あくまでもお菓子は好き。前編
「ん?何かミュゼ様、変わった食べ方してますね?」
「ん?なんじゃ?」
アドルフがふと疑問に思った、地球に来てずっと一緒に居たので小さな事に気付かなかったが。
「普通ポッキーってビスケットの持ち手を最後に食べませんか?」
そう言って手本を見せる
「なんじゃアドルフ、お主も邪道じゃの?ま、悪魔だから仕方無いけどな」
「いえ、ミュゼ様も人の事ーではなく悪魔の事言えないと思うのですが?だってほら、指にチョコが着いてしまうじゃないですか。」
と言ってアドルフは逆さにしてポッキーを食べ、最後指に着いたチョコを舐めた。
「おぉ!!アドルフよ、、、」
「何でしょう?」
「、、、萌えじゃ///」
「、、、いまいちミュゼ様の萌えポイントが分かりませんが。」
そう言ってまたアドルフは同じ食べ方をした。
アドルフ本人は意識していないのだがちょいちょいセクシーな仕草をするのが目につく。
「萌えじゃ、、、///」
もう1本、、、
「萌えなのじゃ、、、///」
もう1本ー
「っておーいっ!調子に乗りおって!儂のポッキーが無くなるではないかっ!」
「あ、バレました?ってーミュゼ様は最近お菓子の食べ過ぎではありませんか?少し減らした方が、、、」
すると急に深刻そうな表情をしたミュゼが
「アドルフよ、それ、本気で言っておるのか?」
「はい、私はいつも本気でミュゼ様を心配しかしてない人生を歩んでおります。」
「それのが心配じゃよっ!しかしこのままだと地球は滅びるぞ?」
「その方がお互い好都合でございませんか?」
焦ったミュゼがノリでとんでもない事を口にする
「クッ、、、そ、そうじゃ!地球どころか魔界も滅びる事になるぞ?」
「何故ポッキーが、、、地球ならまだしも魔界まで滅ぼす事になるのですか?」
暗い表情のままミュゼがポッキーを取り出しこう言った。
「ポッキー、いや、チョコ菓子には目に見えない力を宿っておるのじゃ、これをそのまま野放しにすると地球も魔界も大変な事に、あ、崩れる事になるのじゃ!それを阻止するべく儂が食べたくもないポッキーやチョコ菓子を毎日食べておるのじゃ!」
(んーちょいと嘘っぽ過ぎたかのうー)
と、突然アドルフがテーブルをバンッと叩き
「流石ミュゼ様っっ!!」
「、、、、へ?」
「毎日毎日豚のように食べて寝て食べて、何か企んでいるのだなと薄々感づいてはいたのですがー」
「いや、それ、ちょっと、いや、かなり腹立つのじゃが、、、」
「やはりそんな事情があったのですね!私もお手伝いさせて下さいっ!」
あれ?これ意外な話になってきた?
「え?いや、これは儂だけに与えられた任務じゃからしてだな?」
「いつもお側にいるのにただ黙って口を加えて見てろと言うのですかっ!このアドルフ、ミュゼ様と一緒に運命を共にいたしますっ!」
(非常に暑苦しいのじゃが、、、)
アドルフが右手に握りこぶしを固めて目を輝かせている。
1人熱くなっているアドルフを冷めた目つきで見ているミュゼ。
気付いている人はもうお分かりのようですがアドルフは天然で純粋でおバカなのです。
この何でも信じやすいアドルフの性格にミュゼは困らせられる時もある。
(え、何か凄い話が大きくなってきているのじゃが、、、)
「ま、まあよい!アドルフがそこまで言うのならば仕方が無い!コンビニにいって他の魔物を買ってくるのじゃ!」
「はい、ミュゼ様っ!!」
(相変わらずめっちゃ単純なやつじゃな、、、たまに心配になるぞ、、、しかもとっさに魔物って言ってしまったが儂らがその魔物なのじゃが、、、、まいっか)
アドルフがキメ顔で
「ではコンビニに魔物を買いに行ってきます!」
(っていつの間にか魔物になっちゃってるのじゃ、、、)
「あ、アドルフよ!因みにスナックをチョコで包んでる魔物じゃないと意味がないのじゃよ?」
「スナックをチョコで包んでる魔物ですね!分かりました。」
(単純っ!)
ーーーーーーーーーーーーーーー
約20分後
アドルフが両手に大きなビニールを下げて帰宅した。
「ミュゼ様、、ハァハァハァ、ミュゼ様、、」
「気にはなっておったがアドルフは以外と体力がないのだな?」
「いえ、魔界ではこんな物など下級悪魔がやっていたもので私は普段荷物など持ってなかったのです。」
「下級悪魔をパシリにしてた罰が当たったのじゃな!」
「ミュゼ様も私をパシリにしている罰がいつか当たると思うので気を付けてくださいね?」
「うむ、儂に罰が当たったら天界どもを皆滅してやるわっ!儂にかかれば数分じゃけどな、ハッハッハッハッ」
「その意気込みを地球で発揮出来ないのがもどかしいです。」
「で、何を買ってきたのじゃ?」
「あ、これですこれです。店員にチョコで包んでる魔物はどこだ?と聞いたら凄い不思議そうな顔をしてたのですがー」
(そりゃそーだ!てか店員に聞いたのか、こやつは飴ちゃんを上げたら着いて行く子供じゃな、、、)
「でもミュゼ様がポッキーと言う魔物を退治してるのを思い出して店員に見せたらそれらしきものをビニール袋につめてくれました。」
(よくやった店員っ!)
「これが例の魔物達です」
(それって何かポケ◯ンみたいじゃな)
そう言ってテーブルの上に買ってきたお菓子を並べてみた。
「うわっ!アドルフよ、買い過ぎではないか?」
「いえ、ミュゼ様、これだけ退治してもまだまだいっぱいありましたよ?」
(そりゃそーじゃ)
「ま、まぁーとりあえずは今ある物を退治しようではないかっ!」
「そうですね、では早速こちらの魔物達をやっつけましょう」
「アドルフよ、何か仲間を倒すみたいで心が痛いのじゃが。」
「大丈夫です、世界を救う為です。」
(救っちゃまずいだろ!)
そう言って二人はお菓子袋を荒らし始めた。
「と、これからアドルフには"滅殺チョコ魔人の極意"を伝授しよう!」
「はい!遂にミュゼ様の魔力を受け継ぐ時が来たのですね」
「そうじゃ!まずそこにある袋を開けるのじゃ!」
そう言ってアドルフが取り出したのがパックンチョファミリーパックである。
「ミュゼ様、これなんか不思議ですね?」
「そうじゃ、そこに可愛らしいプリントがされてるじゃろ?そこから"エネルギーフラッシュエナジー"と言う我々のエネルギーを吸収する光を発射するので出来るだけその可愛らしいプリントとは目を合わせるな!」
「こんな可愛らしいイラストからそんな力がっ!それは恐ろしいですね、こういう時はどう処理すればよいのでしょう?」
「これはな、こうして舌でまずプリントを舐めて溶かすのじゃ、レロレロレロレロ」
見る見るうちに可愛らしいイラストがミュゼの舌使いによってかき消されていく。
「おぉ!ミュゼ様!何か見えない力から解放された感じがします!」
「じゃろ?そしたら儂の勝ちじゃ。」
そう言ってミュゼはパックンチョを口に放り込む
「アドルフもやってみるがよい!」
「わ、私に出来ますかね?」
「アドルフよ、何年儂と一緒におるのじゃ?お主は儂と、いや、儂以上に魔力が強くなっておる!」
「そ、それは嬉し過ぎて発狂しそうです。」
そう言ってアドルフはミュゼの言うとおりに舌の先でチョロチョロとプリントを消していく。
「ダメじゃダメじゃ!そんなんじゃパックンチョを制圧するまでに時間がかかりすぎる!もっとこうだな、大きく舌を動かすのじゃレロレロレロレロ」
そう言ってミュゼが手本を見せる
「おぉ!素早い動きで敵にエネルギーフラッシュエナジーを与える隙がありませんでした。」
するとミュゼが勝ち誇ったかのように
「じゃろじゃろ?こんなの儂の戦闘力を持ってすれば容易い事じゃ!」
そしてアドルフもミュゼの勢いに便乗してマネしだした。
「レロレロレロレロレロレロレロレロ」
「おぉ!やれば出来るではないかっ!では他のも退治する事にしよう。」
そう言ってミュゼは他のお菓子袋に手を出したその時だった。
「ア、ア、ア、アドルフよ、、、」
ミュゼが顔つき目つきが変わった、何か巨大な敵を前にするかの様に。
「ミュゼ様!どうされましたっ!?」
「お、お主は、、ど、どうやらとてつもないモンスターを引き連れて来てしまった様じゃ、、、」
後編へ続く
、、、、まず、、、
お菓子の話でここまで長くなるとは僕も思ってなかったです。
そしてただのお菓子の話なのにあまりにも長くなりそうなので前編と後編で分けさせてもらいました。
だがしかし(駄菓子菓子)!
これから後編でミュゼとアドルフが強敵に挑む事になります、この戦いから二人は逃れる事が出来るのか?
ハラハラドキドキの後編も楽しみにしてて頂けるとありがたいです。
おかぴ先生