第11話
「旅人殿!」
「ん?あぁ俺か?俺はエイジだ」
「あたしはテーブラ、名前も知らず共闘していたとはな、あはは」
「そういえばそうだったな」
地球での手続きが一段落したので、俺はまた異世界に戻って来ている。
今は、街に入ってギルドに盗賊討伐の報告をしに来ているところだ。報告とは言っても、俺は雇われた護衛では無いので報告に立ち会ってるだけだ。
俺と一緒にアジトを潰しに行った護衛がテーブラさんと言うらしい。年齢は20代だろうか。なんというか・・・結構な胸部装甲をお持ちの女性で、名前がテーブラ?手ブラ?って邪まな考えが頭をチラついてしまう。
「で、こいつらはベンピィ盗賊団で間違い無いらしい」
「なんだそりゃ?」
「この辺りでは有名な盗賊団だぞ。ボスのベンピィはエイジが倒したあの大男だ」
「あぁ、巨人族の」
全く、クソみたいな盗賊団だな。巨人族だからネーミングセンスが人間とは違うのかもな。
「それで懸賞金と報奨金が出るから、数日この街に滞在して欲しいと言う事だ」
「あぁ、急ぐ旅でも無いから良いぞ」
「そうか、それなら残りの報告は私がやっておくから宿が決まったら教えてくれるか?」
「ギルドに伝言すれば良いんだろ?じゃあ俺は宿を探しに行くよ」
俺は手を振ってギルドを出た。
宿を探す前に、まずは魔法屋に行って見よう。
この街は俺が今まで居た街よりも小さいようだ。魔法屋は見つかったが品揃えが悪い。少ない魔法球の中から雷魔法を見つけたので金貨15枚で購入した。
魔法屋の隣に武器屋が有ったので入ってみる。並んでいるのは全部鋳造された剣だけだったが、剣++で空きスロットが有るのを見つけたので購入した。付与して予備の剣にしょう。
宿を探していると、服屋でフード付コートが目に入った。テーブラさんも似たようなのを着ていて、カッコイイと思ったので俺も買ってみた。似合うと良いな。
そこそこの外観の宿を見つけたので5泊で宿を取る。部屋は相変わらず3畳ほどの狭さだった。異世界ではこの狭さが普通のようだ。
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鉄剣 ++
【スタンブレード】雷属性がついた鉄の剣
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さっき買った剣に付与魔法で雷魔法を付与してみた。この剣は斬ると同時に電気ショックを与えるのだろうか?流石に自分には使えないので機会が有ったら魔物相手に試してみよう。
いつも使っている風魔法を付与した剣は、斬る瞬間にウイングブレードが射出されているようで鉄の刃が当たる前に切断する。タイミングを合わせたら飛ぶ斬撃も作り出せたが、なかなか的に当らないのでエアカッターの方が使い勝手が良い。
付与も成功した事だし、そろそろ昼食にしよう。
始めての街の初めての宿だから、久しぶりに異世界の料理を食べてみようと思う。
「エイジ殿?」
「ん?テーブラ?」
1階の食堂に行くと装備を外してラフな格好をしたテーブラがいた。
「エイジ殿もここに?」
「あぁ。奇遇だな」
「にゃっ。ウチはクロッチにゃ。馬車も別だったから話す機会が無かったにゃ」
「エイジだ。よろしくな」
もう1人の護衛は獣人だったのか。フードを被ってたから気が付かなかった。猫ミミが付いてるから猫の獣人なんだろう。クロッチという名前の割に黒毛ではない。
たしかクロッチは“だよねー”という意味だったと思うけど、相棒の名前が“手ブラ”と知った今なら“股布”という意味の方がシックリ来てしまう。そのシッポが何処から出ているのかも気に成る所だ。
「ニャニャッ!尻尾は触らせないにゃ!尻尾を触って良いのは旦那様になる人だけにゃ!」
「そ、そうか。わかった。スマン」
「ど、どうしても触りたいなら、ウチを娶るにゃー」
シッポを見てはいたが、冗談で言ってるのか、本気で言ってるのか全くわからない。
獣人の常識がわからないぞ!誰か教えてくれ!!
「巨人族の盗賊を簡単に斬り伏せたのに、人を殺したのは初めてだったのかにゃ?」
「強さなんてモンスターを倒してれば勝手についてくるだろ」
「そりゃあ、まぁ。そうにゃ」
「いや、そのような意味ではなく、ボスを一瞬で倒せる強さになるまでに盗賊を相手にした事は無かったのか?」
「俺は弱っちい時から前の街で商売をしながらレベル上げしてたんだ」
「「レベル?」」
「あー、鍛錬だな。んで強くなったから旅に出ようと思ったんだ。だから盗賊に会ったのは初めてだな」
鑑定したらレベルが見えるのに、レベルの概念を知らないのか。鑑定を使える人が少ないって事かな。
「商売もしてるのにゃ?」
俺はマジックバックから取り出すフリをして、2人に100均のコップを渡した。
「こ、これは、今貴族の間で人気のグラスではないか」
「凄いにゃ。ウチも見るのは初めてにゃ」
へぇ。やっぱり知ってる人はいるんだな。結構な量をチョビ髭屋に売り付けたから、当然ちゃあ当然か。
俺は更にコンパクトミラーも渡してみた。当然100均で購入した物だ。
「か、鏡にゃっ!」
「鏡じゃん!しかも小さい!」
これはチョビ髭屋にも売り付けてない商品だ。どうやら異世界にも鏡は有るようだが、反応から見て高級なようだな。これなら高く売れそうだ。
「気に入ったなら2つともあげるよ。それより、どうして護衛が2人だったんだ?流石に少ないだろ」
「にゃっ、それは・・・」
「依頼の内容は言えないけど、最初は4人だったのよ。エイジが来る前に1人殺されて、もう1人は逃げたわ。2人ともあたし達とは面識が無かったけど、たぶん新人だったわ」
「死んだのは仕方が無いが、逃げた方は良いのか?」
「良く無いわよ。だからギルドへの報告が長くかかったの」
なるほど、知らない相手と組む場合も有るのか。やっぱり護衛の仕事は面倒くさそうだなぁ。
2人と話せて色々と知る事が出来た。午後からは鏡を売りに大きな商会を探しに行こう。
ちなみに、2人と同じスタミナ定食を食べたがスタミナが付きそうなくらい量が多かった。
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・地名とは一切関係が無い訳が無い。




