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プロローグ ~はじまりはじまり~

見切り発車ですが頑張ります!

「あれ?」


 なんだここ?

 右見て~、白い。

 左見て~、白い。

 白い空間だ。


「うーん……」


 わからん。

 なんなんだここは。


「とりあえず状況整理するか」


 俺の名前は綺堂魔琴。

 女みたいな名前だが男だ。


「よし。ここまでは良い」


 問題はその後だ。

 これ以外の記憶が全くと言っていいほど無い。

 自分が何時、何所で生まれ、何をしていたのか、その全てがわからなかった。


「おい」


 ん?

 なんか俺呼ばれたような……。

 俺は声のした方へ振り向いた。

 そして、


「……」


 なんかいかにもな杖ついた白髪の爺さんが鼻ほじってんだけどどうすりゃいい?

 目が合い、一時の静寂が流れた。

 そしてこれまたいかにもな白髭を蓄えた爺さんは鼻から指を抜き鼻くそを横に飛ばして、告げた。


「わり。おめ死んだ」


 HAっHAっHA。


「ざけんな♪」

「ごばあぁ!」


 おっと、つい手が出ちまった。

 まだこの爺さんが犯人と決まったわけじゃねえのにワリイことしたな。

 まあ今みたいな態度を腹パン一発で許す俺、優しいでしょ?


「どこがじゃ!年寄りは大切にせんかい!!」

「わるかったよ。で、アンタは?」

「ワシか。ワシは……神じゃ!」

「あ、そう」

「反応薄いのう」

「興味ねえからな。で、俺は誰にどうやって殺された」

「……ワシに――」

「ボディーブロー!」

「ボぉッ!!」

「どうやって?」

「ちょい……くしゃみで――」

「メガトンキック!」

「ぼはァっ!」


 なんか書類みてえなの取り出したん見えたからとりあえず蹴りとばしといた。

 どうせアレだろ。アレが俺の人生(過去、現在、未来、諸々、記憶とか)の書類 だったんだろ。

 透明の液体まみれだったけど。

 って、チッ。もう起きやがった。

 普段蹴りなんてしねえもんだからうまく入んなかったか、糞。


「『チッ』て言った!こいつ『チッ』て言った!しかも『糞』って!『糞』っt――」

「re」

「ごぼあぁ!」


 まったく、こんな奴が神なんて世界も末か。


「ぬぅぅ、すまんかった。ちと悪ふざけが過ぎた。この通りじゃ」


 そうだよ。初めからそう頭下げてりゃ良かったんだ。まあ許しちゃろ。


「そんで?これから俺はどうすりゃいいんだ」

「うむ。おんしにはアニメや漫画の世界に転生してもらおうと思っとる。むろん特典も付けよう」

「ほう」


 神様転生ってやつか。


「わかった。行く世界はもう決まってんのか?」

「東方projectの世界じゃな」

 へぇ、なかなか面白そうじゃねえか。

「ではこのクジを引けい」

「それは?」

「特典じゃ。三つの能力をランダムで授けよう」

「……」

「どうした?はよ引かんか」

 クジ制でも神様特典だ。

 どれを引いてもチートなんだろうが、ここは……。

「なあ」

「なんじゃ」

「三つの特典を一つにして、俺の好きな能力にするってのはダメか?」

「んん?!……ま、まぁそれなら良かろう。して、どのような能力じゃ?」

「『ありとあらゆる力を操る程度の能力』をくれ」

「のあ!?おんしはなんちゅうもの思いつくんじゃ!!チートにも程があるぞい!!」

「だからこの一つにしてやったんだろうが。ありがたく思え」

「当たり前じゃ!!そん能力があれば他ん能力なぞ必要無いわい!!」

「で?出来んの?出来ねえの?」


 まあ言質は取ってんだ。

 神様が撤回はしねえだろ。


「うーむ、仕方ないのう。ほれ」


ほれ来た。


「……ふむ」


 こういう感じか。

 身体に力が流れているのを感じる。

 おうおう、ここもこんなに力が有ったのか。

 神の爺さんと質が同じってこたぁこれが神力ってやつかね。


「……」


 ん?


「どうした神様。黙っちまって」

「む?いやスマン、何でもない」

「そうか」


 よし。


「んじゃ、送ってくれ」

「わかった」


 そう応えた爺さんがコン、と足場で杖を鳴らした。

 直後、俺の身体は光となって其処から消えた。

 さあ――転生だ!





神様side



「はぁ。まったく……」


 神は懐のチリ紙と化した書類を取り出した。


「……」


 神はそれを一瞥し、「ふんっ」と一つ鼻を鳴らすと元の書類へ戻してみせた。

 これによって先の鼻汁で掠れていた魔琴の記憶は戻ったはずだ。

 それに目を通した神は思う。

 ――とんでもない転生者が生まれたもんじゃ、と。

ふぅ。

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