プロローグ2
この世の全ては魔法で決まる。魔法の適性がないものは、生きづらい世の中となっている。
それぞれの属性を手にし、学び舎で学ぶ魔法使いの卵たちは、王国に設立されている魔法学院にて、魔法の基礎、そして応用を学び、卒業する時には、卒業試験に合格しなければならない。
そんな“魔法絶対的主義”の世の中で、魔法学院に入学できた人物が一人居た。その人物は魔法適性なし。魔力量もなし、魔法の才能なし。
そんな彼の名は、アーロ・フィンレー。フィンレー家の人間であり、フィンレー家は代々魔法使いの家系でもある。魔法が全てであるこの国の中では、絶対的上位に来るほどの、魔力量。
だが、アーロはそんな魔力量は皆無、魔法の才能すらもなかった。その為、家では劣等感扱い。
兄や妹からも敵視され、外では無視、家の中でもゴミ扱いだ。家族以外からも、メイドや執事からもだった。だが、彼は慣れている。そのような状況に。
なぜなら、彼は極める為に、学んでいたのだ。独学で。彼にしか扱うことのできない———“超能力”と言う力を。
彼は魔法を使えない代わりに、超能力を扱うことが出来た。密かに、誰にも教えず、超能力の勉強を。なぜなら、後々面倒そうだったからだ。自信が魔法に似た力を扱えると言うのを、知れられれば手のひら返しで、愛情を注いでくる。
そんな臨機応変できない彼にとっては、いい迷惑でしかない。その為、縁を切られるのを待っていた。そうすれば、フィンレー家を名乗らなくて済むし、家に帰らなくても済む。
今夜も、密かに、誰にもバレずに、超能力を極めるための、勉強を開始する。独学で。そして、いつか———。目に物見せてやる。
彼は、密かに不敵な笑みを浮かべた。家中が真っ暗となり、外が真夜中となり、皆が寝静まった頃に、その特訓は開始される。
そう———超能力の限界を越えさせ、常識そのものをひっくり返し、魔法使いや魔法を扱えない者たちが生きれる……。そんな世の中を作るために。