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孤児のTS転生  作者: シキ
孤児のダンジョン生活
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パーティを解散しヨグがこの街を離れて3年という年月が経過した。

ついでに言うと私が王国から離れて3年経った。


「あれからこんなに経ってしまったのか…」


私は宿の部屋でコップに入ったジュースを啜りながらそう呟いた。

あの時貰った設計図を探してダンジョンに入ってようやく私は残りの9枚を手に入れた。

にしても全くこの設計図というのはトレジャーボックスから出てこないせいでここまでの時間が経ってしまったなぁ…残り1枚を手に入れるのはかなり時間がかかった。

なんだっけか…物欲センサーだったか…それが一生懸命に働いてくれたせいでまぁこれほど時間がかかったわけだ。


この3年色々なことがあった。

暇潰しに魔術を作成したりダンジョンに入りまくってランク上げをたくさん行いアーティファクトを売りまくったせいで私の懐が厚みを増しこの街はもう一度あの頃の賑わいを取り戻した。

そうして私の手の上には一枚の設計図がある。

前と違う点といえば字がしっかりと見えておりこの設計図がなんの設計図なのかよくわかるものとなっていた。


「んでコレは…『星空の小惑星』?」


何故に小惑星?

えぇっと素材は…最上級光属性魔法陣と最上級闇属性魔法陣、隕鉄石とウルツァイトという名の火山で採取されていたとされている鉱石か。

確か隕鉄石はダンジョンでレアモンスターが落とした物を持っているからそれを使えばいけるし魔法陣の方は…まぁ時間かければどうにか構築できるからヨシとしよう。

問題は…火山のマークがついていてそこに矢印で書かれているウルツァイトという鉱石か。


「火山か…確かこの街の周りの山は火山だったはず…」


都合が良いね。

この街の市場にもしかしたらあるかもしれないし探してくるか。

そう思い私は立ち上がり市場へと行く用意を行うことにした。


私は3年前とは変わってしまい身長は伸びたことにより前着ていた服は着れなくなってしまう…ことはなくあいも変わらず私の身長は伸びないままだった。

「まぁ少しは伸びたかな?」という感じだが服に伸縮調整の付与がされているため問題なく着れており3年前と全く変わらない姿となっている。


ま、まぁ別に身長なんか気にしていないからべ、別にどうでも良いんだけどね?

…そのせいでギルドで密かに小人族とか言われているが私って小人族じゃ無いよね?

ステータスには人族って書かれてあるしこれからまだ成長する予定だってあるから、というかこれからが成長期だから。

最終的には超ナイスバディになる予定だし…成長する余地はある…よね?


そんなことを考えながら宿から出て市場へと移動する。

街は見る限り人で溢れており圧倒的に探索者の数が多い感じだ。

コレも私がこの街のダンジョンで神遺物とも言われているSランクのアーティファクトをギルドに売ったせいであろう。

それをギルドは広告塔にして連合国全土に広めて集客し噂を拡大させてもう一度この街に活気を取り戻したというわけだ。


「ここに入りたくねぇなぁ…でもなぁ…」


というわけで私の目の前にある今日の目的地へと到着した。

その名も『商業ギルド』という全国各地にある商業を生業とする者が所属するギルドだ。

全国各地から物を集め良い値で買い取ったりしてくれる庶民の味方とも言えるギルド…まぁ私はこの存在をかなーり最近知ったからそんなに詳しくは知らないが。


「まぁ入るか」


私は商業ギルドの扉を開き中へと入る。

内装は落ち着いた雰囲気で真正面には商業ギルドのエンブレムが貼られており私的にかなり好きな場所だ。

まぁあまり来ることはないんだがな。

そうして私が商業ギルド内へ足を歩かせカウンターへと向かおうとした時だった。

ギルド内の扉がバタンッと音を立てて開かれ私に向かって走ってくる足音が聞こえその場にいた全員がそちらを向いた。


「レナちゃーんッ!」


そうして私の視界は暗転そして顔面に多大な衝撃が加わり私は思わず顔を顰めてしまった。

この私の目を塞ぎ込むように私の身体を包んでいる女性はサーターというここの商業ギルドを束ねているギルド長。

彼女との出会いはかなり最近でダンジョンで取ってきたアーティファクトをドローさんから商業ギルドに売ってきてくれと頼まれたことから始まった関係だ。


あの時は探索者ギルドが潰れかかっておりあんなにいっぱいいた職員はドローさん含め3人しかいなくなり業務に支障が出てきた時のこと。

どうしても外せない用事があるため信頼のある探索者である私に倉庫のアーティファクトを商業ギルドに売ってきてくれとドローさんに私は頼まれて商業ギルドに行きアーティファクトを売った時のことそこで私はこの商業ギルドのギルド長サーターに出会った。


彼女はどうやら『金の声』という特殊なスキルがありそれのせいでどれぐらい金を所持しているかわかるらしくそこで出会ったのが私の運の尽き。

こうしてこのギルドに行くたびに絡まれる仲となってしまったというわけだ。

しかもその数週間後には神遺物を私が取ったということが秘密裏に広がりそれを聞きつけたサーターが「私の行いは間違いじゃなかった!」と言って更に距離を縮めてきて見つけたら執拗に話しかけてくるから私はこの人のことが少々嫌いである。


「それで…今日はなんの用なのかな?レナちゃん?」


…それを話す前に私のことを解放してくれませんかねぇ?

私は小さくため息を吐きこの状態からどうやって逃げるかを考えていた。

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