229.竜人族の村
ガドルたちについて行くと、断崖絶壁だった。
「ここを登る。
人族には無理だろうから待っていてくれ、手伝いの者を呼んでくる」
そう言って、ガドルたちは崖を登っていく。
普通の人じゃ登れそうにないな。
まあ、俺は登るけど。
「ふぁ!?
なぜ登れる! お前は竜人族だったのか?」
「まあいいじゃん、わざわざ手伝いの人を連れてくるのも面倒だろ?」
「あ、ああ……」
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崖を登ると、村があった。
「ラエ『ガドル』、ヒユキッチニ。
!?
エスワハユテヒダロダ!」
街の入口を守っていた兵士が、よく分からない言葉で話している。
【言語習得】を使ってみると―
【竜人族語】だそうだ。
【竜人族語】には文字が無いそうなので、
レベル3の【竜人族語】を習得しておいた。
『この村に竜人族以外を連れてくることが御法度な事くらい、お前も知っているだろ!』
『この者は、俺と妹を悪魔族から救ってくれた。
しかも、村の宝である【竜人の槍】の呪いを解いて、返してくれたのだ』
ガドルはそういうと、【竜人の槍】を兵士に見せた。
『これは確かに【竜人の槍】
呪われて処分されたと聞いたが……
ちょっと待て、長老様を起こしてくる』
なんか大事になって来ちゃったな~
眠いから早く寝たいんだけどな~
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しばらくすると、お爺さんが出てきた。
この人が長老様なのだろう。
『ようこそ居らっしゃいました。人族の方』
長老様は【竜人族語】で話しかけてきた。
ガドルに通訳してもらうつもりなのだろう。
人族の言葉である【ドレアドス共通語】を話せる人は、この村にはガドルとハルバ以外にあまりいないのかもしれないな。
わざわざ通訳してもらうのも面倒くさいから【竜人族語】で返事しちゃえ。
『こんな夜遅くにおじゃまして、申し訳ない』
『セイジ! お前、【竜人族語】が話せるのか?』
『まあね』
『分かった、【魔石】だろう?
そういった魔石があると聞いたことがある』
『だいたいそんな感じ…かな』
俺が【竜人族語】を話せると分かった途端、兵士や長老様の態度が急に軟化した。
やっぱり言葉が話せると言うのは、重要な事なんだな~
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俺は、長老様の家に招待されることとなった。
村の中は、木で建てた家が点在していたが、
注目すべきは、その高低差だ。
村の中を移動するのに、崖を登る必要があるのだ。
そりゃあ、こんな村に住んでたら、ジャンプ力が鍛えられるわけだ。
俺、ガドル、ハルバと、長老様は、
月明かりの中、ぴょんぴょんと崖を登っていった。
「セイジ殿は、人族なのに、竜人族のように身軽ですな」
そういう長老様も、けっこうなお年なのに、ひょいひょいと崖を登っていく。
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長老様の家は、村の一番高い場所にあった。
「粗茶ですが」
長老様のお孫さんがお茶を出してくれた。
苦い……
どくだみ茶みたいな感じだ。
「竜人の槍の呪いを解いてくださったそうで、
なんとお礼をしたらいいか。
なにもない所ですが、ゆっくりしていって下さい」
「いえ、
夜も遅いので、用事だけ済ませたらすぐに帰りますよ」
「用事とは?」
「人探しです。
2ヶ月ほど前に、ニッポの街を北に向かった魔法使い風の人族を探しています。
竜人族の方々でその人を見た人がいないか聞いていただけませんか?」
「なるほど、人探しですか、
朝が明けたら村の者達に聞いてみます」
「ありがとうございます。
では、私はいったん戻って、明日の昼頃にもう一度来ます」
俺は、どくだみ茶を飲み干してから、いったんニッポの街に戻った。
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ニッポの街に戻ってから気がついたけど、
俺は、どこに泊まればいいんだ?
アヤたちは、ロンドの屋敷の客用の寝室で寝ていた。
アヤと舞衣さん、エレナとヒルダでそれぞれ二人一部屋だ。
どっちかの部屋で眠らせてもらおうかな?
しかし、どっちの部屋にする?
アヤと舞衣さんの部屋は……
舞衣さんは怒らなそうだけど、アヤは怒りそうだな。
エレナとヒルダの部屋は……
二人とも怒らなそうだけど、アヤが怒りそうだな。
どっちでも一緒じゃん!
俺は、エレナとヒルダの部屋にこっそり忍び込んだ。
ぐへへ、ぐっすり眠ってやがる。
俺は無理やり二人に……
まあ、何もしませんけどね……
俺は、部屋の端っこで寝袋にくるまって眠りについた。
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翌朝。
目が覚めると、ヒルダが俺の顔をツンツンしていた。
「セイジお兄ちゃん、おはようございます。
なんでこんな所で寝てたんですか?」
「おはよう。
夜遅く帰ってきたら、寝る部屋がないのに気がついてね」
「ほう、言いたいことはそれだけ?」
ヒルダの後ろに、ただならぬ気配を感じて身構えたが。
寝袋に入ったままだったために、上手くガードすることが出来ず……
アヤのケリを顔面に食らってしまった。
ひどい!
部屋でおとなしく寝てただけなのに!
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