141.ピラミッド
ナンシーとエレナと一緒に、エジプトの高級ホテルで、ワインを飲み明かしたその夜、俺は変な夢を見た。
俺が、とても広い豪華なベッドで寝ていると、
ナンシーとエレナが部屋に入ってきて―
二人は何か、もめ始めた。
しかし、二人は会話が出来ないので、身振り手振りだ。
なんとか、ジェスチャーなどで意思の疎通を果たし、和解した二人は、
魅惑的なネグリジェに着替え、俺のベッドに上がって来た。
ナンシーが左側、エレナが右側から俺に近づき、
二人して、寝ている俺のほっぺに、両側からキスをする。
30年もDTをこじらせた俺には、寝たふりを続ける以外の選択肢は許されていなかった。
俺が寝たふりを続けていると、業を煮やした二人は、俺のベッドに両側から入り込んできた。
ベッドで二人に挟まれた俺は、『金髪美女サンド』の具になってしまっている。
両側から何やら柔らかいものによって、ギュウギュウと圧力がかかり始めた。
両側に2つずつ、合計4つの柔らかいものの圧力によって、俺のピラミッドが巨大化を始めた……
そして、目が覚めた。
「何だ夢か……」
目が覚め、よく見てみると、
俺の両側に誰かが寝ていたような痕跡が……
まさかね。
ベッドから出て、リビングに行ってみると、
エレナとナンシーは、出かける準備をしていた。
「あれ? なんで出かける準備しているの?」
「セイジ、遅いぞ!
これから、ピラミッドの見学に行くから準備しな」
「ピラミッド? こんな朝早くから?」
今は、朝の7時。まだ眠いよ。
さっきの夢の続きも見たいし。
「入場券の枚数が限られてるから、朝から行かないと買えないんだよ」
「なるほど」
そう言えば、昨日飲んでる最中に、一緒にピラミッドを見に行こうと約束したんだった。
エレナは、訳もわからず、出かける準備をしていた。
~~~~~~~~~~
ピラミッドの入場券売場に到着すると、すでに大勢の人が並んでいた。
マジかよ!
なんとか3人分のチケットを購入し、そのままピラミッドに行くことになった。
「す、すごく、おっきいです!!」
エレナは、はしたなく口をぽかんと開けて、見上げていた。
「セイジ様、これは一体なんなのですか?」
「昔に作られた遺跡なんだが、
今のところ、王の墓という説が有力なのかな?」
「王の墓ですか……
その王様は、巨人族だったのですか?」
俺は思わず笑ってしまった。
「セイジ様、笑うなんて酷いです!」
エレナは俺のことをポカポカと叩き始めた。
お返しに、エレナの頭をナデナデしてあげると、エレナはほっぺを膨らませて、スネてしまった。
なんだか、エレナのこんな姿も可愛くていいな。
戦争が終わって、エレナもだいぶ心に余裕ができてきたのかもしれない。
「セイジ、エレナと何を話してたんだ?」
俺とエレナはアラビア語で会話しているので、ナンシーには分からない。
さっきまでの会話を通訳してやると―
ナンシーは、腹を抱えて笑い出した。
エレナが、さっきの会話をバラされたことに気が付いたらしく、
俺は、更にポカポカ殴られてしまった。
エレナに殴られつつ、俺達はピラミッドの入り口に到着した。
「セイジ様、ここから中にはいるんですか?」
「ああ、そうだけど、エレナ怖いのか?」
「えーと、魔物が出たりはしないんですか?」
「ピラミッドの中に魔物なんて、いないよ」
うーむ、エレナのこのセリフ、
なんだか、フラグっぽい気がする……
恐る恐る、ピラミッドに入ってみると―
地図上に『危険』を示す印が……
マジか!!
「エレナ、何か居るぞ!」
「え? 魔物ですか!?」
「分からん、離れた位置だから、まだ大丈夫だが、
注意しておいてくれ」
「はい!」
俺とエレナは注意深く進んでいると、
「セイジ、エレナ、何ビクビクしてるんだ?」
ビクンビクンなんてしてないよ!
ナンシーは、呆れ顔だ。
「ナンシー、何か危険なものが居るみたいだから気をつけるんだ」
「危険なもの!? お化けでも出るのかい?」
ナンシーは、ぜんぜんとり合ってくれない。
仕方ない、ここは俺達で何とかするしか無いか。
しかし、一体何者なのだろう?
神秘的な通路を進んでいくと、王の間にたどり着いた。
その神秘的な光景に心を奪われていると―
『危険』を示す何者かが、近づいてきているのが分かった。
しかも、俺達が登ってきた通路からではない。
では、何処から??
「上だ!!」
俺が叫ぶと、エレナも上を見た。
ナンシーは、俺とエレナが上を見ているのに釣られて上を見た。
バサバサ
それは、コウモリだった。
「なんだ、脅かさないでよ、ただのコウモリじゃない」
ナンシーがそう言って、呆れ顔を見せたが、
俺は、まだ警戒を解いていなかった。
そのコウモリが『危険』を発しているのだ。
どういうことだ?
一見すると普通のコウモリだ。
ではなぜ『危険』を発している?
よく見ると、そのコウモリは、変な飛び方をしている。
【鑑定】してみると―
普通のコウモリではあるのだが、
ステータスの『状態』が、とある出血熱を発病していることを示していた。
それが、『危険』を発している理由か!
「エレナ、あのコウモリ、病気を発症している。危険だから絶対に近づくなよ!」
「はい、セイジ様」
「おいおいセイジ、ただのコウモリだよ。
なぜそんなに警戒しているんだ?」
「飛び方がおかしい、何かの病気に掛かっている可能性が高い、気をつけるんだ」
「そ、そうか?」
しばらく警戒しながら見ていると、
そのコウモリは、天井付近の通風口の様な穴に入ろうとしている。
そのまま、放置するのはまずそうなので、
俺は、そのコウモリに、追跡用ビーコンを取り付けた。
前半部分は……
つい、勢いで書いちゃったんだ。m(_ _)m
ご感想お待ちしております。




