第5話
翌日俺はチョビ髭屋、ではなく、チョビーノの店に100均のコップやA4コピー用紙を売り付けに行った。
チョビーノのテンションがウザかったが、金貨2300枚を得た。
金貨2000枚を日本で売却したら2億円になる。本当に働く必要が無くなったな。
日本は色々と便利だけど良い思い出は無い。これからは異世界で暮らしていくのも良いかも知れない。
帰り際チョビーノに剣術を習える場所を訊いたら、魔法屋に行けば剣術の魔法球があるのでワザワザ習うよりもお金で買った方が良いと言われてしまった。
え?マジで?? 異世界の魔法屋が万能過ぎる!
異世界に来てから毎日のように魔法屋で買い物してるが、金なら有るんだ。使えそうな魔法球はガンガン買っていこう。
☆
「今日も来たのかい。毎日来ても品揃えは大して変わらないよ」
「ちょっと大金が手に入ったから珍しい球が有れば買いたいんだ。何か無いだろうか」
「昨日も金貨250枚支払ったのに、随分と羽振りが良い話しだね」
まぁ、儲かった分の殆どを魔法球に注ぎ込んでるだけだ。散財してるとも言うけど。
金がなくなったら、またチョビ髭屋に行けばいくらでも稼げる。今回持ち込んだ商材はまだまだ残ってるからな。
魔法屋のお姉さんから勧められた魔法球は、アイテムボックスだった。なんと金貨1000枚! 一億円相当じゃん! マジで高い。
「なぁ。お姉さん。もうこの店で相当買ってるんだ。少しは安く出来ないかい? いくらなんでも金貨1000枚は高いよ。安く出来ないなら、剣術の球を付けてくれよ」
という事で、金貨1000枚でアイテムボックスと剣術の魔法球を購入した。
相当ゴネたから、次から魔法屋に行き辛いな。
マジックバックと比較すると、アイテムボックスが高いのは時間停止機能が有るらしい。容量は使う人の魔力量次第だそうだ。残念ながら魔力量は鑑定でも見えないので、実際にアイテムボックスを使ってみないと容量がわからない。そのうち限界量を試してみよう。
アイテムボックスは兎も角、これで念願だった剣術が使えるようになった。俺が風魔法を付与した鉄剣の試し斬りもしてみたい。
と思って、ギルドで討伐依頼を探しているのだが・・・昼も近いこんな時間に良い依頼が残っている訳が無い。
仕方が無いので、適当に森の近くでキラーラビットでも探す事にした。
森と草原の境界を歩く事、1時間。草が足に纏わりついて邪魔なのでエアカッターで刈り飛ばしながら獲物を探す。
物欲センサーが働いているのだろうか? 探すと見つからないキラーラビットだ。
キラーラビット探しに飽き始めた頃、遠くの前方に牛のような動物が現れた。
牛との距離は300メートル以上離れていると思うが、何故か牛と目が合ったような気がした。するとツノを下に向けて俺の方に走り出しやがった。
目が合っただけで攻撃するって、何処のヤンキーだよ! なんて事を考えている内に牛がドンドン近付いて来る。エアカッターを放つと左の前足を切り飛ばす事に成功するが牛は止まらない。
続けてもう一度エアカッターを放つ。牛はバランスを崩しながらも俺に突っ込んで来る。俺は牛を避けながら剣を上段に構えて、思いっきり振り下ろした。
綺麗に首を斬る事が出来たようで、牛の頭部は血をまき散らしながら飛んで行った。残った胴体からは大量の血が流れだしている。
「グロい・・・」
見るのもイヤなので、そのままアイテムボックスに収納した。
牛の首を切断した瞬間、骨を切った手応えを感じ無かったのは付与した【ウイングブレード】の効果だろうか。思いの外スパッと斬れてしまた。
それにしても剣術を取得してて良かった。牛とすれ違う瞬間、咄嗟に体が反応して避ける事が出来た。たぶん剣術で取得した足さばきが無かったら避ける事も出来なかっただろう。
1振りだけだったけど剣の試し斬りも出来たので、もう充分だろう。最初に斬り飛ばした左足と、頭部を回収してギルドに帰る事にした。
ギルドの解体場に牛を出すと、ウォーバッファローという魔物だったようだ。よく見ると足が6本もある。
そりゃあ、足が1本無くなっても走れるよなぁ。
「内臓を棄てない所か血抜きもしてないのか! 血や内臓が必要なのは竜くらいな物だ。 解体料金はシッカリ貰うからな!!」
と文句を言われたが、自分で解体するくらいなら手数料を払う方を選ぶ。
グロ耐性が付くような魔法球って無いのかな?
魔法屋に行って訊いてみたいが、今日散々値切ったから行き辛い。今度機会が有ったら訊いてみよう。
ウォーバッファローの肉、皮、角、魔石は金貨2枚と大銀貨1枚になった。ウォーバッファローは魔物なので魔石が有ったが、キラーラビットの魔石は小さ過ぎて価値が無いらしい。魔石の使い道を知らない俺としては、どうでも良い事だ。
それよりも肉がどんな味なのか興味が有ったが、異世界の調理法は塩味一択なのであまり期待は出来ない。異世界に調味料を持ち込んで料理をしてもらうか?
いや、それなら肉を日本に持って帰って料理して貰う方が良いか。でも何処で手に入れた肉か訊かれると困るな。
うーん。日本で食材持ち込み可の料理店でも探して見ようかなぁ。
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・地名とは一切関係が無い訳が無い。