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孤児のTS転生  作者: シキ
孤児と大罪を背負う英雄
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「あぁー…しんど…疲れたよ」


孤島を探索すること数時間が経ち何かしらしたらここの事がわかるかもと思っていたのだがあんまり進展もなくついに私は探索に飽きて釣りをしてしまっていた。

何せせっかく海に潜ってこの孤島の周辺を泳いでみたのに何もないのだから探索する気もなくなるってもんだ。


だがまぁ思ったんだが…おそらくこの模様自体の魔力の効果は何となく理解出来たはず。

ちょいと劣化してて分かりずらいが水属性と闇属性の魔力を纏っている。

何の魔法が込められているのかは分からないが海に潜った時魚がいっぱいいたから魚を集める効果なんじゃないかと思う。


「その魚にコイツらも含まれているとは思わなかったけどね…」


私は海の方を向きながらそう呟いた。

ここの海域は海上国家とは少し違うようで海の下まで透き通って見えるほど海は綺麗ではないからこのままでは見えないが海に潜るとその光景が見えてくる。

海の中…それもこの孤島を支えるようにして土台となっていたのは魚人族の死骸だった。


死骸が積み重なってそこに上から土が重なったことでこの孤島は作られていたというわけだ。

この死骸がこんなに積み重なるほどあの神殿の地下から連れてこられたというわけなのかはたまた他の理由があってこのようになったのかは分からないがこの孤島は異常だというのは確かだ。


表面は魚人族の骨だけになっていたがよく見ると奥の方では心臓が鼓動を起こすようにその肉塊がドクンドクンと脈動しているように見えまだ生きているかのような錯覚さえ覚えた。

いや…もしかすると新しい生命が生まれている最中なのかもしれない。


こういうファンタジーの世界で冒険者をしたからこそわかるが人の怨念だかが集合すると碌なことにならない。

人が死んだ後放置すると魔素が集まりゾンビになってしまうというのも恨みつらみが集まりスペクターという幽霊系の魔物になるっていう事象もあるのだからあり得ない話ではない。


「名付けるなら…フィッシュフレッシュゴーレムとかそんな感じかな」


フレッシュゴーレム自体別に幽霊系の魔物と関連性は無いが…コレ以外にいい呼び名が思い浮かばない。

それにしても…さっきまで晴れていたのに急に雲が出てきたせいで不穏な空気が立ち上っているように感じる。


「雨が来たら困るなぁ…」


雨が来たら当然波が迫ってくるように高波となるだろうし船で移動しにくくなる。

私が動かす船は手で漕ぐタイプだから体力勝負になるだろう…となると当然の如く体力のない私に勝ち目がなくなってしまうわけで。

いやまぁ飛翔使えばどうにか街には戻れるんだけどね?


とりあえずこの際に釣り上げた魚の料理を作ることにした。

暴食が最近は調子がいいようで何もしなくても腹が空いてくる…そのせいもあってか料理の備蓄がどんどんなくなっていくのだ。

この際に私も料理を学ぶことでもし飽食の胃袋が使えない状況でもそこら辺の草とかで料理を作る事ができるようになりたいというわけだ。


ちょうど図書館で料理の本も読んだし…おそらくいけるはずだ。

色鮮やかな魚のスープは…まぁ料理の本には書いてなかったからしょうがないとして書いてあった料理はいけるはずだ。

何せレシピは覚えているのだから!


「虚空庫から調理鍋とか包丁、まな板を取り出して…と。さてレッツクッキング!」


そう言い放ち私はまな板に載せた魚に向けて包丁を振り上げた。


…少女調理中…


何時間時が進んだろうか?

陽は落ち始め夕暮れが訪れポツポツと雨が降り始めてきた。

コレぐらいの雨が続いて大雨にならなければ楽に街に戻ることも叶う事だろう。


「はぁはぁ…コレが私の全力!」


そう呟きながら大きな貝殻を加工して作られた食器に入った料理を眺める。

その数ゆうに10を超える料理が並べられておりどれも色とりどりの食材が使われている。


「知識さえあれば料理は作れる!…そう思っていた時期が私にもありました」


一口並べられた料理の味見をすると魚本来の青臭い味がしたり生焼けだったようでグジュッとした食感を味わえる。

しかもだそこにこうすれば上手くなるだろうという私のアレンジが追加されており要らぬ塩や香辛料まで入っているから非常に辛かったりしょっぱかったりする。


そうこの私ことレナは料理は前世でもした事が手で数えられるほどしかした事がない。

せいぜい作れるのは作られた麺に適当に野菜と肉を加えソースと和える漢料理の焼きそばぐらいなものだ。

それ以外は当然レトルトか惣菜や現代の至高であるカップラーメンぐらいなもの。


「あぁ…あの頃が恋しい」


今になって私はあの世界に帰りたいと思ってしまう。

料理…それは私にとって難敵であったのだ。

冒険者の最高峰に近く超人と謳われるAランクの敵は料理であった。


そうして私は散らかした器具を虚空庫にぶち込み腹を満たしたところでそれは唐突に起こった。

ここでもわかるほど大きな気配が急に現れたかと思うと雲が月と僅かに見える太陽を陰り雨が強くなっていく。


雲は黒く染まり雷を落とし海はそんな状況をさらに悪くしようと呼応するように全てを飲み込む渦を作り出す。

それによって表面に出てきた魚は飲み込まれ身体が捻じ切られ弾かれたそうにその身体の一部が空を舞う。


明らかな異常だと感じ飛翔で逃げようとしたその時になり雨によって海は荒れた高波を孤島に押し寄せてくる。

私はその高波から逃げようとするがもう遅く…気づいた時には簡単にその海の波は眼前に。


私は波に飲まれてしまっていた。

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