180.日の出の塔地下3階
日の出の塔、地下3階に降りると―
「また、黒い水かよ!」
地下一階と同じように黒い水が床に溜まっていた。
黒い水を【鑑定】してみると―
今度は『油』ではなく、『泥』だった。
「今回は、燃える心配をしなくて大丈夫だな」
俺は、また胴長に着替え、装備を確認しなおした。
試練の刀も確認してみると、刀の試練はちゃんと1匹分増えて『64/100匹』になっていた。
前の階のボスは、【刃風】で倒してしまったが、ちゃんとカウントされるみたいだな。
改めて、泥の中に入ってみる。
泥は、ひざくらいの深さだった。
しかし、粘性が強く、足が取られて歩く速度がゆっくりになってしまう。
なんとか出来ないもんかな~
【水の魔法】で泥をコントロールしてみたが、粘性が強すぎて、あまり上手く行かなかった。
仕方ないので、のそのそと進んでいく。
最初の部屋に到着し、中にはいってみると―
部屋の中に居るはずの敵の姿が見えない。
おそらく、泥の中に隠れているのだろう。
厄介だな。
敵の反応がある場所に近づいてみると―
その場所から、長細い何かが飛び出し、襲いかかってきた。
直径20㎝、長さは2㍍程の『蛇』みたいな形状の敵だ。
とっさに試練の刀で斬りつけたが―
ツルッ!
敵に当たった刀が、滑ってしまった。
なんだ!?
あの敵の表面がヌメっているのか?
俺の攻撃を躱した敵は、また泥の中に隠れてしまった。
マップで位置が確認できるから大丈夫なのだが―
攻撃してきたところを斬りつけようとしても、ヌメってしまって、上手くいかない。
まあ、攻撃時にわざわざ水上に飛び出してくるので、なんとか躱せているのだが……
なんで水中に潜ったまま攻撃してこないのだろう?
水中移動だと、スピードが出ないからかな?
しばらく、同じような状況が続いていたが、このままでは埒が明かない。
俺は、敵の攻撃の隙間を待って、
素早くクッキングペーパーで試練の刀の汚れを拭き取り、鞘に収めた。
そして、右手を刀の柄に添えた体勢で、敵の動きをじっくり観察した。
敵が泥の中を進むときに泥が少し揺れるので、よく見ると何処に居るかが分かる!
泥の中の敵は、大きく旋回して、俺から少し離れた位置に静止した。
俺は微動だにせず、敵が潜む泥をじっと見つめている。
敵も、攻撃を仕掛けるタイミングを探っているようだ。
やがて、敵はゆっくりと俺に向かって近づき始めた。
その速度は段々と早くなり―
俺の目の前で、大きく跳ねた!
スパッ!
泥から顔を出した敵は―
俺に斬られ、頭と思われる場所が胴体から切り離されて、泥の上にボチャンと落た。
そして、そのまま動かなくなった。
【鑑定】してみると、そいつは『大うなぎ』だった。
「うなぎか!! 蒲焼きにしたら旨いかな?」
俺はそいつを、少し水洗いしてからインベントリに仕舞った。
一匹目を倒したことで、この地下3階の敵の9割ほどが未確定ではなくなった。
俺は、まだ未確定のままになっている敵がいる部屋を目指して移動した。
~~~~~~~~~~
次の部屋に入ると、さっきとまた同じような敵が襲ってきた。
しかし今度の敵は、サイズが一回り大きいだけではなく、
泥から飛び出すと、トビウオのように胸ビレを羽の様に広げて、空中を滑空してくるのだ!
しかしだな~
泥に隠れて近づかれるから厄介なんであって―
空中を滑空してきたら、丸見えなんですけど……
俺は【刃風】を飛ばして、空中にいる敵の頭を斬り飛ばした。
【鑑定】してみると『飛び大ウナギ』という敵だった。
胸ビレの骨をちゃんと取らないと、食べた時に喉に刺さりそう。
~~~~~~~~~~
二匹目を倒した所で、未確定な敵は1匹だけとなった。
そいつがボスで確定だな。
ボスに行く前に隠し部屋の下に行ってみたが、やっぱり入れない。
まだ下があるのか……
てか、地下何階まであるんだ?
もしかして、地上階はダミーで、本当は下に行くルートが本筋なのでは?
ここで考えていても仕方ない、ボスを倒しに行くか。
~~~~~~~~~~
ボス部屋に入ると、大きな『龍』が居た。
『うなぎ』じゃないの!?
もしかして『うなぎ』が進化して、『龍』になったの?
『龍』に進化するのは『鯉』じゃないの??
よく見ると、表面がテカテカしていてうなぎっぽくも見える。
【鑑定】してみると『龍うなぎ』だそうだ。
龍っぽいけど、やっぱり『うなぎ』らしい。
敵の出方を伺っていると―
いきなり口を開け、ものすごい勢いの水流を吐き出してきた。
しかし、足元が泥で上手く動けない。
しかたがないので、水を遮るバリアを張って防ぐ。
その直後、一旦水を止めて、今度は大きな岩を吐き出してきた。
今度は土を遮るバリアに変えて、防いだ。
どうやらこいつは、水と岩を吐き出して攻撃するのが得意らしく、二種類の攻撃をランダムに繰り返してくる。
俺は、負けじと【刃風】で攻撃してみたのだが、体をクネクネとさせて、俺の【刃風】を避けてしまった。
しばらく遠距離攻撃の応酬が続いたのだが、これでは埒が明かない。
『龍うなぎ』が飛ばしてきた大きい『岩』が、泥に沈まず、転がっている。
俺は、隙を見て岩の上に登り、そこからおもいっきりジャンプした。
空中にいる俺に向かって『龍うなぎ』は、さらに岩を飛ばしてくる。
俺は、試練の刀の峰で、『岩』を叩き落としたが、岩とともに俺自身も落ちてしまった。
もう一度、その叩き落とした岩を足場にしてジャンプ。
今度は、水流攻撃が俺を襲った。
俺はバリアを斜めに張り、波乗りの様に水流の上を滑った。
やっと『龍うなぎ』に肉薄した俺は―
そいつの頭を、試練の刀ですんなり跳ね飛ばした。
『龍うなぎ』は大きな水しぶきを上げて倒れた。
「ふー」
敵自体は弱くても、足場が悪いと激しく戦いづらいな。
刀の試練を確認してみると、『67/100匹』になっていた。
いきなりボスの所に直行しちゃったから、試練が進んでないな。
まあ、わざわざこんな足場の悪い所で戦う必要は無いし、次の階に進んじゃおう。
あ、でも、蒲焼きにしてみて美味しかったら、また来よう!
俺は『龍うなぎ』をインベントリに仕舞いつつ、奥にあった下に降りる階段から、地下4階へと進んだ。
またうなぎが食べたくなって来てしまった。
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