照らされた君と照らして欲しい僕。
「 文芸部だろ?過疎れよ...。 」
学校帰り、
雨上がりの湿気った空気にポツリとボヤいた。
( 部活動ランキング!堂々のワースト1位!!
と思っていた過去の自分はなんと愚かなことか...。 )
と思いながら、
重い足取りで歩く帰り道。
この世の不平不満を考えていたら家に着いていた。
家の前、曇り空の下、曲がった背中で
「 "なにか" いいことないかな...」
根暗な自分にそっと呟いた...。
本日:快晴
昨日の曇天は無かったように雲ひとつ無い。
気分もよく軽い足取りで登校していた道中。
「ちょっといい?」
と後ろから声をかけられた。
振り向いた先には、同じ学校の制服を着た長髪の女の子が立っていた。
ムッとした表情をしているが、白い肌に顔立ちが良く、パッチリとした二重の童顔でとても可愛らしい女の子に、昨日テレビで見たアイドルを連想した...。
(...つい見惚れてしまった)
咄嗟に、
「 あっ...その...え〜と僕ですか??? 」
と聞き返す...
「あなた以外いないじゃない」
女の子は言う。
赤いリボンなので同じ1年生だ。
そんな彼女はもう一言。強気な表情で...
「今日から転校して来て道が分からないの、
だから、学校の場所を案内しなさいっ!!」
と言った。
厚顔無恥の半強制なお願いをされ戸惑いつつも、
なぜかそれが笑えてきて、
クスッと笑ってしまった。
それを見て不満そうな彼女。
彼女は鋭い目つきで僕を睨んだ。
さっきまで可愛らしい二重だった物から、
鋭い眼差しを向けられすぐ案内を始める僕。
学校に着いてすぐ別れてはしまったが、
( 朝の光に照らされた君と出会った初めての日を、
人生の転機になったであろうこの日を忘れる事は無いだろう...。 )
女の子と学級の連絡以外で話さない僕は壮大に出来事を噛み締めていたのも束の間。
担任の一言
「 じゃあ今日は転校生を紹介します。」
担任の先生が
「入ってきて」と言うと。
ガラガラと音を立て、意気揚々と自己紹介を始めた女の子。
先程の彼女がまさかの同じクラスだと、驚きを隠せず。
「ふぇッ!?」
っとあまりに残念な奇声を上げた。
奇声をあげたおかげかクラス中の全員の集中が僕に向いた。
もれなく彼女もこっちを見て、はっとした顔で。
「さっきのっ!!同じクラスなんだぁ!」
と言い。
互いに驚いていた。
美少女と僕が話している現状に、ざわめくクラスの男子を尻目に僕の席にドンと手を付き。
陽の光に照らされた彼女は笑顔で
「これからよろしくねっ」と一言。
やはり彼女はとんでもなく "美少女だ" と確信した。
それと同時に、周りからの目がとても気になり、これからどうなってしまうのか不安ながらも、
僕の何事にも気だるげな日常が変わろうとしていた事をどこかで感じ取れた気がした。