十二話 ~ルーミア~
遅れてすいません。十二話、更新です!
「ただいまー」
そう言って魔琴が帰ってきたのはちょうど夕飯の用意が出来た時だった。
「こんな時間まで何処に行ってたのかしら」
疑問はあったが、とりあえず玄関まで魔琴を出迎えに行く永琳。
「おお、永琳。ただいま」
「『おお、永琳』じゃないわよ。こんな時間まで何処に行ってたの?」
「ああ。ちょっと街の外までな」
「ま。あなたが何処でどうしてようと知らないけど、変なことしてないでしょうね?」
「変なことって何だよ。つか、勝手に出かけたのは良いのか」
「信じられないけど、仕事は終わらせていたようだしそこに関しては大目に見るわ。あなたは私が個人的に助手として使ってるだけで、街に雇われているわけではないしね」
「じゃあ何を心配してんだよ」
「それは……いいわ、ご飯にしましょう。姫様もお腹すかせてるわ」
「ん、そうか。悪いな」
理由も無くとにかく心配なんて言ってはどんな勘違いをされるかわからない。そう永琳は半ば無理やり自分を納得させ、現状は魔琴の節度というものを信じることにした。
時は少し遡る。
「居ないな……どこに居るんだ」
時間は昼時。
研究所を後にし、街の外へ出た魔琴はある存在を探していた。
「やっぱ妖精だけに、早々遭えるもんじゃねえのかな」
そう、魔琴は妖精を探していた。
八意研究所の図書室でその調査資料を読んだ魔琴は妖精に興味を持ち、探してみることにしたのだ。
そして、魔琴が見た資料によると妖精も妖怪と同じく、霊気が溜まった場所を好んで住処とする傾向にあるらしい。
というわけで、魔琴は永琳と妖怪が戦っていた穢れの森を探索していた。
「ん?」
魔琴はなんとなく、進めていた歩みを止めて後ろにふり返った。
「……」
『どうしたの?』
自身の内側から声が響く。
「ナビか。今回は結構寝てたな」
『ん。なにかあった?』
「いや、なんか後ろから見られてた気がしてさ」
『……調べようか?』
「いや、いいよ。多分気のせいだったから」
『そう?』
「ああ」
本当は何かあると思っていたが今の魔琴は妖精探しを楽しんでいる。
ナビの検索を使えば自分を観察していた何者かを見つけることは容易だろうが、 芋づる式で目的の妖精まで見つかってしまう可能性がある。それでは面白くない。
「今回は、見逃してやるさ」
魔琴は再び歩き出した。暗に『次は無い』という意味を込めた呟きを残して。
そうしてしばらく歩き続け周りに霧がかかってきた頃、魔琴は木々の密集地を抜けて大きな湖の畔に出た。
「んー。この湖を超えたら森は終わっちまうし、通り過ぎちまったかな?」
図書室で見た調査資料じゃ妖精の住処は穢れの森内部にあるってことだったんだが。
と、魔琴が元来た道を引き返そうとしたその時。
『! 上空からエネルギー反応ッ』
魔琴はその声を聞いて後ろへ跳んだ。
直後。
ズガーーーン!!!!
「ああン♪ ざーんねん、外しちゃったぁ。お兄さん案外速いんだねぇ」
まるで周りの空気を支配するかのような轟音と土煙を上げて魔琴が立っていた位置へと現れたのは夜よりも深い漆黒の大剣を持った金髪長身の少女だった。
「よいしょっ」という声と共に少女が地面に振り下ろしていたその黒剣を担ぎなおしたところで、ちょうど土煙が晴れたのか魔琴はようやく少女の相貌をハッキリ視認することが出来た。
金糸のような美しい頭髪とこちらを射抜かんばかりに向けられている紅き瞳はある種の魔性を放っている。
身体つきはどう見ても女子のそれだというのにその半身と同じかそれ以上の大きさを誇る大剣を軽々持ち上げる力は嫌でも少女が常人ではないことを理解させてしまう。
少女の一撃が叩き付けられた地面にはどのような力が働いたのか、円形のクレーターが出来ていた。もし対峙していたのが普通の人間だったなら、その者は脱兎のごとく逃げ出していたろう。
そう、
対峙したその者が、
普通の人間であったなら。
「妖怪か」
魔琴は平然とそう訊いた。
「? ええ。お察しの通り、私は妖怪よ。貴方を食べようと思ってちょっと襲わせてもらったわ」
少女はすんなり魔琴の問に答えたが、内心その様子を不審に思っていた。
何故コイツはこんなにも落ち着いている? このにおいは確かに人間の筈だが、私が恐ろしくないのか、と。
今まで食ってきた人間たちは、皆例外無く自分を恐れ逃げ出すだけの存在だった筈なのに。
「貴方、名前は?」
男は答える。
「綺堂魔琴。お前は?」
「ルーミアよ」
ここまでの問答で少女――ルーミアはそれまで生きてきた経験による勘から、魔琴が只の人間ではないことを本能的に理解した。
「それじゃあ、お腹も空いてきたことだし速攻で終わらせてあげる。行くわよ、ストームブリンガー!!!」
ルーミアがその大剣に叫んだ次の瞬間、全てが闇に包まれた。
いくら魔琴の得体が知れなくても、これをくらって生き延びた者は居ない。
ルーミアの『闇を操る程度の能力』で生み出したこの闇の中では一切の光が断ち切られることは勿論、ルーミアの身体能力は倍となるのだ。
難点はこれを発動した自分自身にも効果が及んでしまうことだが、闇の中で底上げされた身体能力と生き延びるために鍛え上げてきたその嗅覚によってルーミアは相手の位置を正確に把握する。
「(獲った!)」
ルーミアが一っ跳びに距離を詰め、ストームブリンガーを振り下ろし勝利を確信したその瞬間。
パン!!
「なッ!?」
自分を含め、魔琴を覆っていた闇が一瞬にして消え去ってしまった。
「ん?」
そして、魔琴は目にする。闇から姿を現したルーミアが、先ほどまで無かった黒の双翼をその背に生やしているのを。
「くっ!!」
ルーミアはそこで魔琴の実力を未知数と判断。
少なくとも先の現象で動揺した今の自分が戦うのは危険と考え、真っ直ぐ魔琴へ向かっていた身体押しとどめ背は向けることなく後方へ飛翔。
再度能力で闇を出しながら上手く自分の姿を隠し、その場から逃走した。
作者「(´・ω・`)どうも、岸田和魔です」
ルーミア「ルーミアです」
作者「活動報告にて〆切を延ばさせていただき、なんとか予告期間中に投稿することが出来ました」
ルーミア「すっごい無理やり終わらせた感がハンパないんだけど大丈夫? ちゃんと妖精出て来るんでしょうね? 今回私が出るなんて誰も予想してなかったわよ? たぶん」
作者「すみません。構成的にいろいろ突っ込みどころが出てきているかもしれませんが、しっかり伏線は回収して完結を目指しますのでもうしばしお付き合いください(-_-;)」
ルーミア「もう、しょうがないわね。絶対やりとげなさいよ? こんな駄作にブックマーク入れてくれてる神様みたいな人たちが居るんだから、そこんとこ忘れないように」
作者「ハイ。アリガトウゴザイマス。(゜ω゜)ノあ、そろそろオリジナルも進めたいのでそちらが上がるまで次回はお休みです」
ルーミア「……は?」
作者「(;^ω^)駄目ですか?」
ルーミア「……いいえ。それはしょうがないわね」
作者「ですよね!? ですよね!! 良かった( ;∀;)」
ルーミア「も・ち・ろ・ん、それはすッッッッごく面白いのよね?」
作者「(・ω・ )へ?」
ルーミア「だってこんな中途半端なところで止めるんだもの。当然よね?」
作者「いえ……その……あのぅ」
ルーミア「ア゛?」
作者「ハイパー面白いであります(゜ω゜)!!」
ルーミア「よし、言ったな?」
作者「あ……( ゜Д゜)」
ルーミア「それでは作者のハイパー面白い話をどうかお楽しみに」
作者「イイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
――ピチューン!!




