第2話 えっ、ワープ?
・・・ぐるじいぃ。心臓が身体中がバクバクするわ。こんなに苦しいのは昔、自衛隊の障害走以来だ。クソ重いフル装備で延々と走らされたな。いつの間にか気絶してあの時はマジ死ぬかと思った。
よく5年半も所属出来てたもんだ。たった5年半かよって言う奴もいるだろうが。・・・段々と呼吸が整ってきたな。俺は助かったのか?
目だけを動かして辺りを見回す。・・・周りは荒れ果てた大地で、背の低い雑草がポツンポツンと生えてるだけ。
んっ!?俺がいた所は山に囲まれた湖のはずだが?夢なのか?いや、夢にしちゃリアル過ぎる。ここまでハッキリした夢は見た事がないし、まともに動けない程苦しいのは本物だ!
それから暫くしてようやく動けるようになった。側には岸に置いてきた筈の防水リュックがあった。中身は救急用品・筆記用具・イベントのマニュアル・水筒・エナジーバーの破れた包装・あとプラスチックケースに子供向けの幾つかのペーパークラフト(以下ペパクラ)と作成道具が入ってる。ペパクラは某チェーン店っぽいハンバーガーや秘密基地のジオラマだ。
普段中々利用しない子供に渡す機会がないのでプレゼントとして持って来たのだ。勿論普段利用してる子にもプレゼントしてるぞ。
って脱線したが、周りは知らない景色だ。地平線が見える程平坦でポツポツと雑草しかない。
「わけがわからないよ」
溺死したかと思ったら見知らぬ土地。さっきまで酸素不足だったのを考えると大して時間は経ってない。となるとワープか?ここは一体。
訳が分からんが少し腹が減ったな。だが食い物はない。水筒の中身は2/3位か。もしここが日本じゃなかったら絶望的だぞ。だがこんな景色日本にはなさそうな気がするんだよな。
ヤギじゃねえけど紙って食えるのか?思わず現実逃避したくなる。はあっ、このペパクラのハンバーガーが本物ならいいのに!そう思った途端ハンバーガーのペパクラが光り出した。はいっ?
「おいおいおい、嘘だろ?俺は頭がヤラれたのか?」
光が消えるとペパクラのハンバーガーがどう見ても本物にしか見えない。触った感じ、匂いもだ。まあ紙だし食っても死にはしないだろうが、ダメ元で食ってみるか?
「普通のハンバーガーだ」
食えた。味は普通。もしかして俺はVRのゲームでもやってるのか?でも味覚まで再現したゲームは無いはずだ。じゃあこれは現実?
あり得ないと思うがもう一つの秘密基地に意識を向ける。小規模だが戦隊シリーズの地下タイプの基地だ。実体化しろ〜!と念じてみる。
光ったと思ったら気が遠くなる。俺、受け身取れたか?