子を見てみた。
すると、マフィアたちは……
『ひぎぃ!!』
なんか、ハゲたマッチョたちに硬そうな棒でメッタメタにぶっ叩かれていた。
『あれほど失敗するなと言っておいただろう!!
にも関わらず、全員眠っていただと!』
ボスらしき奴が、殴られている奴らに説教をしている。
ボスは二人の女性を侍らせ、葉巻をくゆらせながら、
ヤバそうな雰囲気を醸し出していた。
『す、ずみまぜん!
しかし、何かしらの工作を受けたんです。
本当です!』
マフィアたちは、それから暫く、棒で殴られ続けていた。
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「兄ちゃん、上がったよ~」
アヤたちが風呂から上がった時には、
夕食が運び込まれ、綺麗に並べられていた。
「うわー! 美味しそう!!」
『懐石料理』というやつだ。
しかし、色合いやら、盛り付けやらが素晴らしい。
もう芸術品と言っていいほどだ。
美味しい夕飯を食べた後、女子たちはまた露天風呂に浸かりに行ってしまった。
そんなに何度も入ってると、ふやけちゃうぞ。
それに、俺が入るタイミングが無いんですけど……
その日は、みんなはしゃぎすぎて疲れていたらしく、
早めに寝ることにした。
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俺は、少し仮眠をした後、夜の2時頃に起きだし、
また忍者に変身して、出かけることにした。
今度の目的地は―
『富士山』だ。
新幹線で通った『東海道』の中で、一番富士山に近い場所に【瞬間移動】で飛び。
そこから【電光石火】で富士山の頂上を目指すのだ。
もちろん、誰にも気づかれないように【夜陰】も使う。
足場が不安定な場所は【土の魔法】、
雪が積もっている場所は【氷の魔法】、
あとは【夜陰】、【肉体強化】、【風の魔法】、【電光石火】などを駆使して、富士山を登り続け―
2時間ほどで、富士山頂に到着した。
「よし、帰るか」
初登頂の余韻を味わう余裕もなく、俺はすぐにホテルへ戻った。
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ホテルに戻ると、朝の4時だった。
女子たちの寝室のドアをノックすると―
「セイジ様、おはようございます」
エレナが作戦通り、起きてきていた。
「ナンシーは寝てるか?」
「はい」
俺は、ナンシーを起こさないように
アヤとヒルダに、【起床】の魔法をかけて起こした。
「兄ちゃん、おはよう」
「セイジお兄ちゃん、おはようございます」
そう、ナンシー以外の3人には、寝起きドッキリの作戦を事前に話しておいたのだ。
俺は、ナンシーを布団でぐるぐる巻きにして、お姫様抱っこをした。
アヤたちも厚手のコートを羽織ったりして準備万端だ。
「よし、みんなつかまって」
アヤたちがつかまったのを確認して、
俺は、『富士山頂』に【瞬間移動】で飛んだ。
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「ナンシー、起きてごらん」
「……うーん、あれー、なんでセイジが私の部屋に??」
「ほら、ナンシー、朝日が登るよ」
「え??」
布団にくるまれ、顔だけ出しているナンシーが光り差す方を見ると……
富士山頂の眼下に広がる雲海の向こうから、朝日が登ってきた。
「あ、あ、あ……」
ナンシーは、あまりの光景にそれ以上声が出なかった。
暫くの間、その美しい日の出を見ていたナンシーは……
「ここは何処?」
「ここは、富士山の山頂だよ」
「うそ…… 私、夢を見ているの?」
「そうだよ、ナンシーは夢を見ているんだよ。
でも、この綺麗な景色をしっかり覚えておいてね」
「うん」
ナンシーは、その景色を見ながら……
涙を流していた……
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「ふわ~」
「ナンシーおはよう」
ナンシーは、ホテルのベッドで目を覚ました。
「あれ? 富士山は?」
「何を言っているんだい? 夢でも見たのか?」
「夢…… そうだよね……
私、富士山の頂上で、朝日が登る夢を見たよ」
「それはいい夢を見たね」
俺は、ナンシーの頭をなでなでしてあげた。
もちろん、あれは夢じゃなくて、
もう一度【睡眠】の魔法でナンシーを寝かしつけて、ホテルに帰ってきただけだけどね~
「ところで、なんでセイジがこの部屋に居るのかな?」
「あ!」
しまった!
ナンシーをベッドに戻した途端に起きちゃったから、流れでそのままにしてたけど……
「寝起きを襲うなんて、セイジはけっこう積極的なんだな」
ナンシーは、そう言って、
俺のほっぺに、おはようのチューをした。
今回は、書き上げるのに時間がかかってしまった。
ご感想お待ちしております。




