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第16話

 結局、滞在していた3日間何もなく終わった。


 報奨金も無事に受け取り、この街を出発する事になった。

 俺は報奨金の他に、爪切りと爪ヤスリの代金も貰った。

 この街でも魔法屋には行ったが、何も買わなかった。


 街を出て半日、街道が山道に差し掛かると道の先で大男が仁王立ちしているのが見えた。


「テーブラ、先に行って確かめてくる」


 俺は走って向かうと、似たような顔を2度も見た事がある巨人族が待ち構えていた。


「お前がベンジョオか?」


「誰だお前は?」


「お前の兄弟を殺したのは、俺だ」


「ハッハッハッハッ。こんなチンケな男に弟達は殺されたのか。あいつらはほんと使えねえな!でもお前は死んどけ!」


「危なッ!」


 ベンジョオの武器は長槍だった。俺から見えないようにデカい体で隠していたようだ。斬り込もうとした俺にカウンターで突きを放ってきた。

 1撃目は躱せたが、そこから怒涛の連続突きで態勢が崩れた俺は脇腹を刺されて後退した。


「ぐはっ!ヒール」


「は?その程度なのか?」


「ふぅ。フレイムランス!」


「あぢぢぢぢっ」


「ファイヤーストーム」


「ぐおおぉぉぉぉぉぉ!ウオオォォォォォォ!」


 長槍を薙ぎ払い、振り回し、魔法を打ち消しやがった。


「はぁ、はぁ、はぁ、」


「ストーンニードル」


「ぐあぁぁぁ!」


 ベンジョオの足元から出現させた石の槍は、左脚を貫く事しか出来なかったが動きは止まった。

 手の力だけで振り回してくる槍に対して、【スタンブレード】で受け流しをすると感電して一瞬硬直した。


「エアカッター」


 次の瞬間“ゴトン”と首が落ちた。

 周りで俺たちの戦いを見ていた盗賊たちは、戦いの結果を受け入れられずに立ち尽くしている。

 そんな盗賊たち全員に、俺はエアカッターを放って両足を切断しまくった。


 護衛と馬車が俺の場所に追い付いた時には死屍累々の状況だったが、テーブラが生き残っていた盗賊からアジトの場所を聞き出した。

 俺とテーブラはアジトを潰し、2人の女性を助けた。荷馬車も隠してあったので助けた女性たちを乗せて合流した。


「エイジ、ボスは強かったのかにゃ?」


「今回はヤバかった。相手の方が一枚上手だった」


「勝てて良かったのにゃ」


 俺もそう思う。回復魔法が使えなければ死んでたのは俺の方だ。ファイヤーストームを力づくで消し去るような脳筋のくせに、長槍を隠すような知恵まである。俺が勝てたのは金の力で魔法球を買いまくってたおかげだ。それでも紙一重だったけど。


 アジトを潰すのに多少の時間は使ったが、馬車が増えた分移動速度が速くなった。

 次の街まで3日の予定だったが、翌日には到着した。


 この街でも報奨金で3日待たされるようだ。

 俺たちはまた滞在中もムダな護衛をするのかと思っていたら、領主の判断でしない事になった。


 新しい街に来たら、俺が行く場所は決まっている。魔法屋だ。

 だが今日はナゼかテーブラとクロッチも付いて来た。


「何か珍しい魔法球はあるかい?」


「空間魔法が入ってるよ」


「空間魔法?何ができるんだい?」


「空間魔法は別空間を作ったり、大容量のマジックバックなんかを作るのに使われてるよ」


「へぇ、別空間か。じゃあ、それを買うよ」


 大金貨5枚を渡して購入した。マジックバックを作るには認識魔法と付与魔法も必要だと言われたがどちらも既に持っている。


「魔法屋なんて来た事なかったけど、結構な金額するんだな」


「ウチも始めて入ったにゃ!」


「ところで、大容量のマジックバックが作れるようになったのかい?」


「作って欲しいにゃー」


「作れるかわからないけど、試しに作るのは良いよ」


「よーし!バック屋に行こう!」


「ウチも可愛いバックを選ぶにゃ!」


 練習だと思って作ってみよう。と、軽い気持ちでOKしたのが悪かった。

 バックを選ぶのにバック屋を廻り続けて3時間。いい加減にして欲しい。


 作るのは割と簡単なようで、バックに空間魔法と認識魔法を同時に付与するだけ。ただし、込める魔力量によって容量が変わるので、思いっきり魔力を込めた。

 2つのバックに付与が終わると、頭が少しクラクラした。貧血に似た状態だ。

 バックを受け取った2人は喜んで浮かれているが、俺は魔力切れでグロッキーだ。夕食まで俺はそのまま休む事にした。


 ☆


「これ、2人にあげようと思って作ってたんだ」


 俺は4本のサバイバルナイフを出した。2本には火魔法を付与し、もう2本には水魔法を付与したナイフだ。


「本当に良いのか?結構な業物じゃないのか?」


「綺麗なナイフにゃ」


 テーブラとクロッチは誰がどのナイフを貰うかで話し合ってる。

 分け方としては1人2本づつになるだろう。だから火魔法を2本か水魔法を2本か火魔法1本と水魔法1本の3通りしか無いのだが、クロッチが投げナイフとしても使いたいと言って3本を要求し始めた。


 ハァ、話し合いが終わらない。食堂で渡すんじゃ無かった。メシが食えないじゃないか。

 食堂の女将さんに助け舟をお願いしようと目線を送るが、“男のアンタがどうにかしな!”という目線を返された。


 結局、それぞれ1本づつ火魔法と水魔法のナイフを持つようだ。色んな属性の武器が有った方が戦いには便利だから良かった、良かった。


この物語はフィクションです。  

実在の人物・団体・地名とは一切関係が無い訳が無い。


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