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十話 ~八意研究所~

お待たせしました! 十話です。

「ん……」


 魔琴はパチリと目を開けると、まだ見慣れてないが見覚えのある天井を見た。

 身体を起こし窓の外を窺う。

 そこから覗く朝日に照らされたビル群はまだ寝起きで意識がはっきりしていない 魔琴にも、綺麗なものに感じられた。

 やがて魔琴が起きた影響からか、隣で眠っていたナビも瞼を擦りながら覚醒する。


「おはよう。ナビ」

「うん……おはよう、マスター」


 魔琴はナビの赤髪がボサボサになっているのを見つけ、自身の手櫛てぐしで整える。

 ナビは魔琴の手の感触が楽しいのか、目を細めて気持ちよさそうにしていた。そのとき――


「魔琴ー、ナビー、朝ご飯出来たわよ」


 部屋に入ってきた永琳と目があった。


「「「……」」」」


 数秒の沈黙。そして、


「早く済ませなさいよね。下で待ってるから」


 永琳は諦めたようにそう言って、そのままドアを閉めるのだった。


「あー、焦った」

「大丈夫? マスター」

「……ああ」


 魔琴はそのままナビの頭を撫でる。

 昨日の夜、永琳が帰ってきた後すぐ魔琴とナビに永琳と姫様、四人の話し合いの場が設けられた。

 ナビは魔琴の能力なのに話し合いに参加したのかと思われるかもしれないが、もうナビの存在も割れていることから街中を出歩く時以外は家でも実体化してても良いんじゃね? という魔琴の判断の元、ナビは昨日から今日にかけてずっと実体化している。

 そのため家族で行う夕飯も兼ねるという理由もあり、これにはナビも参加することになったのだ。

 ナビとはまだ会っていなかった姫様は魔琴の膝の上に座る赤髪幼女を見て驚いた様子であったが、魔琴に創られた存在であることを知るとすぐに納得したようで無事に四人での話し合いを始められた。


「昨日の話し合いでお前との触れ合い(スキンシップ)を許してもらえたのは分かってんだけどな」


 それが心配になるほどにその前の説教が効いたようだ。

 その後は魔琴が握ったと思われる秘密の認識を確認された。

 これはなんとか乗り切った形だが、ナビが姫様の情報を調べていなければこの追求に応えることは出来なかったろう。

 姫様だけでなく永琳も不老不死だったという事実は、ナビが二人を調べるまでわからなかったのだから。


「……マスター」

「ん、どうした?」

「おなかすいた」

「ん。じゃあ永琳のとこ行くか」


 魔琴とナビは互いに軽く身支度を済ませ、本日の朝食を取るべく階下のリビングへと赴いた。



「おはよう、お二人さん。意外と早かったわね」


 永琳が料理をテーブルに運んでから席につき、魔琴もそれに倣うようナビを膝の上に乗せて椅子にかける。

 これで全員が席についたと思うと、遅れて姫様が起きてやって来た。


「おはよー……」


 どうやら未だに眠気が残ってるらしく、さきほど起きたナビのように瞼を擦っていた。

 そうして今度こそ全員が席につくと、和やかな朝食は始まった。

 料理は永琳特製の物で、今日のメニューはコーンスープのようだ。

 魔琴はスープを匙で掬っては息を吹きかけて冷まし、ナビの口に運んでから自分の分も掬って飲むを繰り返していた。

 そんな魔琴たちの様子を姫様は気にすることなく黙々と食事を進め、永琳は悟った顔でそれをスルー。昨夜から気になっていたことだけを尋ねることにした。


「今更かもしれない事だけど、魔琴。ナビはあなたの能力なのよね?」

「ん、ああ」


 魔琴は「それがどうかしたか?」という表情で永琳を見る。

 永琳は魔琴の手が止まったのを確認してから続けた。


「いえ、ナビはあなたが作り出した能力なのに食事が必要なのかと思って。ああ、勘違いしないでね。ナビが普段の活動エネルギーをどうやって得てるのか気になっただけだから」

「あー、それはな」


 と、魔琴が答えようとした時。


「最悪食べなくても問題無い。でも、昨日食事という経験をしたことで空腹は覚えるようになった。だから出来るなら食事は一緒に楽しみたい」

「ちょ、ナビ」


 魔琴の言葉を遮る形でナビが答えた。


「おなか、すいたから」


 どうやら早く食事を再開してほしかったことから即答できる自分がさっさと答えてしまった方が良いと考えたようだ。これはしょうがない。


「はぁ……まぁ今ナビが答えた通りだ。このまま不都合が無ければ引き続きナビ共々ご相伴に預かりたいな」

「そう。わかった」


 訊きたいことは以上らしく、永琳は静かに食事へ戻り自分で作ったスープを口に運び満足げな表情を浮かべてからはそのまま黙々と手を進めた。

 姫様も食事中はあまり喋るタイプではなかったため、その後は朝食が終わるまで誰も口を開くことはなかった。



 そして今日も永琳が仕事に行く時間となり魔琴も姫様と一緒にそれを見送ろうとしたのだが、


「何やってんの」


 ツッコミがきた。それに対して本気で解らないという風に首を捻る魔琴に、永琳も本気で溜息をつく。


「はぁ……もう、あなたは今日から私の助手でしょ。忘れたの?」

「……あ」


 ここでようやく、魔琴は先日にあった話を思い出す。

 それは永琳がこの家を拠点として提供する代わりに、魔琴が永琳の助手をこなすというものだった。


「思い出してもらえた? じゃあ行くわよ。それでは姫様、夕刻には戻ってきますから」

「ええ。いってらっしゃい、永琳」

「はい、行ってまいります。ほら魔琴」

「へいへい」

「魔琴さんも、お気をつけて」

「……おう」


 そうして魔琴と永琳は姫様に見送られながら家を後にした。



 それから歩いて数分、魔琴は永琳と共に街の外門近くにある研究所へとやってきた。


「ん……?」


 なにやら立札が掛けられている。


『八意研究所』


「(まんまじゃねーか)」

「使ってるのが私一人だから、小さい方が都合良いの」

「あ? ……ああ」


 どうやら建物の大きさを気にしたのだと思われたらしい。

 だが言われてみれば確かに魔琴は研究所というからもっと大きなものを想像していて、永琳の家より小さいのは意外だった。

 永琳は懐から鍵を取り出すと、固く閉じたその扉に向けた。

「…?」


 魔琴は一瞬だけ永琳その行動を怪訝に思うも、次の瞬間それは解消された。


「図書室、開錠」


 ――ガチャリ。


「ん!?」


 驚いたことに、扉は直接手を触れていないにも関わらず永琳の言葉に従うように開いた。

 そして扉の先にあったのは……。

作者「ω・`)チラ」

作者「はい、どうにか撒いたようです。所詮お姫様なんて幻想ですね」

作者「さて。いよいよ魔琴さんも東方二次創作古代スタートものの定番ポジション、助手にすることが出来ました」

作者「次回も今話と同じく、二週間後の日曜日に更新予定です。よろしくお願いします」

???「ねえ」

作者「(・ω・ )ハイ?」

かぐや「ニコッ☆」

作者「(*´ω`*)」

――ピチューン!!

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