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孤児のTS転生  作者: シキ
孤児のダンジョン生活
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ダンジョンに入ってから私たちは一層で出てくる魔物を倒していた。

ここ一層で出てくる魔物はスライムとゴブリンだけとなっている。


「これで20体目!っと!」


そう言ってヨグは槍を突き出しゴブリンの心臓部分を穿つ。

この部分だけ見るとそれはそれはたいそうな技量を持って攻撃しているかのように見えるが実際にはかなり時間をかけて攻撃している。

攻撃を避け心臓目掛けて槍を突くが肋骨に当たり跳ね返る。

なので徐々に骨を砕きやっとの思いで槍が心臓を貫くというのがヨグの攻撃方法となっている。


「ゴブリン、1体にかかった時間は4分か…これじゃダメだよね」


ヨグはゴブリンからドロップした小さな魔石を拾いそう呟く。

最初にスライムを倒した後私たちは話し合い今日はヨグが頑張って魔物を倒し私は倒せなさそうな魔物が出た時に戦うという風になった。


「次は…これ階段?」


私は魔物を見つけようと集中して気配を探ろうとして周りを見るとすぐ近くに階段のような人工物があった。

階段の段はバラバラで足を踏み外すとすぐに転げ落ちそうな感じに不安定な段だ。

私がそう独り言のように呟くとヨグはそれに反応してこちらへと近寄ってきた。


「うん、これは次の階層、2層へ行くための階段だね。このほかにも門の形をしていたり魔法陣の形をした物もあるんだよ」


そうして私たちは階段を下り2層へと入っていく。

近くで見るとボロボロで苔が生えており滑りそうで怖いがそれと同時に少年の心が蘇るかのようにワクワクした感情が込み上げてくる。

ヨグの方を見ると目を輝かせながら階段を軽々と下って行っているのが見えた。

よくこの不安定で滑りそうな階段を軽々と下っていけるもんだと私が感心しているとヨグはこちらに笑顔を向けて話してくる。


「いやぁやっぱりいつ来てもダンジョンはワクワクするよね。ダンジョンは未だ解明されていない謎があると発表されているしそれを僕たち探索者が暴くってとっても心がワクワク、ドキドキしないかい?」


そう言ってまた前を向き階段を下っていく。

そうして階段は終わりに差し掛かり2層へと到着した。

2層は1層の草原のような景色とは違い洞窟の景色が広がっていた。

いかにもダンジョンという言葉が当てはまるかのような景色だった。

壁は土のような物でできておりおそらくは迷路のような形になっているはずだ。

まぁ迷ったら帰るのが大変になるのだろうなと簡単に予想ができる。


「ここは洞窟型の階層だよ。ここでは確か…っと相手から出てきてくれたか」


そう言いヨグは槍を構える。

前から来るのはウルフとそれに乗るゴブリンだ。


「ここでゴブリンライダーか。…だったらこれでも喰らえ!」


そう言いヨグは少し思考してから懐から小さな魔石と同じ大きさだが真っ赤な赤色をした石を取り出しウルフに向かって投げつける。

突然ヨグが投擲した石はウルフの不意をつき着弾し赤色の炎が吹き出しウルフとゴブリンライダーを包み込んだ。

ウルフは必死になってそこから逃げようとしてゴブリンを振り落としてヨグへと襲いかかっていく。


「ふぅ…いっけえッ!」


ヨグは襲いかかってくるウルフに向かって大きて振りかぶり槍を投擲した。

投擲した槍はウルフの眉間へとクリティカルヒットし眉間を貫く。

そうしてウルフは空中でそのまま動かなくなりヨグの前へ落ち力つきついには動かなくなり消えていく。

ヨグは槍を拾いこちらへと話しかけようとしこちらを向くと同時に私は動き出した。


理由としてはまだゴブリンがこちらを伺って生きていたからだ。

どうやらゴブリンも炎を早めに逃れこちらを伺っていたらしい。

なんとも狡猾なのだろうか。

これだから知識のある魔物というのは恐ろしいのだ。


私は足に身体強化をして一気に詰め寄り蹴りを入れゴブリンを弾き飛ばす。

そこから腰に巻いてあるベルトに刺してあるナイフを抜き立とうとしているゴブリンに近寄り首を刎ねた。


「よそ見は、危ない」


そう私がヨグに呼びかける。

ヨグはすぐに気を落とした声で「次から気をつけるよ」と言ってヨグは私の横へきた。

そうしてヨグはこちらを向き言い訳をするかのように話しかけてきた。


「その、ゴブリンライダーはね1層から5層までのレアモンスターなんだよ。だから…その」


そう言ってまた下を向く。

レアモンスターとはダンジョンに出てくる希少な魔物のことだ。

ドロップするものは高く売れスキルもレベルが上がりやすいらしく見つかれば必ず倒しておきたいモンスターらしい。

ちなみに今回ドロップしたものは『騎狼の上革』という馬の鞍に使われる革だったらしい。


「そういえばこれのこと紹介してなかったよね?」


そう言って懐からさっき攻撃した時に投げた小さい石を数個取り出した。

形は丸くそして小さくいろいろな色がある。


「これは魔法玉と言って投げると割れてそこから魔法が出てくるっていう代物だよ。…これ一個銀貨5枚もするからできるだけ使いたくないんだよね」


そう言ってまた魔法玉を懐にしまった。

…それ懐を攻撃されたら割れるんじゃないか?

いや割れたら大惨事になることは想定できるだろうしそれをどうにかできる処置はしているんだろうけど。

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