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孤児のTS転生  作者: シキ
孤児と大罪を背負う英雄
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「う…うぅん」


身体の節々が軋む…そういえば魔法陣が暴走したせいで爆破したんだったか。

死に至るほどの威力はないにしてもあまりにも至近距離だったせいでダメージがヤバめだな。


「ま、とりあえずそのおかげで結界は破れたようだし万事オッケーなんだけど…にしても」


そう呟きながら周りを見渡す。

前に見えるのは海から来た潮風が吹く街…ではなく森が広がっている。

海の近くだからこんな風に森になるなんて普通ならあり得なさそう…というかここにあった街は何処に行ったのやら。


後ろを向くと小さな穴が空いた青白い壁がありそれは輝きながらその穴を塞いでいっている。

自動で結界の修復がされるってことは魔力供給源の誰かさんにはここで何かがあったと気づかれているところだろう。


「となれば一刻も早くここから離れるべきか」


私は足に魔力を送り身体強化を施すと音を立てないようコソコソとその場から立ち去ることとした。

このままここで敵の動向を見るってのも一つの策だとは思うが…相手の戦力が未知数だからな慎重に行かなければ。


そうして森の中を音を立てずに移動すること数分が経ち少しひらけたところへ出た。

どうやら地面がしっかりと慣らされている馬車が通る用に作られた道のようだ。

ここを辿れば町が村には着くはずなんだが果たして私からみて左方向か右方向か…どちらへ進むべきだろうか?


それにここは結界内でもある。

結局のところ進んでも辿り着くところは一緒なのかもしれない。

まぁそれも一興というやつだろう。


「さて、そこらへんにあった木の棒を立てて…とどちらに行くか占ってみるか」


まぁこれはあれだ子供の時やってた遊びみたいなものだ。

どっちにしろ運頼みでこういうのは決めたほうが私の経験則に基づくと良い方へ行きやすい。


にしてもそこら辺の木の棒を手で掴めてしまったな。

この風景とかは結界が見せる幻覚かと思っていたのだが…全くの的外れって感じだ。


「どちらへ転ぶかな~…左か」


棒は前や後ろにも倒れず真っ直ぐに左の方へと倒れた。

コレが良い結果に繋がるのかはさておきとりあえず私はそちらの方向へと歩き出すこととした。

そうして魔物にも出会わず歩き続け勾配のある坂を登りそれが見え始めた。


漁村だ…海が見えここからでもシーヒルズに止められていた立派な船こそ見えないがそこそこ大きな船は見える。

交易船に見えるが世の中には海賊って奴らがいるから交易商の船を奪った海賊って線も捨てきれない。


「…にしても村の周りに柵もないとは無防備すぎじゃないか?」


F級やE級なら剣を持った一般人でも倒せないこともないが持たない人間…特に子供何かが魔物と遭遇したらスライムでもない限り殺されてしまうぞ?

こんなん魔物さんどうぞお入りくださいと言っているようなものだ。

それに見たところ村の入り口を守る自警団すら居ない…どうやって盗賊共の撃退をしているのだろうか?


気になる点は多すぎるがとりあえず私にとってこれは好機。

誰とも会わずここの村を調査できるし気配操作で気配を遮断させておけば鼻がいい奴らや気配が敏感なやつ以外には見つからなくなる。


「なんか…暗殺者や間者みたいだが」


まぁそんなこと言ってたらキリが無いといいますか…。

とりあえず行くべきところは民家の屋根。

一番人の視界に入りづらく気にも留めないそんなところに潜伏出来るってのが私的には嬉しいんだけどはてさてどうするかなぁ。


私の身なり的には普通の一般人と同じような格好をしているから周りに紛れ込むってことはできそうだ。

旅人風にローブを羽織りたい気持ちもあるんだがまぁ雨や津波でまだ濡れているし…仮面は薬屋のこともあってこの世界でも素顔を隠してると怪しまれるってのが分かったしな。


「よし…ここからならバレずに屋根に登れそう」


そんなことを思いながら移動してると漁村にある家の裏まで来ることができた。

この距離になると人の声が聞こえる…が何か訛ってるというか聞き取りづらいような気がする?


「おめぇさ、アシャのとこ行ってけカサとってこ」

「やーめくさ、かぢゃが行ってこ!」

「なーにはずがしかって~いいから行ってこ!」


おぉ…何となくわかる範囲で訛ってるかんじかな?

このぐらいの訛り具合だったらまだ支障は出ない…か。


虚空庫から先端に尖った手がついている麻縄を取り出すとそれを屋根へと投げ縄にしがみつきながら壁を登っていく。

…これは本来なら冒険者が山とか危険地帯を登るように売り出されている道具の一つなんだがまさかここで使うことになるとは。


先の材料はリザードマンの鱗を剥いだ手の部分の皮が使われておりそのおかげで爪が鋭い。

爪の先には登りやすいように樹液が塗ってあってベタベタしてるからこういう屋根みたいな構造をしているところだと効果覿面だ。


「まぁどう見ても縄に手がついてるビジュアルのせいで冒険者からも呪いのアイテムだとかいじられているんだが…こうして使ってみると結構使いやすい…な」


そうして私は屋根に爪を立てている縄を回収して虚空庫へと放り投げる。

さて、ここからが潜伏しながら情報を集めるターンになるんだが…。


船のほうで何か暴動が起きているようだ。

結構離れているってのに騒ぎ声が聞こえてくる。


「とりあえず…あっちだな」

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