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【何でも対応】
楠木は、山辻に対してこう言った。
「おまえ、しつこいんだよ」
言われた山辻は、いまいち納得しない素振りで残念がりながらポソッと、
「愛してるんだけどな。そんなに重い?」
楠木は迷わず強めに、
「重い。バーベル並べて世界一周できるくらいには」
それを聞いた山辻は、両の瞳を輝かせながら、
「じゃあそれくらいボクの楠木さんへの想いは、しっかり届いてるんですね♪わぁい!」
楠木は内心、憤慨した。
“コイツにはどう言っても無駄か⋯⋯”
窓の外を見ると、曇り空が一段と濃い灰色になっていく。
楠木は缶コーヒーを買いに出た。




