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飛翔の魔術を使いシーヒルズへと飛んでいく。
結局あの孤島で分かったことは何もなかったわけだが…まぁ後悔を今しても仕方ないってものだ。
そうして飛んでいくこと数分ようやくシーヒルズの灯台が見えてくるがその時点で何かがおかしいことに気づいた。
何せ見えてるのは灯台だけ…あの時疑問に思っていた船はおろか街の建物すら目視できないのだ。
私は飛翔の速度を落とし灯台の近くに着地し街があった方を見るとそこには白いモヤのようなものがあるだけ。
その先は全く見えず何もないようにも感じられる。
だがそこで一つの違和感を感じだためその白いモヤのようなものに触ってみると表面は磨いた石のようにツルツルしているのに押せば簡単に凹む。
結界のように見えるが…コレだと結界の意味があるのか?と感じられるほどよく凹む。
「まるで…アレだ、シャボン玉みたいだな」
何というか結界の場合は守るために壁を設置するというイメージの元で作られているから表面が硬い魔力で出来た壁が出来上がるんだがコレに関してはその意志を感じない。
勝手に入っていいといっているかのように壁が薄くだが中のものは留めさせるといった結界のように思える。
試しに虚空庫から木の枝を取り出してシャボン玉に突き刺してみる…うん、普通に突き刺さって更に貫通までした。
じゃあ引き抜いてみると…何事もなかったかのように穴の空いてないシャボン玉に戻った。
「コレ繰り返せばいつかはこの結界を張ったヤツの魔力が尽きるんだろうけど…」
結界の修復には勿論のこと魔力が必要になるから木の枝でブスブス突き刺せばいつかは結界は破れることだろう。
…まぁいつかになるかは分からないがな。
そもそもコレを張った本人のことを知らないから魔力の総量ってのも分からなければ張った意味もわからない。
ふと手に持つ木の枝を見る。
木の枝は刺した前と後で変わりない…ということはこの先に毒が満ちているってのもないか。
入って速攻毒だったら避けることすら無理だからな。
「とにかくこの結界内に入ればこの先で待ち受けるのが何か分かるか」
手でシャボン玉を押し当ててググッと身体を前に倒し結界の中に入ろうとする…が擬音語としては『バイーン』とでもつきそうな勢いでシャボン玉から弾き返される。
…結構シャボン玉結界は強いようだ後で魔術の参考に組み込んでおくことにしよう。
「まさか弾き返されるとは…体重が軽いから?いや単純に勢いが足りなかったからか」
そうして私は少し後ろに下がり…いやこのまま下がると海に落ちるなココも陸地としてギリギリ認識できるぐらいしかないし。
となれば強引にいくしかない。
身体全体に魔力を回し『身体強化』を行いクラウチングスタートの構えをとる。
足に全体の5割、そして他の部分にそれぞれ魔力を割り当てて俊敏性を底上げする。
「3…2…1…スタート!」
カウントダウンをした後に一気に地を蹴ってシャボン玉に激突する。
ググッと身体を押し付ける…先ほどより勢いが良かったからかシャボン玉結界も凹みこのまま行けば結界内に入ることもできそう。
…なのだがコレさぁ弾き返されたらさっきより勢いつけてるせいでさっきより強く飛ばされるよな?
咄嗟にそんなことが頭によぎり頭を働かせて魔術の構築を始める。
シンボルは風のシンボルで発動するのは風を生み出す『ウィンド』継ぎ足す補助の魔法陣は『オーバーブースト』なんて良さげではないだろうか?
コレらの魔法陣は外に向けて自分に向けて『軽量化』とココで追い討ちに『重力低下』なんてかければどんなに重い人でも空を飛ぶことができるというか横にぶっ飛ぶ魔術の完成である。
我流戦闘術である膩ノ術『神風脚』よりかはスピードは落ちるがあのぐらいの速度は今はいらない。
とりあえず頭で思い浮かべて魔法陣を構成しそれを指を用いて素早く構築していく。
「コレで完成…魔法陣展開…あ、やばミスった」
そこで気づくこの魔法陣の出力だとそのまま吹き飛ぶせいで地面に足がついている状態で発動できる膩ノ術『神風脚』より凶悪なスピードを出しつつ最後には宙に身体が放り出されて最後には地面との熱いキッスが待っていると。
だからこそ魔術を中断した…してしまったのだ。
「さて、ココで問題です…デデンッ魔術はかなーり正確に行わないと留まった魔力が反発し合い時に膨大なエネルギーを貯め込み暴発する恐れがあります。まぁつまり何が言いたいかというと…今から爆発するってことだね☆」
制御を失った魔法陣は宙で固まりながらもその魔法陣に込められた魔力がそれを維持しようとする。
それによって本来なら魔法陣から魔術を撃つ時にしか魔力が活発化されないのにも関わらず撃ってもないのに活発化していく。
それによって魔法陣は暴走した魔力によってその輝きを増しそれを見て私の顔が強張っていく。
まぁ…試してもいない新しい魔術をいきなり使うってのは危険だね。
だってこういうことが起こりかねないのだから…。
そして時が止まったように思える時間は終わりを告げる。
誇張のようではあるが…その一つの宇宙が誕生したかのような超新星爆発によって。
「あぁ今回もダメだったよ」
その言葉を最後に魔力による爆発が起き私の視界は白く染まっていった。




