144.ピラミッドの呪い
ピラミッドの謎の部屋に到着すると、
そこは真っ暗だった。
「【夜目】!」
魔法を使用すると、さっきと同じように、辺りが見えるようになった。
しかし、この部屋、物凄い匂いだ。
アンモニア臭、何かが腐った匂いなどで、息をするのも少し辛い。
それと、床。
土かと思ったら、大量のコウモリなどの死体が堆積したものだった。
ゆっくり見回すと、部屋の奥の壁に―
ソレは、あった。
やっぱりそうだ、【黄金のマスク】だ。
しかし、ツタンカーメンの黄金のマスクとは、ちょっと違う感じがする。
少し地味で、表情が怒っている感じだ。
おそらく『脅し』に使うものなのだろう。
大量の堆積物を踏みつつ、近づいていくと、
おかしな事に気がついた。
大量の堆積物は、仮面に近づくほど少なくなっていて、
仮面の周りには、堆積物、つまりコウモリの死体が、まったく堆積していないのだ。
これは、なにかある。
俺は、黄金マスクを【鑑定】してみた。
┌─<鑑定>────
│【呪いの黄金マスク】
│黄金製のマスク。
│近づく者に様々な状態異常をかける。
│近づいた距離が近いほど
│強力な状態異常にかかる。
│レア度:★★★★★
└─────────
ヤバイ! ヤバ過ぎる!!
俺は、ゆっくりと後ずさった。
急いで自分自身を【鑑定】してみたが、状態異常は掛かっていなかった。
よかった、もうちょっと近づいていたら、危なかったかもしれない。
あのコウモリも、仮面の力によって病気にかかってしまったに違いない。
と、その時!
通風口から、別の元気なコウモリが1匹、
部屋に入り込んできた。
コウモリは、部屋の中を元気に飛び回ると、
仮面の方へと飛んでいき……
空中で急に、失速して……
床にコロンと落ちて、動かなくなった。
まるで、『コウモリホイホイ』だな。
しかし、これは、マズイんじゃないか?
入り込んだコウモリが、この部屋で死んでしまうならまだいいが、
病気にかかったまま、部屋を出てしまったら。
それが感染源となって、ヘタをすれば、人間にも感染する可能性があるわけだ。
もしかして、これまでこの地域で流行した病気の幾つかは、ここが感染源だったりするのかもしれない。
しかし、どうする?
コウモリが出入りできないように、通風口を塞いでしまうか?
わざわざ通風口を作ったくらいなのだから、完全に塞いでしまうのも問題がありそうだ。
俺は、【土の魔法】を使い、
この部屋唯一の通風口を、風だけが通り抜けられるように、網戸のような形状に、変形させた。
これでコウモリやネズミなんかは、入れないだろう。
さて、俺も帰るか。
とりあえず、『呪いの黄金のマスク』に追跡用ビーコンを取り付けて、
日本に帰還した。
~~~~~~~~~~
「ただいまー」
「「おかえり!」」
アヤとエレナが出迎えてくれたのだが。
「兄ちゃん、臭い!!」
アヤだけではなく、エレナも後ずさっている。
「そんなに臭うか?」
「う、動かないで! 匂いが広がる!」
アヤとエレナは、逃げるようにリビングに戻っていき、扉越しに―
「兄ちゃん、こっちに来ないで!」
酷い! 酷すぎる!!
俺は、靴を履いたままバスルームに【瞬間移動】し、
靴や着ていた服や下着などを、全てインベントリにしまって、
シャワーで、体の隅々を綺麗に洗い流した。
すっかり綺麗になり、新しい服を着てリビングに行くと、
アヤが近づいてきて、クンクンと俺の匂いを嗅ぎ始めた。
「まだ少し臭うけど、仕方ないか」
「お前なあ、俺はもうちょっとで死ぬところだったんだぞ?」
「臭すぎて死にそうだったの?」
「違うよ! 呪いで死ぬところだったんだよ!」
「呪い!? なにそれ?」
「セイジ様、大丈夫なのですか!?」
「大丈夫だ、問題ない」
俺は、自分に付けておいた追跡用ビーコンの映像を見せながら、部屋での出来事を説明した。
「それで、兄ちゃん、黄金のマスクは持ってこなかったの?」
「近づいただけで死んでしまうような物を取ってこれるわけ無いだろ!」
「そういえばそうか~
でも、あの部屋が発見されたら、危険だね」
「あの部屋は、通路に繋がってなかったみたいだし、
そう簡単には見つからないと思うよ」
しかし、『呪い』か~
そう言えば【呪い治癒薬】が、材料が足りなくて作れないでいたんだっけ。
本格的に材料を探してみるかな。
【呪い治癒薬】が作れれば、呪いの黄金のマスクにぶっかけて、呪いを解除できるんじゃないかな?
貴重な文化財にぶっかけしちゃうことになるけど、仕方ないよね。
主人公がいくら強くても、呪いは怖いですよね。
ご感想お待ちしております。




