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走り出して数時間が過ぎた。
狼車の中で俺達は自分の紹介を行ったり情報の交換などを行っていた。
まず今も俺の横にいるローガンさんはまぁ見た通り剣士だ。
Cランクの中でも上の方の剣士で職業は大剣士というのについているらしい。
考えて行動するのが嫌いらしくよくパーティの壁としても利用されるらしい。
まぁ言っちゃえば攻撃と防御を行うことができる有力な冒険者として見られているみたいだ。
あと二つ名というものを持っているらしい。
二つ名というのはその持つ者の異名、偉大なる尊敬を込めて言われる名前のことを指すみたいだ。
そしてこの男が持っている二つ名は『巨剣』。
見た通り大きい巨体を生かす大剣を振りかざすからそう言われているらしい。
そして俺の前にいる魔女のような帽子を被りながら寝ている少女はミニュー。
見た通りの魔法使いで職業は魔女という魔法使いよりワンランク上の職業。
つまりは上位職業だ。
ローガンの大剣士も同じく上位職業に分類される。
彼女は会った時から眠そうな顔をしており趣味も眠ることらしい。
二つ名は『睡魔の魔女』。
魔女という職業は闇・雷・火の属性が得意でありミニューは闇魔法のデバフ系が得意みたいだ。
次にローガンの横にいる籠手を磨いている男性はフガクだ。
職業は魔闘士。
同じく上位職業だ。
物静かで頭に2本の角が生えていて顔の頬には鱗の模様がある竜人族だ。
会話はしないがこのパーティは何故か目を合わせるだけで会話を理解しているらしい。
どうやって理解しているのだろうか。
ちなみに二つ名は『闘竜』
個人ランクではAランクという高位の冒険者だ。
そして一応リーダーである。
そしてそのフガクの前で周りの索敵を行っている女性がモエ
ミニューと同じく魔女のような帽子を被っている。
彼女と違う点といえばミニューの服が黒に対してモエの服は白という点だろう。
…とても汚れが目立ちそうだがそこも魔法でなんとかなるのだろうか?
まぁいいや。
職業は魔法使い。
通常の職業だ。
印象はきっちりしていてこのパーティをまとめる役割を行っているらしい。
とても真面目な女性だ。
二つ名は『統率の魔法使い』。
なんでもこのパーティをまとめている所を見られたら統率者と言われそれをやめろと言ったらこの二つ名がついたらしい。
この4人がCランク冒険者パーティの『ドラゴニア』。
能力で言えばBランクのパーティに引けを取らないと思う。
「そろそろ野宿の準備でもしましょうか」
狼車を指示をしているエルペスさんが言った。
ちなみにこの車を引いている狼は魔獣で名をジェヴォーダンというらしい。
Bランクの魔物だが群れで行動する際はAランクの魔物でさえ殺すとされているほどの凶悪性を持つ。
ちなみに竜の鱗さえ噛み砕くらしい。
本当に護衛なんかいるのか?
「じゃあここを今日の野宿をする場所にするからフガクさんは燃えそうな木を持ってきて。ローガンはテント立てを、私とミニューは何か食べられそうな物を探してくるわ」
するとミニューが気怠げそうに「めんどくさー」と言いながらついていった。
それでは俺は何をしようか。
俺が何をしようか悩んでいるとエルペスさんが声をかけてきた。
「レナさんレナさんもし良ければこの子に餌をあげてはもらえないでしょうか?」
そう言われジェヴォーダンの世話をすることになった。
大きさは何が1番近いかと言われると…牛かな?
全身赤い体毛で覆われており尻尾が昔に動物園で見たライオンのような外見をしている。
顔は凶悪そのもので巨大な牙を持っている。
ではこの子に餌をあげますかね。
餌、それは真っ赤な肉。
なんの肉かは知らんけど霜降りでいかにも高そうな見た目だ。
「うぅあげるの怖い…腕まで食われそうだ」
俺が肉をジェヴォーダンの近くに持っていくと肉だけに食いつき奪い取るようにして肉を食っていく。
そして肉をあげ続けどうやら満足したのか狼車の方へと帰って行きそのまま眠ってしまった。
「どうですか?簡単でしょ?あの子は食べる物を食べ終わればすぐに眠る子なんですよ可愛いでしょ?」
「あ、ははは」
可愛いかなぁ?
俺は恐怖しか感じなかったけど耐性貫いて怖いって思ったよ?
さて本格的に何もすることがなくなったな…。
座る場所でも作るか。
丸太を身体強化した力で持ち上げて持っていきエアーカッターで半分に切り木の枝が集められている場所へ囲むように置く。
これで座るところは作れたな。
「次は何あれをしよう」
そうして俺はみんなが戻るまで雑用という雑用を行った。




