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身体強化を身体に施し海底街へと捕縛した魚人達を置いた後地上へと戻り宿に泊まり夜が明けた。
ちなみにだが縄で捕縛した魚人達は血を吐き出しながら廃人のようになってしまったようだ。
結局のところあの深海の神殿の奥には『生命の源、天の輝き、堕ちる、闇の瞳、上、供物、王、捧げる、封印、信徒、繁栄』という意味深な文章のみで御神体だとかは無かったためその文章を読み解かなければ進めないと言う状況になってしまったわけだ。
とりあえずこの文章を書いた紙を朝にアルキアンに持たせ教皇にその意味を聞きに行っているからこの後のことはアルキアンに任せて私は観光に戻ろうと思う。
ただ…あの深海で見たあの光の玉が気になる。
魚人達に取り憑くようにしていたし…恐らくだが光の玉が魚人達に取り憑くことで神殿内で異形の化け物と化すのだろうと私は考えている。
だが神殿内限定ってのも変な話だと思ったがまぁそれは不完全ながらも封印と結界が作用している結果なのだろう。
封印で地下深くに縛って能力も範囲を減らして結界で教皇が許可したものしか通れなくするといった感じか?
いやだとすると魚人達が平然と神殿の結界内に入ってきたのが気になるが…まぁ多分結界が壊れて緩くなったせいだろうな。
にしても地上で見た薬屋は薬で魔道具のところまで移動させていたが…そこから海底街を通って深海の神殿まで行くとなると魚人族が手をつけているのが薬と魔道具までで後は封印されているモノの力を借りる形になっているってのが不思議だな。
魚人達特攻の薬と魔道具を誰かが出していることになるのが魚人族本人達で後のことは全部封印されているモノに任せている。
コレは神殿に連れていくこと自体を主導している存在がいてそこに利益が無いとできないことだろう。
まさかここまでのことを無償でやっているわけでもあるわけないと思うしな。
魚人達がいなくなることで利益を得ているもしくは無いとは思うがその封印されているやつとなんらかの契約をした奴が魚人達の中にいると仮定するのが妥当だろうか?
「まぁ私がこうして考えても…無駄なんだろうな」
そう呟き海を眺める。
只今の時間帯は日が暮れ月が昇り切った夜ただ一人私は海に釣り糸を垂らし海底街を眺めた。
昼にこの街で大騒動が起き薬屋やその周辺の取り調べが教会の指導の元行われその喧騒から逃げるように海底街が見える海にこうして船を浮かべ釣り糸を垂らしているわけだ。
船は気のいい犠牲となった魚人族の遺族が出した格安の船を買取ったモノだ。
遺族が言うには海に還ったことで我々のことを見守る海の守護者になったと語っていたが…まぁ宗教から来る死という解釈はそれぞれだが死んだ後こうして喜ばれるってのは良いことだと思える反面死んだことで悲しんでもらえないってのもなんだかなぁと思うわけで。
そう死生観のことを思いながら下を見ると離れた所に海底街の光が輝いておりアレもいつか無くなってしまうモノなのだろうと不意に思ってしまった。
今日はアルキアンは宿には帰らないといっていたからこのまま私は海で釣りをすると決めている。
なんでも他の貴族との連携がうまく取れないから会議が進まないとか愚痴をこぼしていたが帰る時にはそこら辺も上手くまとまってこの事件的な何かは収束されていくことだろう。
「お、コレはッ!」
釣り糸が引っ張るような感覚が手に伝わり何かが釣り針にかかる。
釣竿を引っ張り腕力のみで吊り上げるコレが私がやっている釣りのやり方なのだが中々コイツは強いよう…だが身体に力を入れ戦闘術の要領で釣竿ではなく釣り糸を掴み思いっきり引っ張った!
釣り上げたのは…丸々とし身体に棘の生えた河豚のような魔物だった。
コイツは正式名称は覚えてないが確か市場で猛毒丸とか言われて売りに出されていたはずだ。
値段はすごく安く銅貨1枚で売られており誰も買わない海の厄介者として教えられた魚だったかな。
食うにも口に入れれば体が痺れ一日も過ぎないうちに全身に回って苦しみ人族が食べると即死するような毒があり薬にしようにも魚は足が速いため腐ってしまい薬にしたところで何の効果もないものが出来上がってしまうといった生物としてはいけない良いかもしれないが人族にとってはなんの意味もない魚なのである。
「そこらの魚でも好んで食べないみたいだし…リリースだなこりゃ」
そう呟いて身体強化を施した腕を振るい思いっきり適当な場所に投げ飛ばした。
ちなみにだが身体に棘が生えてはいるがその棘は指で曲がるほど柔らかいしかも毒性も無い…但し身体の中には毒があるといった感じだ。
魔物の中では比較的狩りやすく安全に処理できるから初心者用にピッタリだが売値はゼロに等しいらしい。
そのくせ自分より格下の魚卵を積極的に食う習性があるときた…本当海の厄介者にピッタリであると思わんかね。
「ん?あの光っているのは昨日見た光の玉か?」
私が丁度厄介者を投げたその先には光の粒々が海中を照らしており不安定に光を揺らしながら海中を彷徨っている。
前にもあの光の玉を何処かで見たような気がするが…はて何処だったか?
そう考えながらも手漕ぎのボートでゆっくりと光の玉が集まる場所へと移動し出した。




