195.百合恵さんは来てません
195話を、百合恵さん無しで書き直しました。
元の195話は閑話に書き直しましたので、よろしければそちらも見てください。
その週の土曜日、朝早くから舞衣さんがやって来た。
今日は、舞衣さんを異世界に連れて行くのだ。
「いらっしゃい」
「今日は、よろしく頼む」
舞衣さんを招き入れた後―
俺は、玄関のドアの外をキョロキョロと見回す。
そして舞衣さん以外、誰も居ないのを確認して、ホッと胸をなでおろした。
「お兄さん、どうかしたのかい?」
「いや、百合恵さんが来てないかと思って……」
「いやだな~、秘密だって言われたのに、百合恵くんにバラしたりなんかしないよ」
「ですよね~
いや、夢を見てね……」
「夢? どんな?」
「百合恵さんが付いてきて、大暴れする夢……」
「あはは! 然もありなん!」
夢の話はさておき、舞衣さんをリビングへと上がってもらった。
「部長、いらっしゃ…って、その荷物なに!?」
舞衣さんは、身長と同じくらいの大きさの大荷物を背負っているのだ。
「いや、鬼が住むような前人未到の場所に行くのだろう?」
「兄ちゃん、部長に詳しい話はしてないの?」
「いや、だって……
口で説明したって信じてもらえないだろ?」
「それもそうか~」
「ん?
その口ぶりだと、よほどトンデモナイ場所らしいね」
「まあ、結構ビビると思いますよ?
ビビってチビらないように気をつけてください」
「あはは、期待しておくよ」
「とりあえず、そんなに荷物は要らないので、必要な物だけにしてもらっていいですか?」
「なんだい、張り切って準備したのに」
舞衣さんの荷物を軽くした所で、いよいよ出発することにした。
いつもであれば、玄関で靴を履き、円陣を組んで【瞬間移動】するところなのだが……
4人でも窮屈だった玄関での円陣、5人ともなると流石にムリだ。
ということで、リビングにレジャーシートを広げて靴を履き、そして円陣を組んだ。
「お兄さん、これは一体なんの儀式なんだい?」
「えーと、異世界へ瞬間移動するための儀式ですよ」
「へー」
舞衣さんは、俺をかわいそうな人を見る目で見ている。
あの目は信じていない目だ!
ホントの事を言ったのに!!
「それじゃあ、儀式を始めます。
この儀式は神聖なものなので、注意して下さい」
俺は、あえて胡散臭そうにそう言った。
「お、おう」
舞衣さんは、やれやれと言った感じで、適当に返事している。
くそう、見とけよ!
おしっこチビっても知らないからな!!
「【瞬間移動】!」
~~~~~~~~~~
俺たちは、【瞬間移動】で魔族の街の入口へ飛んだ。
「はい、着きましたよ」
「……」
舞衣さんは、目が点になって固まっていた。
「あの門の先が、舞衣さんのお爺さんが居る街です」
しかし舞衣さんは、まだ固まっている。
「おーい、舞衣さん。
聞こえてますか?」
「一体何が起こった!?」
「だから言ったでしょ?
『異世界へ瞬間移動する』って」
「い、異世界!?」
「どうしました?
ビビってチビリました?」
「正直、ちょっとチビリそうになった……
お兄さんは、変な技を使うとは思ってたけど―
まさか、こんな人外だったとは……」
「ひ、ひどい!」
舞衣さんに人外扱いされ、落ち込んでいたら―
ヒルダが慰めてくれた。ヒルダいいこだな~
「それじゃあ、街に入りますよ」
「お、おう」
~~~~~~~~~~
門番に挨拶して―
俺達は魔族の街へ、足を踏み入れた。
「つ、角が……」
舞衣さんが、街の中の様子を見て、驚いている。
「角が生えているのは、お爺さんだけじゃなかったのか……」
「ええ、この街の人達ほとんど角が生えていますよ」
「そうか……
お爺さんは、一人ぼっちじゃなかったんだな」
舞衣さんは、そんなことを気にしていたのか。
もしかして、それでムリにでも来ようとしていたのかな?
~~~~~~~~~~
俺たちは、魔王城に顔パスで入れてもらい―
先ずはブンミーさんを訪ねた。
「こんにちは」
「これはセイジ殿、いらっしゃい。
ん?
見慣れない人が居ますね、どちら様ですか?」
「先代魔王様のお孫さんですよ」
「な、なんだってーー!!」
ご感想お待ちしております。




