第21話
旅支度の為に食料を買いに行っただけなのに、2週間以上日本に滞在していた。このタイミングで日本へ戻らなければ“押入れの扉”を死守出来なかった可能性もあるので、手遅れにならなくて良かった。
今は新しい街のギルドに来ている。依頼書を見ると地竜討伐がある。本当に地竜が近くにいるようだ。
ギルドでの情報では、地竜は空が飛べない代わりに皮膚が頑丈らしい。素材が貴重なので火魔法は厳禁と言われた。血液まで素材として使うなら丸焼きにしたら意味が無いよな。
いつものようにギルドで依頼は受けずに、勝手に狩りに行く事にした。
地竜はレッサードラゴンとはサイズも強さも別物だった。
一応、竜種らしいので言葉が通じるか試したみたが、「ウォォオオオオオオ」と吠えられて終わった。知能は無いようだ。
地竜が突進してきたのでサンダースピアを放つが、一瞬怯むだけで突進を止められない。横に飛んで躱そうとするが、巨体に似合わない機敏な動きで頭突きを繰り出してくる。
「ヒール」
正面からは分が悪いのでなんとか地竜の側面に回り込むと、今度は尻尾を振って攻撃して来る。【ウイングブレード】で受け流すと、剣が折れて俺は吹き飛ばされた!
「ヒール」
それからは魔法での遠隔攻撃をしつつ、1撃をくらってはヒールの繰り返しだ。
戦いは、魔力が尽きれば俺の負けが確定する我慢比べだった。
俺は魔法攻撃を首に集中させて放っていたいたが、同じ場所に4度目のエアカッターが着弾して地竜の首が落ちた。
すぐにアイテムボックスに収納すると、俺はその場で大の字になった。
「キッッッツイなぁ。勝てたけど」
戦いに勝ったというより、我慢比べに勝っただけだ。剣は折れ、鎧は壊れて、服は穴だらけ。靴は片方何処かへ行ってしまった。
暗くなる前に街に戻るようボロボロの体にムチを打って歩く。宿に着くとビックリされたが、今は説明するよりも休むのが先だ。
翌日、筋肉痛の体を引きずりながら、武器屋と防具やをまわった。
剣は以前ドラゴンから貰った鱗を素材に作って貰う事にした。鎧は前のと似たような物を調整して購入した。靴も似たような物を購入した。
俺は街の外へ行き、周囲に人影が無い事を確認してからアイテムボックスから地竜を取り出した。
水魔法を使って血液を集めて、ゴミ袋へ詰めていく。10袋に詰めたがまだ血抜きが終わらない。
面倒になって来てので残りはギルドの解体場に渡す事にした。勿論、肉は俺が食べる用に半分は売らずに戻して貰うし、皮は鎧を作る分は戻して貰う。
この街は地竜の素材が取れるだけあって、錬金術師もそれなりに多く住んでるようだ。地竜の血から万能薬を作ってるらしい。地竜の血以外の素材は常備していると言うので、血液10リットルと白金貨1枚を渡して万能薬の製造を頼んだ。
俺は剣と万能薬が出来るまでの3日間を疲れた体の回復にあてた。
とは言っても寝ていただけでは無い。ギルドに解体の終わった肉や皮を受け取りに行ったり、魔法屋で体術の魔法球を購入して実際に試したりしていた。
3日後、完成した剣はドラゴンソード+++で空きスロットがあった。早速風魔法を付与した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドラゴンソード +++
【ドラゴンウイングソード】風属性がついたドラゴンソード
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なかなか強そうな剣だ。これからのメイン武器になりそうだ。
錬金術師に頼んでいた万能薬も完成した。形状は小さな粒の丸薬だった。小瓶に入れられて渡されたが117粒作れたそうだ。
血液10リットルで作れた万能薬の数が117粒なのは、多いのか少ないのかわからない。が、出来たので良しとしよう。余ったお金を戻されたので御礼という事で押付けると、小躍りをしていたのが滑稽だった。
出来れば、ドラゴンの皮で装備も作りたかったのだが今回は作らなかった。
装備を作る職人がギルドからの依頼でドラゴンの解体や皮の加工で天手古舞だ。今から装備の制作を依頼しても10日間は作る時間が無い!と言われてしまったのだ。
俺は再び地竜が住む草原に来ていた。目的はドラゴンソードの試し斬りだ。
地竜のレベルは150前後、それに比べてドラゴンソードの素材はレベル400超えのドラゴンだ。試し斬りには丁度良いと思ったし、地竜以外に目ぼしい魔物もいない。
突進してくる地竜にサンダースピアを放ち、近付いて来たらストーンウォールを作って隠れながら突進を避ける。ストーンウォールは頭突き一発で簡単に壊されるが、その時には既に俺は地竜の頭上へとジャンプしていた。
上空から地竜の首目掛けてドラゴンソードを振り下ろすと地竜の頭部が1撃で落ちた。
「前回は満身創痍だったのに、今回は1撃か」
前回と違い体術を取得した影響で身のこなしは格段にあがっていた。ジャンプ出来たのもこの影響が大きい。だけどドラゴンソードが無ければここまで一方的な戦いには成らなかっただろう。
俺は地竜をアイテムボックスに収納して街へ戻った。
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・地名とは一切関係が無い訳が無い。




