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孤児のTS転生  作者: シキ
孤児と大罪を背負う英雄
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時は経ち私は甲板へ赴くとアルキアンのことをすぐに見つけられそのまま入国手続きを行い素早く海上国家シーヒルズへと入った。

やはりクラーケンとの戦闘で目立ったせいだろうか貴族からの視線がまだ痛いがそれすら気にせず手続きをしているアルキアンのことを見るとやはりコイツも貴族なんだよなぁと思えてくる。


そして私にはこの視線の中堂々としているコイツは本当に同じ人間という種族なのかと疑問をふと浮かべてしまう…いや貴族には青い血が流れているとどっかの酒場の冒険者が言ってたからな。

もしかしたらステータスの種族に貴人族とか書かれていてもおかしく無い。

そう言えばだが、異世界の定番と言える鑑定なるスキルがこの世界には無い…あってもおかしく無いはずなんだがそれどころかどうやら魔法ですら鑑定の真似事ができない全くどうなってるんだっていう話なのだが。


とそんなことを考えているとアルキアンがこちらに目線を置き私を観察しているのが見え何となく手に持っていた貝殻の装飾品を棚に置きアルキアンの方へと歩いていく。

私達二人は海上国家シーヒルズに入ってからというもの後ろからきた貴族を撒くため商店街に紛れ込み変装を行いその際にどうせ商店街に来たのだから買い物をしようという話になり各自回ることにした。


私は何となく珍しい物はないかと歩き回り黒曜石のように鋭い貝殻の短剣にこのシーヒルズから少し離れた所にある小さな大陸で作られる武器、太刀と短刀を買った…まぁ使いこなせるかなんてわからないから虚空庫の肥やしになるかもだが。

まぁ後は身につけるだけで効果がある魔道具のアクセサリー品を見ていた。

今手に持っていた貝殻の装飾品も魔道具であり耳につけるとさざなみの音がするという洒落た一品であった。


「レナそろそろ時間だよ?」


アルキアンがそう言ってきたため手に持っていた数々の品をポケットにしまうようにして虚空庫の中へとしまっていく。

こうすることで周りからはあんなにたくさん入るポケットは見たことないと思われてしまうがまぁ便利だししょうがないよね!ってことで気にせずにしまう。

ふとアルキアンの方を向くとその手には大きな袋を持っておりここからでも見えるほどその袋ははち切れんばかりに物が詰まっていることが確認できる。


「そんなにいっぱい何買ったの?」


「え?あぁうん…インクとか非常食とかまぁ色々さ。所で…僕のも虚空庫の中に入れて欲しいんだけど?」


「ん…流石にそれはポケットの中には入らないかなぁ」


私がそのお願いをやんわりと断るとアルキアンは項垂れながら渋々と言った感じで手に持つそれを持ち直すと歩き出した。

やはりインクは烏賊の墨を使っているのだろうかとかこの国での非常食ってどんな味がするのだろうかとか考えながらただただアルキアンの後ろをついていくと少し歩いた所でタキシードを見にまとった壮健な男性がこちらへと近づくとアルキアンの手に持つ大きな袋を手に取りどこかへ行ってしまった。

私はその光景にアレって渡して良かったのという視線を送るとアルキアンはその視線に気づいてくれて少し笑いながら言葉を発した。


「あぁ今のはねウチの家の者だから安心してね…今の今まで目には見えなかったけど今回の遠征にはかなりの僕の付き人が来てるんだよ」


そう言われて私は気づく。

確かに家を出る時にメイドとか執事とか他の馬車に乗っていたなと執事とメイドは別の宿に港町で泊まっていたし御者のあの人もそう言えば船の中では見ていない。

主人と共に移動しない更には別行動までするのに付き人とは?と思えるが…アルキアンにも何かしらの考えがあっての付き人の配置なのだろうと考えることとした。


「それじゃあそろそろ僕は貴族としての仕事をしてくるけどレナはどうする?」


「私は…今日はそこらへんブラブラして観光でもしてくるよ」


そう私が言うとアルキアンは何故か肩を下に下げガッカリした雰囲気を見せるが直ぐに頭を振り「そっか…それじゃあ!」と言い放つと足早に去っていってしまった。

まぁ一緒に行った所で堅苦しい貴族との会話なんぞ聞きたくもないし私の行動は確実に正しかったと胸を張って言える…私子供だからね胸なんてないのだが。


…やはり栄養が足りてないから成長しないのだろうか?

周りの同じ歳の子供と見比べても私の身長と体格はかけ離れているし学園で見かけた後輩もその身長は私以上だったからなぁ。

そんなこと今はどうでもいいか…さてアルキアンと一緒に泊まる宿のチェックインにも時間があるしせっかくの外国楽しんで観光してくるとしよう。


「まずは…シーヒルズ独自の神殿とやらにでも行ってくるかな」


そう呟きこの国中心に位置するシーヒルズ教会へと移動することとした。

先の問題となったマデリラ教や周辺国家の主な崇拝対象であるアイゲン教とは違ったこの国独自の宗教のソレにはあんまし興味はそそられないがここから見る教会には何かが有るように思える。


一言で表すならば荘厳とでも言うのだろうかその教会にはまるであの星の神獣と対峙した時の威圧感を感じる。

見れば見るほど教会に目がついてるかのように思えてならない…そう思うほど異質で違和感と共に興味がそそられる。


私は教会を一瞥し誘われるかのような足取りで歩き出した。

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