197.舞衣と魔法
第3回オーバーラップWeb小説大賞、一次選考通過しました!!
舞衣さんと先代魔王は―
高度な攻防を繰り広げて、拳で語り合っていた。
「さすが部長、物凄い攻防だね」
アヤは、舞衣さんの動きに感心しきりだ。
しかし、徐々に舞衣さんが防戦一方になってきてしまった。
「あれ?
だんだん部長がピンチになってきた」
おそらく先代魔王が【肉体強化魔法】を使い始めたのだ。
舞衣さんは、何とか耐えて入るものの、ジリ貧だ。
「くそう!」
舞衣さん、女の子が『くそ』とか言っちゃダメだよ!
業を煮やした舞衣さんは、ピンチをひっくり返すために―
『奥の手』を繰り出した!
「【爆熱正拳突き】!!」
先代魔王は、いきなり炎が顔面に向かって来たことに驚き―
体をのけぞらせて、なんとかその炎を躱した。
「隙あり!!」
舞衣さんは、その隙を突いて、先代魔王の顔面に『かかと落とし』を炸裂させた!
「なかなか、やるではないか!」
先代魔王は、かかと落としをガードしていたが―
もう十分とばかりに、距離をとって構えを解いた。
どうやら、拳による語らいは終わったみたいだ。
「しかし、炎の魔法とは珍しい!
さすが、俺の孫!!」
舞衣さんは【爆熱正拳突き】を褒められて、口元がにやけている。
「しかし…
何故【肉体強化魔法】を使わないのだ?」
「なんだい? その【肉体強化魔法】って!」
「もしかして、【肉体強化魔法】を知らないのか!?」
「うん」
「舞衣とか言ったな。
お前が、それなりに強い事はわかった。
しかし、【肉体強化魔法】を上手く使えば、もっと強くなれるぞ」
「本当か!?」
「ああ、【肉体強化魔法】は、ちゃんと習わなかったのか?」
「ボクの周りに、魔法なんて使えるやつ、居なかったから……」
「そうか、人族の国で育ったのだものな。無理もない……
どうだ? しばらく俺が稽古をつけてやろうか?」
「ううん、いいや。
ボクは、長くここには居られないし……」
「そうか」
「【肉体強化魔法】が使えるようになって、もっと強くなったらまた来るよ」
「うむ、待っているぞ」
舞衣さんと先代魔王は、ガッチリと握手をした。
なんかお爺さんと孫と言うより―
スポーツ的な何かだな、これは。
~~~~~~~~~~
俺たちは、先代魔王の屋敷を後にし―
お茶屋さんに入って一服していた。
「部長の戦い、すごかったね~」
「ああ…」
舞衣さん、なんだか元気が無いな。
どうしたんだろう?
こんな時は、あの美人の魔族のお姉さんの角でも眺めて元気を出すんだ!
「部長、どうしたの?」
なんと!
舞衣さんの目に、一滴の涙が……
「舞衣さん、どうしたんですか?」
「……
悔しい……」
「何が悔しいんですか?
先代魔王…お爺さんに勝ったじゃないですか!」
「手加減されてた……」
気づいていたのか……
しばらくして……
舞衣さんが、クッと顔を上げて―
「お兄さん、お願いがあるんだ」
「なんですか?」
「ボクは、もっと強くなりたい。
お爺さんに手加減されないくらい……
いや、勝てるくらいに!」
「あ、ああ」
「ボクに、『魔法』を教えて!」
「え!?
いや、しかし……」
「お願いだ!
ボクに出来る事なら何でもするから!!」
え? マジで!?
「兄ちゃん!」
「え? はい、なんでしょう?」
「鼻の下、伸びてる!」
俺は、鼻の下辺りを手で隠しながら、話を続けた。
「みんなの意見も聞かないと……
ねえ、みんな、どう思う?」
「私は、セイジ様の決定にしたがいます」
「私も、セイジお兄ちゃんにしたがいます」
エレナとヒルダは、こうだ。
「私は、賛成かな~
部長と一緒だと、冒険も楽しそうだし」
結局、ほぼ俺の意見で決まっちゃうのか……
現在、メインメンバーは―
エレナとヒルダが後衛で、俺とアヤが前衛。
舞衣さんが入ったら前衛が3人か。
悪くは無いかな。
しかし、問題は……
「舞衣さん、一つ懸念点があります」
「なんだい?」
「それは……
百合恵さんのことです」
「百合恵くん?
百合恵くんは関係ないんじゃないかい?」
「えーと、魔法を覚えるためには―
毎週土日に、俺達と行動をともにする必要がある。
そうなると、百合恵さんが仲間外れみたいになってしまうわけで……」
「なるほど……
それは、やっかいそうだ」
「百合恵さんも、連れて来ちゃえばいいじゃん~」
「アヤ、流石にそれは……」
「どうして?」
「どうしても何も―
美人の魔族のお姉さんの角を、ペロペロさせて!
とか言い出すかもしれないだろ?」
「百合恵さんでも、流石にそれはないんじゃないの?」
いや、俺には分かる!
きっとそうなる!!
ご感想お待ちしております。




