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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
舞衣さんの秘密編
202/438

193.つる

「兄ちゃん、こんなに【紫刺草】があったら、大金持ちだね」


 アヤの瞳が、¥マークになっている……


「売らないよ」

「なんでよ!」


「薬品製作のスキル上げに使うに決まってるだろ」

「ああ、あれね」


 なんでアヤは、薬品製作に興味を持たないんだろう?

 科学実験みたいで面白いのに……



「よし、みんなで手分けして【紫刺草】を採取しよう!」

「「はーい!」」「はいはい」


 アヤだけ、なんかテンション低いけど―

 みんなで採取を開始した。



「セイジお兄ちゃん、この【紫刺草】は、ちょっとしおれてますけど、大丈夫でしょうか?」


 ヒルダが、少し萎れた【紫刺草】を持ってきた。

 ってか、『お兄ちゃん』って呼ばれるのは、まだちょっと照れくさいな。


 萎れた【紫刺草】を鑑定してみると……


┌─<鑑定>────

│【紫刺草-2】

│魔除けに使われる紫色の刺草

│状態:萎れ

│レア度:★★★★

└─────────


「うーむ、状態が良くないみたいだな。

 なるべく萎れていないのを選んだほうが良さそうだ」

「はい、わかりました」


 しかし、見回してみると、状態のいい【紫刺草】は、あまり見つからない……

 どうしたもんかな~



「兄ちゃん、【大地の魔石】を使ってみたら?」

「そうか! その手があったか!!」


 インベントリから【大地の魔石】を取り出すと―

 アヤが素早く【大地の魔石】を奪いやがった。


「私がやる!」

「おい、あまりやり過ぎると…」



 アヤは、俺の話を聞かずに―

 【大地の魔石】を両手のひらで挟んで、祈るように踊り始めた。


「ほら、ヒルダちゃんも一緒に踊って!」

「は、はい」



 二人の踊りに合わせて、にょきにょきと元気になっていく周囲の【紫刺草】。

 アヤは調子に乗って、どんどん魔力を込めていく……



 気が付くと、元気のいい【紫刺草】で、その場所が埋め尽くされていた。


 【鑑定】してみると【紫刺草+1】や【紫刺草+2】まで、チラホラ生えていた。



「やったー!」


 アヤは、ヒルダと一緒に手を取り合って喜んでいる。


 【大地の魔石】を使えば誰でも出来るだろ!



 結局、合計で300本もの【紫刺草】が収穫できた。

 これで薬品製作のスキル上げはバッチリだな。



「兄ちゃん、この草だけ他のと違うよ」

「どれどれ?」


にょろ。


「っ!?

 それ、なにか動かなかったか!?」

「え? 兄ちゃんバカだな~

 植物が、動くわけ無いじゃん!」


「いや、絶対に動いたって!」

「そこまで言うなら、これを抜いてみようか?」



「おい、ばか、やめろ」


 俺は、急に【危険】を感じて、アヤを止めようとしたのだが……



「うわーー!!」


 いきなり地中から現れた『つる』が、触手のようにうねり―

 アヤの足首を絡めとって、逆さ吊りにしてしまった。


「ア、アヤ!」


「兄ちゃん、助けて!!」



 しかし、アヤが逆さ吊りにされると同時に、エレナとヒルダにも『つる』が迫っていた。


 先ずは、レベルの低いヒルダを守るのが最優先だ。

 素早くエレナとヒルダに駆け寄り、二人を襲おうとしていた『つる』をぶった切った。


「セイジ様、ありがとうございます!

 で、でも、アヤさんが!」


「兄ちゃーん!!」



 振り向くと、アヤは……


 ウツボカズラの様な袋状のものに、アヤは飲み込まれていく所だった……


「ア、アヤーーー!!」



「ギャー! と、溶ける!!!」


 アヤは、袋の中でもがき苦しんでいる。


「今助けるぞ!!」



 試練の刀で袋を支えている茎を切断すると、

 袋が、ドサっと落ちー

 ウツボカズラは、一撃で動かなくなった。



 そして、落ちた袋の中からは―

 どろどろに溶けた、アヤの……



 ズボンが……


 ズボン?



「兄ちゃん! こっち見んな!!」

「良かった、アヤ、無事だったのか!!」


 俺は、思わずアヤに抱きつく。


「バカ! 抱きつくな!!」


 アヤは、俺の頭をポカポカ叩いてくるが―

 俺は気にせず、アヤをハグしていた。



「無事で本当に良かった」

「無事じゃない! 離して!」


「どこか怪我したのか!?」


 俺が、アヤの体をくまなく見てみると……



 けがなかった……



「見るなバカ!!」


 俺は顔面を殴られてしまった。



 アヤは、何とか体勢を立て直したものの、足から袋の中に落ちてしまい―

 そして、袋の中で『へそ』の辺りまで『溶解液』に浸かってしまったらしい。


 俺は、動かなくなったウツボカズラの袋から流れ出ている『溶解液』を【鑑定】してみた。


┌─<鑑定>────

│【紫ウツボカズラの溶解液】

│魔力が通う人の皮膚などは溶けないが

│衣服、毛などを溶かしてしまう溶解液

│レア度:★★★★

└─────────


 衣服だけでなく『毛』まで溶かすのか、怖いな。


 ん? 『へそ』から下? 毛?


 このヒントから導き出される答えは……



「アヤ、ムダ毛処理の手間が省けて……

 よかったな!」

タヒ(ーー)ね!!!」


頭にかかっていたら大変なことになっていた……


ご感想お待ちしております。

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[一言] アヤちゃんはジャブロー体質か? 胸は無いのに剛毛とは業が深そうだな!
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