140.スイート
バスジャックから逃げてきた長距離バスは、カイロに到着した。
バスが到着すると、乗客は蜘蛛の子を散らすように降りて行ってしまった。
警察の事情聴取とかはいいのか?
まあ、俺達としては事情聴取されたら困るけど。
乗客たちも、厄介事に巻き込まれたくなくて逃げていったのかも。
運転手が何やら連絡を取っている間に、俺達もそそくさとバスを後にした。
ナンシーは、カイロに到着する直前に気が付いたのだが、気を失っていたために、バスジャックの事を知らない。
まあ、根掘り葉掘り聞かれても、俺が困るだけなので、そっとしておこう。
~~~~~~~~~~
俺達は、アメリカ大使館の前に来ていた。
「セイジ、ありがとう、これでなんとかなるわ」
「それじゃ、俺達はこの辺で失礼するよ、
これからは気をつけるんだぞ」
そう言って立ち去ろうとしたのだが、
「待って!」
「ん? どうかしたのか?」
「えーと、あのー、
そうだ、お礼にディナーを奢るから、一緒に食べましょ」
「ああ、構わないが、待ち合わせはどうする?
大使館での手続きは、どれ位掛かりそうなんだ?」
「うーん、正直良くわからないわね、
終わったら連絡するから、メアドを教えて」
メアド!
参ったな、メアドか~
どうして俺が、こんなに悩んでいるかというと、
スマフォを持ってはいるが、エジプトでは使えないのだ。
なぜって、海外使用の手続きをしていないからだ。
俺は本当は日本に居るはずなんだ、
それなのに海外使用の手続きなんかしたら、スマフォが盗まれて、海外で勝手に使われていると勘違いされてしまう。
同じ理由からクレジットカードなども使えないのだ。
仕方ないので、俺はフリーメールのアドレスをナンシーに教えた。
「なぜ、フリーメールなの?」
「スマフォが故障していて……」
「まあ、いいわ。
それじゃあ、手続き終わったらメールするね」
ナンシーは、そう言うと、大使館の中に入っていった。
俺達は、ナンシーを見送った後、日本に帰国した。
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日本は夜の1時だった。
「さて、こんな時間だけど、仮眠したせいであまり眠くないな」
「私もです」
こんな真夜中に、エレナと二人っきり……
俺は、エレナの見ている前で、とあるものをいじくり回していた。
「セイジ様、それ、ぐにゅぐにゅしていますが、柔らかいんですか?」
「そんな事は無いよ、触ってみるかい?」
エレナは、それを恐る恐る触ってみる。
「あ、凄く、硬いです」
エレナは、それを愛おしげに両手で掴むと、うっとりとした瞳で見つめ、キスをした。
「エレナ、なにしてるの!?
キスなんかしたら汚いだろ」
「セイジ様のが汚いなんてことはありえません」
まあ、一回分解してるから大丈夫だとは思うが……
そう! 俺は、
銀貨を分解して、銀のアクセサリを作っていたのだ。
まったく、りんごさんがデザインしたアクセサリが気に入ったからって、キスすることはないだろうに。
「セイジ様、これを付けてみてもいいですか?」
「エレナ、残念ながら、それはまだ出来上がっていないんだ」
「え!? そうなのですか?」
「ほら、よく見てみな、
髪に留めるための金具が無いだろう?」
「金具は、どうなさるんですか?」
「俺にも良くわからないから、今度りんごさんに聞いてみるよ」
そんなこんなで、依頼された5人分のアクセサリを、金具無しで作成して時間を潰した。
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メールの呼び出しに応じてエジプトへ飛ぶと、
アメリカ大使館前で、ナンシーは待っていた。
「おまたせ」
「やあ、待ってたよ」
「それで、何をご馳走してくれるんだい?」
「それは、ついてからのお楽しみだよ」
俺達は、ナンシーに案内されて、夜のカイロを歩いて行った。
ナンシーに案内されたのは、なんか物凄く高級そうなホテルだった。
「ナンシー、ここは?」
俺が、恐る恐る聞いてみると、
「なんかね、大使館の人が気を利かせて、予約してくれたらしくってね」
「な、なるほど」
俺達は、部屋に案内されたのだが……
「ちょっと、ナンシーさん。
この部屋は、なんなんですか?」
「いやー、豪華な部屋だねー」
いやあ、豪華ってレベルじゃないでしょこれ。
たぶん、最上階で、
部屋ではなく、広い一軒家の間取りがそのまま入ってる感じで、
パーティが開催できるリビングに、寝室が3つもある。
窓からの眺めも凄くて、カイロの街並みが一望できる。
「セイジ様、遠くになにか大きな建物が見えます」
エレナの指差す方を見てみると―
遠くに、ライトアップされたピラミッドが見えていた。
「ピ、ピラミッドだ!」
「ほんとだ、すごい眺めだね」
ナンシーも俺の横に来て、眺めを楽しんでいた。
しばらく、眺めを楽しんでいると―
呼び鈴がなり、夕食が運ばれてきた。
色とりどりな料理が並び、
俺達は、ピラミッドを眺めながら、美味しいディナーに舌鼓をうった。
俺と、ナンシーは、折角なのでワインを頂き、
エレナは羨ましそうに俺達を見ていた。
「エレナちゃんも飲んでみるかい?」
ナンシーは酔っていて、冗談のつもりでエレナにワインをすすめたのだが。
エレナはナンシーの話している英語が分からず、ジュースだと思って、そのワインを飲んでしまった。
「あ! 何やってるの!」
「ご、ごめんよ、冗談だったんだけど」
「エレナ、大丈夫か?」
「セ、セイジ様、このジュース、おいひいです」
エレナは、顔を真赤にして、目をトロンとさせてニッコリ頬ん出た。
これはヤバイ!
特に、俺の理性の方がヤバイ!
すこし変になってしまったエレナを、一所懸命介抱していると。
今度は、ナンシーが襲いかかってきた。
「私の酒が飲めないのか!」
「ちょっとナンシー、飲み過ぎだよ」
ナンシーを相手していると―
「セイジ様、私のも飲んでくだしゃい」
逆側からエレナも、襲い掛かってくる。
どうしてこうなった!
俺は、二人に代わる代わるワインを飲まされ、
酒池肉林の夜は、更けていった……
アヤがいないと、止める人がいないのれす><;
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