174.魔族の国へ
「お父様!」
「おお、リルラ!!」
俺を殺そうとした事のある親と、妹を殺そうとした事のある娘の、感動的な再会である。
「セイジが連れてきたのか。ご苦労であった」
相変わらず、偉そうだな。
「まあ、物のついでだ」
「ついで? 何か用があるのか?」
「【紫刺草】を探しているんだ、心当たりはないか?」
「ああ、それなら、魔族との貿易品の中にあったぞ」
「おお、それは好都合。
それを買うことは出来るか?」
「貴重な品だから、ちょっと難しいな」
「まあ、魔族の街へ行けば手に入るだろうし、
直に行って手に入れてくるか」
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俺たちは、リルラを残して、魔族の街へ行くことにした。
地図を確認してみると、アジドさんが通った魔族の街への通り道が表示されていた。
俺達は、魔族の街の入口を目標に定め、【瞬間移動】で飛んだ。
「何だお前たちは!」
街の入口を守る兵士が、いきなり現れた俺達に驚き、警戒している。
「どうも、こんにちは。人族の街の方から来ました、冒険者の『セイジ』といいます。
街への立ち入りを許可していただきたいのですが、どのような手続きをすればいいでしょうか?」
「なに!? セイジだと!?
少々お待ち下さい」
なんか俺の名前を聞いた途端、態度が変わったな。
兵士は、上司らしき人を呼んできた。
「あなたはセイジ殿。
他の皆さんも、あの戦争の時に活躍した方ばかりだ。
あ! その小さい人族の子は、『アメ』とか言うものを配ってくれていた子ではないか!」
どうやら、この上司さんは、戦争に参加した人みたいだ。
しかも、ヒルダの事も覚えてくれている。
「あの『アメ』はとても美味しかった。ありがとう。
あ、そうか魔族語は分からないんだっけか?」
「いえ、分かります。
喜んでもらえて、私も嬉しいです!」
【言語一時習得の魔石+2】をみんな持っているので、魔族語は問題ない。
魔族の上司と奴隷のヒルダが、にっこり笑って握手をしている。
なんか、人族の国より扱いがいいな。
「丁重にご案内するようにと、魔王様から言われております。
どうぞ、こちらへ」
俺たちは、魔族の上司さんにVIP待遇で案内された。
~~~~~~~~~~
「セ、セイジ、よく来た」
「あ、どうも」
いかにも魔王城と言う感じの建物の、いかにも謁見の間と言う感じの部屋で、大勢の魔族の兵士に囲まれる中―
『魔族王』こと『魔王』に謁見した。
なんか魔王のほうが緊張している感じだ。
別にとって食おうと言うわけじゃないのに、怖がりすぎだろ。
謁見の間は、重苦しい沈黙に包まれていた。
来るんじゃ無かったな~
悲しい日本人の性で沈黙に耐え切れなくなり、俺の方から話を持ちだした。
「えーと、今回は【紫刺草】と言うものを探しに遥々やって来ました。
出来ましたら、売買の許可を頂きたいのですが、いかがでしょうか?」
「お、おう。そうか、そうか!
お主は先の戦いで、それなりの活躍を示した。
特別に売買の許可をやろう」
「ありがとうございます」
少し下手に出たら、すぐに調子に乗りやがって。
まあ、魔王も立場というものがあるんだろうから、ここは顔を立てておいてやろう。
「ブンミーがお主に会いたいと言っていた。後で顔を出してやるように」
「分かりました」
ブンミーさんが?
たしか、魔族軍の隊長だった人だ。何の用事だろう?
俺たちは重苦しい謁見の間を後にして、ブンミーさんに会いに行った。
~~~~~~~~~~
「隊長! セイジ殿をお連れしました!」
魔族の兵士に案内されて、ブンミーさんの執務室へやって来た。
「失礼します」
「おお、セイジ殿。よく来てくれた」
俺とブンミーさんは、握手を交わした。
これくらいの歓迎のされ方が一番ちょうどいいな。
「おい、セイジ殿が見えたぞ」
「はーい」
ブンミーさんが誰かに声を掛けると、となりの部屋から女性が現れた。
「よく来た、セイジ、ヒルダ」
隣の部屋から現れた女性は―
カサンドラさんだった!
カサンドラさんは、魔族の民族衣装を着て、猫耳をピコピコ動かしていた。
「カサンドラさん!」「カサンドラ様!」
いきなりの登場に、俺とヒルダはびっくりしていた。
「なんでカサンドラさんがここに?」
その答えは、ブンミーさんが答えてくれた。
「俺とカサンドラは、結婚することになったんだ」
「「「えーー!!!」」」
色々回るところがあって、ちっとも塔に登れない……
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