249.トキの街
俺たちは、王都に来ていた。
アヤたちにはここで待機してもらっておいて、
俺一人で『トキの街』まで走る予定だ。
「ついでだから、王様に会っていくか?」
「はい!」
----------
「よう、王様」
「セイジ!
あ、エレナも来ておったか!」
「今日こそは金を払ってもらうぞ」
まあ、今日はそんな用事じゃないんだけど、
こいつは、何度も催促しないと忘れちゃいそうだしね。
「ぐぬぬ」
そのセリフは、おっさんが言っても可愛くないぞ。
「先週の魔族との戦いで色々被害が出て、
復興予算で大変なんだ、そんな金の余裕など無い」
「ああ、そうか。
じゃあ、エレナを俺に売り渡すということか。
仕方ない、ああ、仕方ない」
「ま、待て!」
「いつまで待たせるつもりだ?」
などと、いつものやり取りをして、王様をいたぶって遊ぶのは楽しいな。
まあ最悪、物納でも許してやらんことはないんだけどね。
王家に代々伝わる伝説の聖剣とかあるんだろ?
エレナが、自分から帰りたいと言い出すまでは、このネタで引っ張るとしよう。
「ところで王様、
借金で首がまわらない落ち目のあんたに、いいものをやろう」
「なんだ!?」
俺は、エレナとヒルダの写真集を王様に渡してやった。
「なんじゃこりゃー!!」
王様は、写真集を見てひっくり返りそうになっていた。
「どうだ、いい出来だろう?」
「こここ、これは、一体何なのだ!?
この、本物そっくりの絵。
この、しっかりとした本の作り。
この、素晴らしいエレナの……」
王様は、素晴らしいエレナの姿に見とれて、言葉が出なくなってしまっていた。
「その超豪華な写真集セットが、
たったの1万ゴールドポッキリ!!
しかも、それだけではありません!
今ならなんと!
もう一冊ずつ付けて、2冊ずつのセットで、
お値段据え置き!!」
「買った!!!!!」
おい、王様。
復興予算で金が無いんじゃなかったのかよ!
~~~~~~~~~~
アヤたちをエレナの部屋に待機させて。
俺は、王都から【電光石火】で南下して、トキの街へ向かっていた。
しばらく走ると、潮の香りが……
そして、さらに走ると、左に海が見えてきた。
この世界にも海があったのか。
海岸沿いをさらに進むと、
やっとトキの街が見えてきた。
----------
アヤたちを呼び寄せ、みんなでトキの街へ。
「海だー!」
アヤは、海を見た途端、ハイテンションになって騒ぎまくっている。
年下のエレナもヒルダも大人しくしているのに、
一番年上のはずのアヤが一番子供だな。
トキの街は港町だけあって、魚関係の食べ物などが多く売られていた。
買い食いをしたがるアヤをなんとか宥めて、
占いができるという人物を探した。
『占い師』の名前とか居場所とかが分かってれば早かったんだけど、レイチェルさんもそこまでは知らなかったそうなので仕方ない。
綿密な調査の結果―
『占い師』の正体は―
トキの街の領主の『エクセター』という人物であることが分かった。
領主だったんなら、リルラからの連絡が来た時に占いをして教えてくれればよかったのに!!
----------
そんなわけで俺達は、トキの街の領主『エクセター』の館にやってきた。
「すいません、領主様にお会いしたいのですが、取次をお願いします」
俺が、門番にそう告げると―
「そんな話は聞いておらん!
領主様にお会いしたくば、事前に許可をとってから来い!」
と、怒鳴られてしまった。
「えーと、こちらのお方は、エレナ姫様なのですが、
それでもダメですか?」
「そんな話も聞いておらん!!
嘘をもうすでないわ!!!」
激おこである……
「どうしましょう……」
エレナがエレナであることを証明する物など持ってないし……
あ、あの人に頼もう。
----------
アヤたちに待っててもらって、
俺はリルラのところへ飛んだ。
「リルラ、戻ったぞ」
「お、おかえりなさい……」
リルラの奴なに赤くなってるんだ?
まあいいや。
「リルラ、また頼みがあるんだが、いいか?」
「なんだ、なんでも言ってくれ」
リルラのやつ、頼みごとを断れないタイプなのかな?
「トキの街の『エクセター』という人物に会いたいのだが、門前払いを食らってしまってな。
取次をお願いできないか?」
「ん? 『エクセター』?
あいつに何の用事なのだ?」
「なんか占いが出来るらしいじゃないか。
例の件で、どうしても情報が得られないから占ってもらおうと思ってな」
「なるほど……
連絡してみる」
しばらくしてリルラは、ちょっと怒り気味で戻ってきた。
「連絡は入れた。
たぶん会ってはくれるだろう」
ん? なんか含みのある言い回しだな。
「それじゃあ行ってくる」
「 」
~~~~~~~~~~
「リルラに頼んでアポを取ってもらった。
しばらく門番のところで待っておこう」
「兄ちゃん、あの人怖いから、他で遊んでてもいい?」
「ダメ!」
お前は子供か!
怖い門番に睨まれながらしばらく待っていると、
中から使用人が出てきて門番に耳打ちをした。
「領主様からのお許しが出た。
さっさと入れ」
ちゃんとアポを取ったのに、横柄な態度だな。
----------
俺たちは、屋敷の応接間に通された。
「これはこれはエレナ様、この度はどのようなご用向きで?」
出てきたのは、初老の魔法使い風の男だった。
こいつが『エクセター』か。
とりあえず【鑑定】しておくか。
┌─<ステータス>─
│名前:エクセター
│職業:領主
│
│レベル:13
│HP:234
│MP:302
│
│力:15 耐久:20
│技:18 魔力:27
│
│スキル
│ 時空1
│ └占い
└─────────
┌─<時空魔法>──
│【占い】(レア度:★★★★)
│ ・迷いごとなどの解決方法を指し示す
└─────────
この人ステータスは低いけど、本物だ!
【時空魔法】を持ってる人なんて、俺以外で始めて見たよ。
しかし、時空魔法のレベルが1なのに、レア度★★★★の魔法が使えるのって、なんかアンバランスだな。
何かズルでもしたのかな?
俺が【鑑定】をしている間に、エレナは百合恵さんの事を話し、『占い』をお願いしていた。
「エレナ様の頼みでも、それはできませんな」
こいつ、エレナの頼みを断りやがった!
「何故ですか?」
エレナは、冷静に食い下がる。
「『占い』を行うためには、特殊な魔石を消費します。
その魔石は、とても貴重なため、
どこの馬の骨ともわからぬ娘のために、大事な魔石を使うわけには行きません」
「そこをなんとか!」
なおも食い下がるエレナ。
「私の『占い』は国政に関わる重大な事を見るためにあります。
エレナ様の頼みでも、こればかりは聞けません」
諦めるしかないのか?
「ですが……」
お? 逆説の接続詞きた!
「この街を苦しめている『トキ』を討伐してくれれば、考えてもいいですよ」
はぁ!?
『トキ』を討伐するだぁ!??
「すいません、エクセター様、
『トキ』とは何者ですか?」
「『トキ』とは、この街の名前のもととなった魔物で、この街の近くの『トキの森』に住んでいます。
この街から、討伐隊を何回も送っているのですが、被害者が増える一方で、手を焼いています。
まあ、無理かとは思いますが、
もし討伐に成功した暁には、『占い』をやって差し上げてもいいですよ?」
こいつ、無理難題を押し付けて諦めさせるつもりだな。
まあ、いい。
その『トキ』とかいう、日本を象徴する鳥『ニッポニア・ニッポン』と同じ名前の魔物も見てみたいし、
ちょっくら行ってみるか!
ご感想お待ちしております。




