第33話
これは何の冗談だ?
俺が最後に千秋院と会ってから24時間経ってないだろ。その間にいったい何があったんだ?
俺はすぐに連絡をするが、千秋院は電話に出る事はなかった。
ネットで情報を探るが、千秋院は万能薬(劣化版)の功労者として既に名が売れていた。情報の出所は俺と別れた後に受けた取材だった。だが死亡に関しての詳しい情報を見つける事が出来なかった。
劣化版は確かに安く作れる。あいつはそれを公表しようとしたようだ。
それは千秋院の独断だったのだろうか。それとも佐倉木と相談した結果だったのだろうか。
「くそっ、ネットじゃ何もわからないか」
その時俺に対しての敵意を感じた。家の敷地内に入ろうとしてるヤツがいやがる。
俺は剣を抜いて丁重に出迎える事にした。
「動くな。振り向いたら殺す」
侵入者の背後を取り剣をチラつかせて質問をする。
「千秋院を殺したのはお前か?」
「お、俺じゃない」
「目的はなんだ?」
「・・・」
解析すると日本と言う国家に雇われた犬だった。ただし役職的には護衛らしい。
「話さないならお前のトップ、総理大臣に直接聞きに行っても良いんだぞ」
「!!・・・薬だ。あれは世界を揺るがす物だ」
ん?万能薬は秘密のはずだ。だったら千秋院が受けた取材の事か。
「まぁ劣化版だがな」
「あ!あれで完成ではないのか?」
そこで驚くのかよ。コイツの持ってる情報は少なそうだな。
俺は侵入者の意識を刈り取り、持っていた携帯電話を見つけた。
えーと、着信履歴は・・・あ、10分前か。絶対にコイツの上司だろ。
「あーもしもし。あ?俺の事より、電話の持ち主の心配してやれよ。用件?あぁ、ダチの仇は取るからな!」
部下の心配もしない上司なんて最悪だな。こんなのが国に雇われてるのか。こっちでも大掃除が必要かもな。
☆
「よっ!総理大臣さん」
「誰じゃ?こいつを摘まみ出せ!」
「これは失礼、勝手に入って来ただけだ。外の人は疲れたようでグッスリ眠ってるぞ」
俺は今、総理官邸に来ている。
「ぬぬぬ、出て行け!」
「そう言われて出て行く訳ないだろ。バカなのか?」
「な、何が目的だ」
「なぜ千秋院を殺した」
「あやつは危険じゃ。政府がコントロール出来ん物を作りおった」
カマはかけて見るもんだな。簡単に自白しやがった。いきなり犯人を見つけちまったな。
「ついでに俺も殺そうとしたのか?」
「ま、まさかお前は」
なんだよ、こっちも正解かよ。全部コイツの指示だったのか。
「やったら、やり返されても文句はないよな?」
「くっ!お前らの作った薬が悪い!」
「でも、自分が癌になったら直ぐに手に入れる気なんだろ?」
「そ、それは当然だ」
あぁ話にならないな。こんなのがこの国のトップなのかよ。
「お前は上に立ってはいけない人間だ」
俺は総理の首を斬った。
さてこれからどうしようか?まぁ、逃げるの一択なんだが。
☆
俺が風呂上りのビールを楽しんでいると、ニュース速報が流れた。
総理大臣が暗殺されたそうだ。その後のニュース番組では犯人よりも次期総理の話題でいっぱいだった。
次の総理はもう少しマトモな人にしてくれよ。
さて、日本のお巡りさんは俺を逮捕しに来れるかな?
翌日、俺は千秋院の葬儀に出席した。遺影の写真はあいつらしい白衣姿だった。佐倉木も号泣しており声を掛ずらかった。
そんな中、俺に敵意を向けてるヤツが数人いるな。十中八九、俺を殺しに来たヤツか、千秋院を殺した犯人だ。
俺が会場をあとにすると、俺の跡を付けてきた。そいつの背後に回り解析を使う。
「あぁ、お前が殺したのか」
俺はその男の首の骨をコキッと折ってアイテムボックスへ入れた。
すると俺に殺意を向けてるやつらが俺を包囲するように展開を始めた。
「ふざけんナ!何人いるんだよ」
俺は1人づつ背後に回ってから、コキッとしてアイテムボックスへ入れる。
コキッとしてアイテムボックス
コキッとしてアイテムボックス
コキッとしてアイテムボックス
10人程入れた所で敵意を感じなくなった。これで終わってくれれば良いな。
翌朝は、120メートル離れた位置から殺意を感じた。どうやら狙撃手まで用意したようだ。
俺はコッソリ家から出て狙撃手の背後に回り、コキッとしてアイテムボックスへ入れた。
てか、暗殺者ばっかりで警察が来ないじゃないか!警察仕事しろよ!
国に雇われた暗殺者が諦めない。指示を出した総理大臣が居ないのにまだ諦めないって事は、他にも多くの政治家が関与しているんだろう。
国会議員とその周辺の人だけで数千人はいるぞ。全員を解析するなんてムリだ。
今の状況を終結させる方法かぁ・・・
千秋院は取材を受けて何をした方んだ?アイツは地位や名誉を欲するような人間じゃない。ただの研究バカだ。そんな彼女がマスコミを使ってでもしたかった事。
あぁ、次の研究への布石か?
劣化版の製造方法を公開して世界中で研究させる。新たな発見があれば、それを元に万能薬を完璧万能薬に進化させる礎にしようとした?
研究に人生の全てをオールインした彼女なら、そう考えたのかもしれないな。
早速俺は劣化版の製造方法をパソコンで印刷して、各メディアへ送付した。
ネットへの書き込みは公共のWi-Fiから行った。
☆
当初は信憑性の無いネットの書き込みとして世間を賑わすだけだった
3日後に検証の結果、公開された製造方法が正しいと海外で報道された。やはり日本の報道機関は圧力に屈したようだ。
だが、これで世界中が知ってしまった。もう俺1人を暗殺しても意味がない。
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・地名とは一切関係が無い訳が無い。




