第14話
護衛を始めて2日目。日々の食事は干し肉だ。毎日毎食干し肉だ。流石に飽きた。
まぁ、1日目から飽きてたのだが、もう限界だ!バーガーが食べたい!!
だが、他の護衛もいるし護衛対象もいる。俺だけ食べるには気が引ける。
だ、か、ら、全員にバーガーを配った。これで心置きなくバーガーを楽しめる。
「エイジ、これはなんだ?」
「俺のお手製の飯だ。紙で包んであるから開けてからカブリ付くんだ」
俺は説明しながら実際に食べてみせる。
あぁぁぁ。旨い。久しぶりのバーガーは最高だぁ。
「何だこれは!美味い美味いぞ!」
「美味すぎるにゃ!」
最初は怪しんでいたが、テーブラが一口食べたら護衛全員が貪るように食べ始めた。
1つ目を食べ終わった時に不穏な会話が聞こえてきた。
「ど、どうする?一応、お嬢様にもあげるか?」
「美味いとは言え、護衛の食事だぞ。お嬢様に食べさせる訳には・・・」
「ご。ごほん」馬車の中から声がした。
「許す。妾にも渡すが良い」
「・・・承知しました」
多めに配ったので、馬車の中の人に渡しても足りない事は無いだろう。
「うまっ!」
「はしたないですよ。うまっ!」
なんだか馬車の中も騒がしい。
御車にも配って皆でバーガーを食べた。
干し肉と硬いパンだけの質素な食事で旅をする経験は出来た。でも、そんなのは1日で充分だ。
それからは、毎食バーガーを所望されるようになった。バーガーの在庫は120個、毎食20個は配るので2日で無くなってしまう。次の街まで3日だ。
俺が食事のヤリクリを悩んでいる時に、護衛のみんなは美味い食事の事しか頭に無い。
「夕食にはチーズが入ったのを食べたいにゃー」
「クロッチ、気を抜き過ぎよ。それにチーズはあたしが食べるわ」
どいつもこいつもバーガーの話しをしている。
と、そのときファングベアが現れた。
「全員戦闘たぃ・・・」
「あ、すまん。倒したらまずかったか?」
俺はファングベアまで射線が通ったので、反射的にエアカッターを放ってしまった。
「いや、ありがとう」
「あれって、解体したら食べれるのか?」
「食べてるでしょ?みんなが宿で食べてるのも魔物の肉よ」
「じゃあ、今日の夕食はファングベアのステーキにしようか」
俺の言葉を聞いた護衛達は一斉にファングベアの解体を始めた。
俺は解体は手伝わずに馬車の近くで待機だ。俺は解体が出来ないし、内臓とかグロいし・・・
「ファングベアの肉か、妾も始めてじゃ。楽しみじゃ」
と、聞こえたような気がしたが、気のせいだろう。
☆
焼肉が始まった。護衛が護衛の仕事そっちのけでガツガツ食べ始めてる。夕食はステーキとは言ったが、この様子はまるでキャンプでの焼肉だ。
俺も1口食べてみるが、どうも獣臭い。
俺は“かけるだけで美味しくなる万能焼肉調味料”が引っ越し荷物の中に入れたままだった事を思い出してアイテムボックスから取り出した。
試しに1フリして食べると絶品だった。
「ど、どうする?一応、お嬢様にもあげるか?」
「美味いとは言え、魔物を焼いただけの食事だぞ。お嬢様に食べさせる訳には・・・」
「ご。ごほん」馬車の中から声がした。
「許す。妾にも渡すが良い」
「・・・承知しました」
なんだろう。毎回この茶番は必要なのだろうか?
貴族とか偉い人には必要な手順なのだろうか?異世界の常識に乏し俺にはわからない。
調味料が無くなっても肉を食べ続け、結局丸々一頭食べ尽くしてしまった。
「ウチ、食べ過ぎてお腹が痛いにゃ」
「あたしも、ちょっと食べ過ぎたわね」
異世界人の腹はどうなってんだよ。胃袋の一部がマジックバックになってるとか無いよな?あれ、マジックバックの素材ってカエルの胃袋だったよな。
翌日からはファングベアやウォーバッファローの姿が見えると俺が瞬殺して、焼肉が始まる。
魔物を狩れない時は、俺がバーガーを配給する事になった。
こうやって旅をしてみると、魔物が多い方が食生活が充実した良い旅に成るんじゃないのか?倒せればの話しだが。
ようやく次の街に着いた。道中、ベンピィの弟に襲われた事をギルドで報告するとベンツゥ盗賊団だったらしく報奨金が出る事になった。支払いの為に3日待つように言われたので、この街で3日間の滞在が決まった。
お嬢様は街のお偉いさんの屋敷に滞在するらしく、俺たち護衛は3日間を適当に過ごす事になった。宿はテーブラやクロッチと同じ所にした。
ちなみに、俺は護衛依頼を受注出来る資格を持って無い。雇われた経緯をギルドに説明すると、直接雇い主から雇われたなら問題ない。がトラブルが起こってもギルドは一切関知しないと言われた。
まぁそりゃあ、そうだろう。ギルドの一定の基準を満たしている人をギルドが紹介するんだ。ギルドの基準を無視して勝手に雇ったのなら全部雇い主の責任だし、ギルドとは関係なく雇われたなら雇い主側に不手際が有ってもギルドに泣きつく事は出来ないよな。
俺は宿の部屋に入ると、扉を出して日本へ戻った。
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・地名とは一切関係が無い訳が無い。




