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アルキアンの鉄でできた剣がワダツミの心臓を刺そうとしたその時周りに浮かぶ紙は水へと変わり更に変化し大きな膜へと形を変えた。
水によって吹き飛ばされたアルキアンは地へ転がりそこへ追い打ちをかけるように転がった先に地面から槍が生成されていく。
「いやコレは無差別ッ…危ないなぁ」
呪いを纏う鎖で縛っているのにも関わらず水を操り攻撃と防壁を形成するとは…。
更には防壁で使っている水を操ってバルカンのように無差別に撃ち続けている。
あれだと防壁の水がなくなって防壁が薄くなるのではと思うが近くに落ちただの水となったところを吸い上げて防壁に吸収させているから全ての水が遠くに行くまでこの攻防は続くのだろう。
「水さえ無くなれば……燃やし尽くせば良い」
ワダツミは魔法によって魔力を水に変える。
そしてワダツミは魔力を攻撃と防御に変えているってだけで有限の魔力での行動。
あの6つ目の魚人族は同じく魔力から水から作っているようだが…ワダツミとは違い空気の水蒸気からも水を作り出している。
アルキアンが黒いの炎で気化させた水蒸気にも驚いていたようだし水蒸気のこそすらわかっていないのかも知れない。
まぁ見るからに高尚な格好だったし料理もしなそうだし理解出来ていないことはできないってオチか。
手を伸ばし標準を合わせる。
頭で魔法陣を構成…この全ての水を吹き飛ばす炎とその炎を纏う水すら呑み込む土のシンボルを重ねる。
今はただ水を吹き飛ばすのみだ…視認による空間把握入らないから派手に散らばるように。
この位置だったら他を巻き込まないから…全力で!
「魔法陣展開!『恒星ノ礫』ッ!」
指先から描き出された魔法陣が宙に浮かび次の瞬間「パンッ」という爆発音を響かせると閃光が魔法陣の中央より弾け白い光と共に撃ち出されて水を吹き飛ばす。
本物の構成だったら放射線とかがあれだが…まぁコレはシンボルのまま強い火を纏った礫が飛んでいくだけだから。
ま、弾けるから手榴弾の如く前方にそのまんま火を纏ったやつが飛ぶからある意味放射線より怖いんだけどね。
地面からは白い煙を見せ転がった礫からは未だ燃える炎が見える。
私はそんな魔法陣を指揮をする様に宙へ描く。
腕は二本もあるのだから片手で扱えるような仕様にしといてよかった…銃を扱っている様で面白いではないか!
撃ち続けていると水壁は段々と薄くなりアルキアンも私がやっていることを理解した様で黒い炎を纏い炎を操って水を焼いていく。
「うぐぅ何故だ…水壁があるというのに何故防げない?」
「ハハッ…己の知識不足だね」
ワダツミのそんな言葉につい口出ししたくなり煽る。
煽りに対しワダツミは癇癪を起こした様に「煩いッ!煩いッ!」と喚き水壁の水を減らし幾つもの水の槍を生み出し私のことを貫こうとしてくる。
水槍は私に飛んできてそれを避けるとその槍は水滴となりワダツミの元へ戻る。
渦を巻き私が煽ったことで感情が高まった様で不規則な動きを見せる。
「アアァァ…憎いッ!何故こうも世界は…念願の夢さえ叶えられる力がありその目前まできたのだぞッ!?我こそ全知全能であり我こそ頂点なのでは無いのか!?」
ワダツミの中心で水色の光が輝く。
空からは雲もないのにも関わらず雨が降り出し時間が止まった黄昏時の景色を水滴が映し出してオレンジの閃光と水色の光が混ざる幻想を描きだす。
「我は…全ての民を従え理想を叶えるのだ…全てが我の下にありそれを叶える為身体を捨て愚者の下にも付いたのだ!なら…」
水が集まりワダツミの身体を包み込む。
それと同時に周りからは何かが割れる様な「ピキ…ピキ」という音が響き周囲の景色が色褪せる。
遂にはクトゥルゥの身体が割れ地にヒビが入る。
「全てを蹂躙しその座に座ろう…ァァ最初からこうすれば良かったんだ…我こそがワダツミだと知らせる為の礎となれ」
ワダツミは手に持つ結界の素となる本を槍で突き刺し本は水に溶け形を崩し…無くなる。
それと同時に音は大きく響き私が今の今まで縛っていた『星ノ呪縛』は引きちぎられる。
「おぉ今こそ憎き枷は解かれ迎えた終演の時…我こそは悲願を叶える志願者にして全てを裏切る覚悟を持つ叛逆者である。継がれ託されしこの願いを叶える為仮面を被り演じよう…嫉妬の権能『願望改変:悲槍』」
ワダツミは錫杖を掲げその先に水の槍が囲みそれは一つの槍となる。
連なれば天を貫くほど多くの槍で形成され全てが私とアルキアン、そして悲壮の願いの先であるだろう6つ目の魚人族に向けられる。
一瞬の間が空き…そして放たれる。
雨のようであって雨ではない横に凪ぐように高速で降ってくる水の槍。
避けようとすると追尾され間近で避け地に落ちると水飛沫が槍となり私を貫く。
必死になりそれに掠りながらも槍をナイフで斬り刻む。
掠ればまるで車と衝突したような衝撃が入る。
小さくなった槍だと切り傷が入るがダメージも少ない…直撃するよりかは幾分マシだ。
逃げ場など無く後ろへと後退しながら受け流しなどすると段々と追われ気づけば後ろは島の端で隣にはアルキアンと6つ目の魚人族がいる。
「ここまで…か」
掠れた声が場に響く。
…そんな言葉が6つ目の魚人族から溢れた。
*今回使った魔術一覧*
『恒星ノ礫』:高温の炎に包まれた石が弾け前方に礫となって飛んでいく。人体に当たると反対側が見えるまで貫いていき傷を燃やす。




