第7話
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
エイジ 40歳 レベル8
スキル 魔力循環 生活魔法 鑑定 身体強化
火魔法 風魔法 土魔法 水魔法
回復魔法 付与魔法
剣術 アイテムボックス
称号 異世界人
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この世界にはレベルが存在する。昨日の借金取りは全員レベルが1桁だったので問題無かったが、今後の事を考えたらレベル上げは必須だ。
因みに門番をしている2人は、レベル17と23だった。魔法の奇襲で先手が取れない限り今の俺では勝てそうにない。
ライターの販売はあの母娘に任せれば良いだろう。俺は今日からレベル上げに専念しよう。
とは思ったが、初日くらいは様子を見に行く事にした。
大通りからは道2本外れた裏通り。露天商はこの通りに集まっている。
最初にこの通りを見つけた時には、壺を売ってる店が多い事に驚いた。日本で壺を売る人なんて99%アヤシイ仕事だと思ってたけど異世界では普通に売っていた。何に使う壺かは宿のトイレに入って納得した。
壺は定期的に回収されて、郊外の畑で使われるらしい。昔の日本と似ている。
あの母娘を探しながら歩いていると、いつの間にか人混みで進めなくなってしまった。
土魔法で足元に30センチほどの台を作くり、その上から人混みの先を覗くとあの母娘が見えた。
シャルティーが俺に気付いたようで人混みに逆らって俺の方に向かって来た。
「ご、御免なさい。ライター全部売れちゃったんだけど、お客さんが帰らなくて・・・」
全部売れた?300個だぞ。まだ朝なのに完売??異世界ってどうなってんだよ。
「わかった。今、宿に行って追加を持って来る。それまで待っててくれ」
俺は急いで宿へ戻るとマジックバックから扉を出して日本へ戻った。
「ふぅー」
日本に居る間は異世界では時間が進まないから、ゆっくり準備してから戻るか。
日本時間は夜だったので、通販サイトで販売されているライターを探して注文しまくる。当然支払いはカードだ。カードの支払日まで11日あるので、それまでにお金を用意しないといけないが今は良いだろう。
ライターの配達は2日後だったので明日1日は時間が空く。
今日は寝て、明日に備えよう。
☆
翌日は早朝から隣町の金の買取店まで足を延ばして金貨2枚を売却する。そのまま隣町の100均を廻りまくってライターを買い漁る。帰る途中も出来るだけライターを買い続けた。
午後からは前回も行った金の買取店に、金貨1500枚を入れたクソ重いリュックを背負って行く。
マジックバックから出したい所だが、それは流石に止めておいた。
店員には「蔵から出て来た」と適当な事を言っておく。概算で1億6000万円。鑑定後に口座振込になるので5日程かかるようだ。カードの支払日まで10日あるので充分間に合うだろう。
金の買取店で近くに税理士の事務所が無いか訊いたら、道の向かい側にあるそうなので事情を説明しに行く。これで税金関係も何とかなるだろう。
その帰り道、バーガー店や弁当屋を廻って食料を買いまくった。アイテムボックスは時間の経過が無いから腐らなくて便利だ。
☆
翌朝、配達員のチャイムで目が覚めた。
通販サイトで3社から其々1万個のライターを購入したから、今日中に3万個のライターが届くと思われる。
今、1社目の荷物が届いたのだがライター1万個のサイズが思いの外デカかった。普通の人は買った事が無い量なので想像出来ないと思うけど、65センチ×65センチ×70センチだ。
これから1日かけて、1本1本パッケージから出してマジックバックに入れ替える作業だ。
ちなみに、昨日100均を廻って購入したライターは全部で4200本。その分は昨日寝る前に終わらせている。というよりも終わったのが午前4時だった。
朝の10時からライターと格闘し続け15時間。やっと入れ替え作業が終わった。ブラック企業に勤めていた頃を思い出すような作業量だった。だが懐かしさは全く感じない。
頑張って開封したがマジックバックに全部は入りきらず、100本ほどアイテムボックスに入れた。
☆
「はぁ、はぁ、はぁ。シャルティーお待たせ。このマジックバックにライターが沢山入ってる」
「ありがとう。頑張って沢山売るからね」
俺はマジックバックとバーガーを4つ渡して、暗くなる前に家に行くから早めに店を終わらせるように伝えた。
シャルティーは人混みの中をスルスルッと縫うように移動して母親の元へと戻って行った。
んー。あれって隠密系のスキルでも持ってるのかな?スキル無しで出来てるなら凄い才能だ。
「さて、俺は俺で自分のレベル上げをしないとなぁ」
俺は門を出て、以前ウォーバッファローと遭遇した場所を目指す。今の俺ならウォーバッファローなら問題なく倒せるからな。
途中、キラーラビットが何匹も襲って来るので剣で首を斬り落としてアイテムボックスに収納していく。
時々森の中からウォーバッファローが突っ込んで来るので、頭部目掛けて真横からエアハンマーをぶつけてウォーバッファローが横を向いた瞬間を狙って首を斬り落とす。
「ウォーバッファローを狩るのも慣れて来た」
ウォーバッファローの巨体から流れる出る血を見て思い付いた。この血を水魔法で操作出来るなら、血抜きが一瞬で終わらないか?
思い付きで始めた血抜き方法だったが、簡単に出来てしまった。血液で出来たウォーターボールは森の中へ射出して終了だ。
アイテムボックスに収納してあったキラーラビットも同様に試してみたが、あっという間に干からびてしまった。丁度良い感じに血抜きが出来るようになったのは5匹目からだ。
「魔法は練習が肝心って事だ」
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・地名とは一切関係が無い訳が無い。