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最強武闘家一族の最硬者  作者: まるまるくまぐま
学園生活の始まり
35/35

行違う愛

 肩に置かれた優しくも、剣タコで硬くなりつつも柔らかな手。

「フランセットさん…」


 虎千代はその手を取ることは出来なかった。


 

−−−−−−−−−−−−−−−−−


 シャイボーイたる虎千代は、ロマンス映画の様にヒロインの手を取ることは出来なかった。

 

 触れたら嫌われるのではないか…


 そんな不安が虎千代の手を引っ込めさせる要因となっていたのだが、それはフランセットも同じだった。


 あんまりにも不憫なので、思わず声を掛けてしまった…

 己の浅はかさを悔いるフランセット。

 

 機嫌を損ね、攻撃されたなら、自分は死ぬのではないか?

 そんな不安で冷や汗と振戦が止まらなかった。




−−−−−−−−−−−−−−−−−

−−−−−−−−−−−−−

−−−−−−−−−



「愛しています。初めて合ったあの時から…貴女の為に生きる。それしか望むものがありません。」

 自分が、対経津主の為に生まれた人造人間β794であることを、彼女は知らない。

 感情という存在さえ無いとして生きてきたエージェント時代という過去。

 それは、恋心に目覚めて以降、純粋で優しい、巡のような信念を持った女性に対して、その過去が酷く後ろめたいものと感じる様になっていた。

 この思いは死ぬまで胸中に留めておく。そう思っていたのに、袖を肩まで捲ったTシャツの胸元をパタパタとさせ風を送りながら、紅潮したはにかんだ顔と、嘗ての仇敵である経津主寅華とその夫が醸すピンク色の雰囲気に当てられたのか、無意識に言葉が漏れていた。


「…ふぇ?」

 それまでの紅潮とは違う赤みを帯びた顔で彼女が振り向く。

「…あ、愛って…か、誂うにゃぁ、普段とのギャップってもんがあるよ…べーさん。」

 モジモジとしながら言う巡の姿に、もう後に退けないのだと悟るβ794。因みに偽名はベータ・ナクシ、店でのあだ名はベーさんだ。

「俺の偽りない言葉です。巡さん…俺はーーー」

「子らの教育方針を決めるには、もう一人は必須であろう、潤三。」


 愛の告白は嘗ての仇敵にして、トラウマである最強の存在の、場を弁えない言葉に遮られた。

「寅華さん!!店内ですよ…」

 慌てた様子で叫ぶ男。店内であるというのに盛りのついた存在によって、不憫な旦那の唇は塞がれていた。

「…うわぁ〜…」

 そんな傍迷惑な客二人の姿を、巡は真っ赤な顔で見ていた。


「…あ、愛って、私にああするのかい?」

 そう問う巡に、

「そんな無節操なことをするか!!」

 思わず叫んだ。

 

 




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