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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
時空魔法と情報魔法編
21/438

017.買い物とお寿司

「きゃー!」


 エレナは俺に抱きついていた。


「エレナ、大丈夫だよ」

「でも、大きくて速くて、こ、怖いです……」

「もう、エレナちゃんてば! 兄ちゃんなんかに抱きつかないで、私に抱きつけばいいのに~」


「あれは、自動車って言って、馬車みたいなものだよ」

「馬車? で、でも馬が居ませんよ」

「エンジンで動いてるから、馬は要らないんだ」

「えんじんですか?」

「そう、それによく見てご覧。ちゃんと人が乗ってるだろう?」

「あ、ホントです、人が乗ってます。きゃー、今度はもっと大きいのが!」

「あれは、バスだよ。あれにだって人が乗ってるだろ?」

「そ、そうですね。で、でも、怖いです」

「もう、エレナちゃん! 私に抱きついてよ~!」


 何だか疲れてきた。


 やっとのことで、駅前の大通りを渡り終えて、商店街に差し掛かった。


「すごい、人がいっぱいです。みなさん、セイジ様とアヤ様と同じ髪と目の色です。全員ご親戚なんですか!?」

「ほとんどの日本人は髪と目が黒いけど、それほど親戚というわけじゃないよ」


 エレナは、周りの人達を覗きこむように見回しているが…… こちらが周りを覗く時、周りもこちらを覗いているのだ。

 エレナは金髪とブルーな瞳なのにもかかわらず、【言語一時習得の魔石】のお陰で日本語ペラペラなのだ。激しく目立ってしまい、注目されまくりだ。


 エレナはというと、すれ違う人と目が合う度に会釈をして、ニッコリ微笑みかけている。

 そんなこんなでしばらく歩いて行くと、とうとうモーゼの様に、人波が左右に割れて道が出来上がり、凱旋パレードの様になってしまっていた。

 アヤはアヤで、有名人になったかのように、周りに手を振って喜んでいる。注目されてるのはお前じゃ無いぞ!


 俺たちは、第一の目的地である100円ショップにやって来た。


「100円ショップ? スーパーじゃないの?」

「スーパーにも行くけど、その前にちょっとな」


 エレナは沢山の品物に、目を回しそうになりつつも、「これは何ですか?」と質問の嵐を浴びせかけてくる。

 俺は【ライター】、【ボールペン】、【レポート用紙】、【コップ】、【皿】、【スポンジ】、【プラスチック容器】なんかを大量に買い込んだ。


 100円ショップで買い物を済ませ、次にスーパーへやって来た。

 スーパーの大量の品物に、目をキラキラとさせながら、さらなる質問の台風を発生させているエレナを、なんとか引き連れつつ。

 俺は、【新じゃが】、【新玉ねぎ】、【人参】、【豚肉】、【鶏肉】、【ソーセージ】、【ハム】、【カレー粉】、【小麦粉】、【チューブ入りにんにく】、【チューブ入り生姜】、【レタス】、【卵】、【牛乳】、【バター】、【ヨーグルト】、【シリアル】、【お菓子】などを買い込んだ。


 妹よ、買い物かごにこっそり、【チョコレート】を入れるな! まあ、買うけど。


 スーパーでの買い物を終え、人が見ていない内に、さっとインベントリにしまいこんだ所で、妹が変なことを言い出した。


「【お寿司】を食べたい」


「は? なんでいきなり、お寿司が出てくるんだ?」

「だって、せっかくエレナちゃんが日本に来たんだから、ぜったいお寿司を食べなくっちゃ」

「本当は?」

「私が食べたいから」

「こらー!」


「【おすし】とは、なんですか?」

「ほらー! エレナちゃんも食べたいって!」

「まあ、いいか」

「やたー!」


「か、回転するのでもいいですか?」

「まあ、しかたないな~」

「す、すいません」


 ナゼ俺が謝ってるんだ?


「「らっしゃぃさっせー!」」


 いきなり威勢のいいお出迎えに、エレナはちょっとビビっていたが、エレナの方もまた注目を浴びていた。


 一番奥のファミリー席に着くと、エレナはベルトコンベアで流れる寿司を見て、目を丸くしていた。


「こ、これは、どういう……」

「こうやって流れてくる料理を、好きなのだけ取って食べるのよ」


 とか言いながら妹は、すでに3皿も平らげていた。い、いつの間に。


「ど、どれを取ればいいんでしょう」


 エレナは、おどろきとまどっている。


「エレナ、まあ待ちな、俺が注文してやるから」

「は、はい」


「すいません、この子にサビ抜きおまかせで握ってもらえますか?」

「はいよ!」


 その時、妹は5皿目のウニ軍艦を、箸で口に運んでいた。そ、それは、この店で一番高い皿! 俺の金だと思って、高いのばっかり食いやがって、いつか【奴隷の首輪】を付けてやる!


 ん? 箸?


「あ、そういえば! エレナは【箸】なんて使えないよな?」


「【はし】ですか? しらないです」

「どうしよう?」


「じゃあ、私が頼んであげる」

「え? アヤ、頼むって何を?」


「すいませーん! この子にナイフとフォーク下さい」

「ばか! 寿司屋にナイフとフォークなんて、あるわけ無いだろ!」


「あるよ!」

「「え?」」


「ナイフとフォーク、あるよ」

「お、お願いします」


 寿司屋にもナイフとフォークがあるのかー

 知らなかった。


<※現実には、あるかどうか知りません>


 しばらくして、お任せで握ってもらったエレナのお寿司が、ナイフとフォークとともに出てきた。


 なんと!

 ナイフとフォークで食べやすいように、小さな一口サイズのお寿司を、わざわざ作ってくれていた。


「すごいです! 小さくて可愛くて、とっても美しいです。ずっと見ていたいくらい!!」


 特製ミニミニお寿司に、エレナは大興奮している。


「ほら、せっかくエレナの為に作ってくれたんだから、そんなこと言ってないで食べな」

「はい!」


 ちょうどフォークに乗る大きさのお寿司を、ナイフとフォークで上手く掬い上げ、エレナのかわいい口に運び込まれた。


「おいひいです!!」


 エレナが、とっても美味しそうにミニミニお寿司を食べている姿を見て、俺とアヤはホッコリした気分になっていたのだが…… 気が付くと、店の板前さんたちも、みんなほっこりとした笑顔で、エレナが食べるのを注目していた。


 一時はどうなることかと思ったけど、ここに連れてきて大正解だったな。妹のわがままも、たまには聞いてやるもんだな~


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― 新着の感想 ―
[一言] 日本の寿司は板前だけの技じゃなく先ず 漁師に始まってシメる魚は漁師が生きてる内に エラを切って海水に漬けて放血処理をしてから 氷に漬ける、生かす魚は生簀に入れて生かせておく! 〆た魚は港で内…
[一言] 生魚いける人なのか
[一言] 寿司は元々手づかみで食べる物なのでナイフは無いです (フォークはデザートでケーキが置いてある所ならある)
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