246.部屋いっぱいの……
今日は会社帰りに、家電量販店に来ていた。
「兄ちゃん! 遅い~」
「ごめんごめん、帰り際に部長に呼び止められちゃって」
アヤはぷんすかしているが、
エレナとヒルダは、嬉しそうに手を振っている。
今日は、待ち合わせをしてエレナとヒルダのスマフォを買いに来たのだ。
百合恵さんも、それほど差し迫った問題があるわけでもないし
たまにはいいよね。
「『すまほ』楽しみです!」
「早く『でんわ』してみたいです!」
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ウキウキ気分のエレナとヒルダを引率して、
俺たちは、スマフォ売り場にやって来た。
エレナとヒルダは、スマフォ売り場のお姉さんに、いろいろと教わっている。
二人ともスマフォのことをちゃんと理解できるのだろうか?
結局二人が選んだスマフォは―
エレナが白いスマフォで、
ヒルダが赤いスマフォだった。
二人に理由を聞いてみると―
「「可愛いから」」
だそうだ………
そして、ここからが俺とアヤの出番だ!
エレナとヒルダは携帯を契約出来ないので、
俺とアヤが、それぞれの2台目として契約をするのだ。
エレナのスマフォを俺が、ヒルダのスマフォをアヤが契約をすませた。
もちろん、料金はアヤのも含めて全て俺が払うんだけどね。
「これでセイジ様と『でんわ』が出来るんですね!」
エレナとヒルダはスマフォを手に入れて大喜びだ。
「俺だけじゃないぞ、アヤ、舞衣さん、百合恵さん、りんごにも電話できるし、
電話だけじゃなくて他にも……」
「私に使いこなせるでしょうか?」
いきなり使いこなすのは流石に無理か……
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俺たちは家に戻り、スマフォ使い方教室を開催した。
「先ずは、電話の使い方からやります」
「「はい」」
生徒はエレナとヒルダ、
俺は先生で、アヤが助手だ。
先ずは、電話帳登録だけ俺がやってあげた。
この辺は、いきなりは難しいからね。
「ではエレナ君、俺に電話をかけてみてください」
「はい! がんばります!」
エレナは、頑張って俺に電話をかけようとしている。
「えーっと、ここをこうやって……
つぎに、ここを……」
プルルル~!
「きゃっ!」
俺のスマフォが鳴り出し、エレナがびっくりしている。
君がかけてきたんだよ?
「はい、この通り、エレナから電話がかかってくると、俺のスマフォが音を出して知らせてくれます。
そして、俺が電話にでると~
もしもし~」
「あ、そうでした。
でんわをかけたら『もしもし』と挨拶するんでした!
もしもしー!!」
「エレナ。
電話なんだから、スマフォに向かってもしもしって言わないとダメだろ」
「そ、そうでした……
ごめんなさい……」
エレナは、恐る恐るスマフォを耳に持っていく。
「もしもし、エレナ君ですか?」
「ひゃい!」
俺がスマフォに向かって喋ると、エレナがびっくりしている。
「聞こえました! セイジ様の声が聞こえました!」
「だから~
スマフォに向かってしゃべらないと……」
「そ、そうでした……」
うーむ、先が思いやられる……
「では、今度はヒルダ。やってみようか」
「は、はい!」
「ヒルダは、アヤにかけてみてごらん」
「はい! がんばります!」
ヒルダは、真剣な表情でスマフォを操作している。
エレナは、小声で『がんばって』とささやいて応援していた。
プルルル~!
今度は、アヤのフマフォが鳴り出した。
「もしもし、アヤです」
「も、もしもし、わ、私はヒルダと申します。
よ、よろしくお願いします」
「ヒルダちゃんですか、
ヒルダちゃんはお元気ですか?」
「はい、元気です!」
あなた達……
なぜ、そんなコントみたいな会話をしているんですか?
まあ、でも、ちゃんと電話は出来たみたいだ。
「ヒルダ、すごいぞ。
ちゃんと電話をかけられたな」
「えへへ~」
ヒルダは、よほど嬉しかったのか、
顔がデレデレになっている。
「それじゃあ、電話を終わるときはどうするんだっけ?」
「そ、そうでした。
終わる時のもあるんでした。
えーと、えーと……」
「先ずは、今電話をかけているアヤにお別れの挨拶をして」
「そ、そうでした!
アヤさん、さようなら」
「はい、さようなら」
電話を終わるときに『さようなら』って!
まあ、いいか……
「それで、えーと、えーと」
どうやら、ヒルダは通話を終了する時の操作を忘れてしまったみたいだ。
しかたない、助け舟を出してやるか。
「ほら、ここだよ」
「あ、そうでした!」
ポチッ
ヒルダは、通話終了のボタンを力を込めて押した。
そんなに力を入れなくてもいいのに。
「で、できました!」
「よーし、ヒルダ。偉いぞ!」
ヒルダの頭をなでなでしてやると、
満面の笑みを浮かべていた。
「セイジ様、私ももう一回やらせて下さい」
エレナも名誉挽回とばかりに、名乗り出る。
「よーし、じゃあ俺は家の外に出るから。
それでやってみよう」
「は、はい!」
結局、エレナとヒルダそれぞれ20回ずつ電話の練習を行い、なんとか電話をかけることが出来るようになった。
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「続いては、写真のとり方をやります」
「『しゃしん』ですか?」
質問してきたのは、ヒルダだけだった。
エレナは写真の事はもう知っているみたいだな。
「先ずは、俺がやってみせます」
パシャッ!
俺は、自分のスマフォでエレナとヒルダの写真を撮った。
「光って、何か音がしました!」
室内だからフラッシュが焚かれただけです。
音は盗撮防止に必ずなるようになっております。
「ほら、見てごらん」
俺は、今とった写真を、二人に見せた。
「あ、私とエレナお姉ちゃんがスマフォの中に!」
「これが、写真。
その時見えているものを、とって置くことが出来るんだ」
「すごいです!」
「そして!!」
俺は、インベントリから、とあるものを取り出した。
「兄ちゃん、それ何?」
「ジャジャーン!
これは、【プリンター】だ!」
「「おおー」」
アヤは、分かったうえで拍手をしていたが、
エレナとヒルダは、釣られて拍手している。
俺は、【プリンター】をセッティングし、
さっきとったエレナとヒルダの写真を、印刷してみせた。
「すごいです!!」
エレナとヒルダは、二人で写真を覗き込んで大喜びしている。
やっぱり、スマフォだけじゃなくて、印刷した写真があると楽しいよな。
その後、エレナとヒルダはものすごく真剣に写真のとり方を覚え。
プリンターでの印刷の仕方もマスターしてしまった。
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翌日、俺が仕事から帰ってくると―
エレナとヒルダが撮りまくって、
印刷しまくった写真が―
部屋中に、大量に撒き散らされていた……
君たち、写真撮りすぎ……
ご感想お待ちしております。




