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26話 ダブルトラップ

「はい、でも、私達の種族はもう何百年も前に滅んでしまいましたけどね」

「私は、その生き残りなんです」

「そ、そうなのか」


俺は驚いていた。

まさか、竜人族の生き残りがいるなんて思ってもなかったからだ。

竜人族は竜の血が流れており、身体能力も人間とは桁違いだ。


「でも、まさかこんな場所で会えるなんてな」

「そうね、私も本物の竜人族を見たのは初めてだわ」


俺の言葉にアリルが続く。


「ふふっ、少し照れますね」


サフィラは頬を赤らめていた。


「それにしても、ここはどこなんだろうねぇ〜」


シルフが周りを見渡して言う。


「そうだな、明らかに何かの遺跡みたいだが」


俺は遺跡の中を歩きながら答える。


「ハイネ様、これからどうしますか?」


サフィラが尋ねてくる。


「とりあえず、外に出る方法を探さないとな」


俺は出口を探しながら歩くが……


「うーん……なかなか見つからないねぇ〜」


シルフが言うように中々見つからなかった。


「確かに、ここってかなり広いものね」


アリルは周りを見渡しながら呟く。


「はあぁ、疲れたよぉ〜」


シルフは大きなため息をつく。


「おい、シルフ。そんな大きな声を出すとまたゴーレムに見つかるかもしれないぞ?」

「別にいいじゃん!見つかったとしても追い払うだけだしぃ〜!」

「そういう問題じゃない」


「ふふっ、二人とも仲が良いのですね」


俺達が言い争っているのを聞いてサフィラは笑っていた。


「そうだよぉ!私達、親友だからねぇ!」


シルフは胸を張って答えた。


「はいはい、分かったから静かにしろ」


俺は呆れた様子で言った。


「ハイネ様、もう少し優しくされてはいかがですか?それではいつか愛想を尽かされてしまいますよ?」


サフィラが苦笑いしながら言ってくる。


「それはないわ、だって私のハイネだし!」


アリルがドヤ顔で言う。


「あのなぁ、いつからお前のものになったんだよ」


俺は呆れて言う。


「じゃあ、誰の物でもないなら私が貰っちゃおうかなぁ〜」


シルフがニヤリと笑って言う。


「あ、あげないわよ!ハイネは私の恋人なんだから!」


アリルは涙目で俺を見てきた。


「まあまあ、落ち着けって」


俺は二人の間に入って宥める。


「ふんっ!」


アリルはそっぽを向いてしまった。


「は、ハイネ様はモテるのですね……」


サフィラは目を丸くしていた。


「何言ってんだ?俺なんかよりもっといい男はいるだろ?」


俺は心底不思議だった。

俺みたいなクズよりもっとマシな男がたくさんいるはずだ。


「そんなことはないですよ、私もハイネ様の恋人に立候補しましょうか?」


サフィラは冗談っぽく言っているが目は本気だった。


「え、遠慮しておく」


俺は若干引き気味で断った。


「ふふっ、残念です」


サフィラはクスクス笑う。


「それにしても、さっきから同じ場所をぐるぐる回ってるような気がするよぉ〜」


シルフが退屈そうに言う。


「確かに、いくら歩いても何も変わらないな」


俺は立ち止まって考える。


その時、 ガタンッ!! 突然、床が抜けて落ちた。


「うわっ!?」

「きゃあっ!?」


そして、そのまま下へ落下した。


────── しばらくすると、地面に着いたようだ。

幸いにも怪我はしていないようだったが…… 周りは石の壁で覆われており、上を見ると穴が空いていた。

どうやらここから出られないらしい。

しかも、俺達は閉じ込められたみたいだ。


誰かが来る気配もない。

完全に孤立してしまったわけだ。

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