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「えーとここら辺かな?」
ただいま俺はこの領主のレイアン・アマガル・フォン・レインバード伯爵に紹介された宿へと向かっている。
宿にはもう俺が泊まるということを報告しているらしくなんと無料で泊まることができるらしい。
なんとお得なことでしょう。
しかも伯爵がお勧めしてくれる宿はなんと高級宿らしい。
「っとここかな?」
俺の目の前に見えるのは真っ白な壁をしており4階建ての宿屋だ。
周りとは明らかに違う雰囲気でここだけ前世にいるみたいに思える。
とにかく今日はこの後この街の探索とかしたいし早速入ってみよう。
中はなかなかいいもので雰囲気のある酒場のようになっているが客は静かにワインのようなのを嗜んでいる。
そんな雰囲気を一瞥しなががら俺は「大人の雰囲気だなぁ」と思いながら宿の店員のいるところへ足を進めた。
「すいません。ここを領主様に紹介されたのですが…」
「はい…えー、レイアン様に紹介されていらっしゃるレナ様ですね。こちらの部屋の鍵をどうぞ」
そう言われて俺は鉄で出来ている鍵を受け取り腰の縄に挟んだ。
では鍵をもらったことですし部屋に行って荷物を置いて…って荷物そんなにないんだよなぁ。
普通に虚空庫の中に置いておけばいい話だし。
まぁ寝る場所はやっぱり宿を取った方がいいが。
そうと決まれば早速この街の探索に向かうとしますか。
俺はそのまま宿の外へ出て街を歩いた。
行き先はどこでもない。
ただ気が向くままに歩く。
周りを見渡すと前の街同様に人がいっぱいいる。
前には見なかったドワーフらしい髭が長い小人や竜の尻尾の耳、そしてカッコいい羽が生えている竜人もいる。
いやぁ竜人カッコいいよ竜人。
顔に鱗の模様も入っているし目も縦に瞳孔が開いていてかっこいい。
まぁとにかく俺は竜とかの幻獣が大好きだということだ。
「いやぁファンタジー最高!」
にしてもこれだけいっぱい人がいると宿を取るのは大変そうだなぁ。
宿を取ってくれたレイアン伯爵様に感謝感謝。
なむなむ。
そんなふうに歩いていると一つの建物を見つけた。
ここはもしかして冒険者ギルドかな?
前の街よりも大きく冒険者の装備の質もかなり良いものに見える。
…依頼を受けっていうのもありだな。
まだ午前中だし今から依頼を受けても真っ暗になる前には帰れそうだ。
そう思い俺は早速冒険者ギルドの中に入ることにした。
ふむ大体前の街のギルドと物の配置は同じだな。
早速依頼を受けてみようか。
「んーと俺ができる依頼は確かFランクからだからこの薬草採取とか無難じゃないかな?」
俺は掲示板に貼られている薬草採取の依頼の紙を1枚剥がし受付へと持ってくことにした。
「す、すいませーんこの依頼を受けたいです」
「はい。?新しくこの街に来た人ですか?」
「はい、そうです」
「そうですかではまず持っているギルドカードの提示をお願いします」
そう言われて俺はポケットを探るふりをしながら手のひらの中で虚空庫を開きその中からギルドカードを出した。
この方法は少し時間がかかる上に魔法陣なしだから消費MPも2倍程になっているから非効率だ。
まぁある条件さえ達成することができれば魔法陣を展開しなくても消費MP2倍にならずに発動することができるんだが。
「これ…です」
「はい。…レナさんですね。年齢は…5歳!?大丈夫ですか?」
やっぱり俺の歳だと依頼は受けれないのだろうか?
俺は少し身体を縮めながらも頷いた。
「あ、いえ、…まぁ大丈夫なのでしょうが気をつけて下さいね。ここで私の名前を出せば私が対応しますので…っとまだわたしの自己紹介をしていませんでしたね。私の名前はエリザと申します。よろしくね」
俺は少し頷き「よろしく」と言った。
…なんだか周りの視線が暖かい目で見られている感じだがこれは俺が単にそういう風に思っているだけだろうか?
なんとも言えない空気だぜ。
「えー依頼内容は薬草の採取ですね。5本で1束ですよ。それを5束お願いします。あっこれが対象となる薬草ですよ」
そう言われ俺の目の前にいつもよく食べていた薬草が出された。
そういえばそろそろ昼だなぁと思いながら話を聞いていた。
「ではこの薬草を5束お願いしますね」
「はい!」
俺はそう返事をして依頼書を持ってギルドの外へ歩き出した。
そしてそのまま肉串焼きの屋台へ歩いて行った。
お腹が減ったからね。
食べなければいけぬのだよ。
えーと今の所持金は…金貨が1枚、小さい銀貨が2枚、銅貨が10枚。
そう確認し俺は屋台をしているおっちゃんのところへ向かった。
「お、おっちゃんこれ1本どれぐらい?」
「ん?あぁこれかい?これ1本銅貨2枚だぜ?どうだい買うかい?」
「う、うんこれ…2本ちょうだい?」
そう言い俺は袋の中から4枚銅貨を出し串焼きと交換した。
これで銅貨は後6枚か。
安定した職に就きたい…いや冒険者ギルドがあるじゃないか。
さっさと食べて仕事しなきゃ。
そう思い俺は早速串焼きを口の中に入れる。
噛むたびに溢れる肉汁、ちょうど良いしょっぱさをかもしだすタレ。
俺は夢中になって食べてしまいすぐ手元ににあった2本の肉がなくなってしまった。
次はもっと多く買う。
俺はそう心に決めた。
「さてと腹も膨れたしそろそろ行くかな」
俺は依頼を達成するために門のところまで移動し門のところにいる門番に門を通してもらい外へ出た。




