第3話
「あんた、また来たのかい」
「あぁ。生活魔法は完璧に覚えたから違う魔法を買いに来た」
俺は生活魔法を購入した魔法屋に再度来ている。今回はギルド証も有るので攻撃魔法を買うつもりだ。
確かに生活魔法も凄いんだけど、手品や隠し芸のレベルなんだよ。もう少し派手な魔法っぽい魔法?が欲しくなったんだ。
「あんたが使えそうな魔法で、今在庫があるのは、鑑定 身体強化 火魔法 風魔法 土魔法 水魔法くらいだね」
鑑定は金貨30枚、他のは金貨10枚なので全部買う事にした。金なら有るから大人買いだ!
「私は儲かるから良いけど、あんたも物好きだねぇ。それと魔法の練習は街の外に行きなよ。間違ってもウチの店の中で使うんじゃないよ」
前回は店内でトーチを使い、大騒ぎして迷惑をかけたからな。気を付けよう。
☆
「おいおい、あんた。今から街の外に出るのかい?」
魔法の練習をしようと思い、街から出ようとしたら門番に声をかけられた。
「出たらダメですか?」
「まぁ、ダメじゃ無いがもうすぐ日が暮れるのに武器も持たないで何処に行くつもりだ?」
門番の服装を見ると、1人は剣を腰にぶら下げており、もう1人は槍を持っている。俺も武器を買うべきだろうか?買った所で剣も槍も使えないんだが。
「街の外は、魔法が使えても武器が無いと危険ですか?」
「何を言ってるんだ? 魔力が尽きたらどうするんだ! 見た所素手で戦えるような鍛え方もしてないようだが」
「・・・すみません。初めて魔法を取得したので気が大きくなってたようです。今日は街に帰ります」
「気持ちはわかるゼ。だが用心はしておきな」
「ありがとう」
ちょっとお節介な門番だったけど、悪い奴じゃ無いんだろうな。世間知らずの俺の事を心配してくれたようだ。
今日は街の宿に泊まって、魔法の練習は明日からにしよう。
1泊素泊まり銀貨5枚の宿にする。食堂も有るので別料金を出せば食事も摂れる。
案内された部屋は、3畳ほどの広さでベットだけがある部屋だった。
正直、滅茶苦茶狭い! 日本で素泊まり5千円ならもう少し充実した部屋だと思うのだが、これが異世界クオリティーなのだろうか。
異世界にはマジックバックが有るから荷物が少なくて済むので、この狭さなのかも知れない。
ちなみに、ドアの鍵は内側からカンヌキをかけるようになっていた。部屋の外からは鍵をかけれない仕組みだ。部屋から出る時は盗まれないように全部荷物を持ち歩く事が必要だな。マジックバックがある世界だから、こういう所は進歩してないんだなぁ。
「あ!」
俺が異世界に来た扉は鍵も付いて無い。誰かが見つけて勝手に俺の家に入ってないだろうな?
俺は宿を飛び出し大通りを走って扉のある路地へ入る。そして地球へ戻ると、俺への部屋には誰も居なかった。誰かが入ったような形跡も無い。
「ハァ。とりあえず、一安心だ」
家に戻ったついでに、引越の荷物などを全部マジックバックに収納して再び異世界へ。
異世界側の扉をマジックバックに入れようとして、入ってしまった!
・・・持ち運べるようになった事は良い事なので、深く考えないようにしよう。
宿に戻る途中、流石に腹が減ったので屋台で焼串などを買い食いしながら戻る。
屋台はそれなりに美味かったが、宿の飯は不味かった。一言で言えば、味に深みが無い。焼串は塩味だけでも許されるが、宿のスープも味付けは塩だけのようだ。
この街では塩は割と安いのか塩味だけはシッカリとしている。が、それ以外の出汁や香辛料はほぼ使ってない。
「こっちの食生活は、日本人の俺には厳しいなぁ」
☆
「フーー。ヤバい」
翌朝、宿で目を覚ますと体中がバキバキだった。
ベットの異世界クオリティーは最悪だった。異世界で寝るには日本からマットレスを持ち込まないと体が壊れそうだ。40歳なんだから無理は禁物だ。
もっとマジックバックを購入するべきだろうか。少し悩ましい。
街の外へ向かう途中、武器屋を見つけたので入ってみた。
陳列されてる武器は殆どが鉄製だ。それも鍛造ではなく鋳造だ。剣は一応研いで刃が付けてるが、どう考えても重さで叩き切る仕様だろう。身体強化を使ったら俺にも使いこなせるのだろうか?
1つ手に取ってみるが、どうにも重い。剣に体が振り回される感じがする。
「オヤッさん、これよりも軽い剣は有るかい?」
「予算はいくらだ?」
「サヤを含めて金貨2枚までだ」
鍛冶屋のオヤッさんが出して来たのは、2本の剣だ。
俺には剣の良し悪しなんて解らないので、鑑定を使ってみた。
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鉄剣 +
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鉄剣 ++
【 】
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「どっちも金貨2枚だ。好きな方を選びな」
ん?鑑定結果では明らかに違いがある。鑑定を使わないと違いが解らないのか?
俺は迷わず、鉄剣++の方を購入した。良い剣を買っても今の俺には使いこなせるとは思えないので、飾りにしか成らない。それでもレアリティの高さそうな方を選ぶのは貧乏性のサガだな。
「なぁ、オヤッさん。生意気な事を訊くようで悪いんだが、鍛造で作った武器はあるかい?」
「そりゃあ、ミスリルを使った武器なら鍛造で作るが、鉄の武器は鋳造で充分だろう」
ミスリルは鍛造してるのに、鉄は鍛造しないのか? 鉄だって鍛造すれば充分丈夫な武器になるのにどうして作らないいんだ? 何か理由があるのか?
「鋳造で充分って、どういう意味だ? 鉄だって鍛造すれば良い武器が出来るだろ」
「確かに鍛造の方が手間はかかる分良い物は出来る。だが、所詮は鉄だ。ミスリルには敵わねぇ。それに鍛造した所で鉄は魔力の流れが悪いままだがミスリルは違う。鍛冶師の腕次第で強度も切れ味も変わるんだ」
この世界には魔力って物が有るんだったな。日本刀であっても鉄は鉄だ。モース硬度の限界は超える事は無いって事だ。
でも魔力を流したミスリルはファンタジーパワーでモース硬度を超えて強く硬くなる、という意味なんだろう。
「参考までに教えて欲しいんだが、ミスリルの剣はいくらくらいするんだ?」
「最低でも白金貨10枚以上だ。ウチでも素材が有れば年に1本くらいは作るんだが最近はミスリル鉱石が品薄らしいから、白金貨50枚でも厳しいだろうな」
おいおい、白金貨50枚って事は金貨5000枚って事だろ。金貨1枚が10万円相当だから5億円って事か!
それって一般人が買えるような武器なのか?
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・地名とは一切関係が無い訳が無い。