第31話
久し振りの異世界は以前のと何も変わらない。
首から下げた2つのリングを服の上から握り締めて、1階の食堂へ降りていく。
居るはずの無い2人の姿を目線で探してしまうのは、2人の事を忘れたくないと俺の心がザワつくからだろう。
もちろん忘れたりはしない。
久し振りの異世界の食事。塩味しかしないクソ不味いメシが懐かしい。
・・・うん。大丈夫だ。もう涙は出ない。
思い出があるだけだ。
宿を出た俺は魔法屋に寄るが目新しい物は見つからなかった。
その足で冒険者ギルドにも行くが、なんとなく違和感がある。初めて入る街のギルドだからだろうか?
索敵を使うと、俺に対しての敵意が感じられる。
なぜだ?
俺はまだこの街に来て何もしてないのにな。
ギルドの近くの食堂に入り、周りの様子を観察する事にした。
飲み物だけを注文して、バーガーを取り出して食べる。賞味期限の日付が10年前になっていて少し笑ってしまう。
「なんだそれぇ美味そうだなぁ」
「おぃ、辞めとけょ」
隣の席に座っていた獣人のカップル?コンビ?が俺の席までやって来た。
「食うか?やるよ」
俺は賞味期限が10年前のバーガーを2つづつ渡した。
「良いのか?すまんなぁ」
「やったぁ!いっただきまぁすぅ!」
遠慮の無さがクロッチを思い出して少し楽しいな。
「俺はエイジ、あんたらは?」
「もぐモグもぐモグ」
「・・・食いしん坊がミューで、俺がドロアだぁ」
「よろしくなミュー、ドロア」
「あぁ、よろしく。エイジは冒険者なのかぁ?」
「ああ、そうだな」
「なら、一応教えておくがぁ街の北側には行かない方が良いぜぇ」
「なんでだ?」
「悪魔が住む館があるんだぁ」
「悪魔・・・」
「噂ではぁ館に入った奴は皮を剥がされて殺されるらしいぜぇ」
「どこにあるんだ?」
「おぃおぃ、行くつもりかょ。辞めとけってぇ」
「悪魔にはチョットした思い入れが有るんでな」
悪魔はぶっ潰す。根こそぎだ!
「はぁ。北に向かう大通りを進めば、嫌でもわかるぜぇ」
「ありがとう」
「行くなとは言わないがぁ、気を付けろょ」
「あぁ、そうする」
てか、ミューの奴食い過ぎだろ。ドロアに渡した分も合わせて4つ喰いやがった。
☆
ここが悪魔の館だろうな。すぐに見つかるような事を言ってたけど、大通りでマトモな建物がコレしか無い。
入ってみるか。
ギィィィィィ
「ここが悪魔の館か?」
「そうよ。死になさい!」
「アクセル!」
後ろからババアが鎌を振り下ろして来たので思わず斬ってしまった。
「ギャァァァァァァ」
ババアが灰になって消えて行く。
「この程度か」
扉を開けて奥へ進むと何人もの死体が転がっていた。
「あら、どなたかしら?」
「悪魔が嫌いな普通の人間だ。人を殺してるなら退治しようかと思ってな」
「あら、少しだけ遊んであげるわ」
部屋中に隠れていた悪魔が一斉に飛びかかって来るが、斬り捨てると灰になって消えて行く。
「なっ!何て化け物なの!」
「悪魔にだけは言われたくねえな」
「あなた本当に人間なの?」
「正真正銘、普通の人間だ」
話してる時くらい攻撃を辞めろよ!礼儀が成って無いな!まぁ、近付いて来る悪魔は斬って灰に変えれば良いだけだ。
「クソッ!こうなったら出て来なさい!」
「お、おい!なんだよ、その大きさは!そのデカさで立ち上がったら!」
ほらな、天井が吹き飛んで館が崩れ出した。
「デカ過ぎるだろ!どうやって室内に入ったんだ?」
ブォン!と、空気を斬り裂く音が聞こえると同時に俺は横に吹き飛ばさた。
「ヒール」
「あら、まだ生きているの?」
「本気出さないとマズいかな」
「エアハンマー」
「エアカッター」
「アイスニードル」
「アクセル」
巨体がバランスを崩して頭が下がったので、首を斬って全てを灰にした。
「よ、よくも館を壊してくれたわね!」
「それは、俺じゃねーよ!」
「お前は絶対に殺す!!」
何だ?黒いモヤ?霧?が放出されて、俺の周りに纏わりつき始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
エイジ 40歳 レベル105
力 SS
体 A
速 S
知 A
魔 SS
スキル 魔力循環 生活魔法 鑑定 身体強化
火魔法 風魔法 土魔法 水魔法
回復魔法 付与魔法
剣術 アイテムボックス テイム
槍術 索敵 気配遮断 雷魔法
認識魔法 空間魔法 体術
時間魔法 投擲 解呪魔法 解析
称号
状態 呪い
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なるほど、呪われたのか。
「解呪!」
「はあぁ!?なにしてくれてんのよ!」
「もう良いだろ。終わりにしよう」
「ギャアアアアァァァァ!」
縦に真っ二つになった悪魔は灰になって消えた。
最後の断末魔まで五月蠅かったな。
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・地名とは一切関係が無い訳が無い。




