25話 竜人族
「開いたぞ!」
「本当ですか!」
サフィラは目を輝かせながら言ってきた。
「嘘だったら承知しないわよ!」
アリルは強気な態度だが、どこか嬉しそうである。
「さすがにここまで来たらいけるでしょ〜」
シルフも楽観的である。
「じゃあ、行くか」
俺達は壁の向こうへと進む。
しばらく進むと道が広くなっていき。
そこには広い空間が広がっていた。
「ここが地下牢の終点か?」
「みたいですね」
サフィラも辺りを見渡している。
「なんか、広々としていますねぇ」
「そうだねぇ〜」
シルフとアリルは呑気に会話をしている。
「おい、何か来るぞ」
俺は天井の方を見ながら言った。
「え?」
アリルは上を見る。
すると、上から巨大な物体が落ちてくる。
「侵入者ハッケン、破壊スル、破壊スル」
巨大なゴーレムが俺達の前に現れた。
「おいおい、こいつはやばいかもな」
俺は冷や汗を流していた。
「ここでも精霊術は使えないみたいよ?」
「ヤバヤバだねぇ〜」
アリルは精霊術が使えず、シルフは相変わらず呑気である。
「ハイネ様、ここは私にお任せを」
サフィラは丸腰のままゴーレムに近づいていく。
「おい、無茶すんな」
俺は止めようとする。
「大丈夫ですよ」
サフィラは微笑みながら言う。
「破壊スル」
ゴーレムがサフィラに殴りかかった。
「危なっ……!!!」
しかし、サフィラはそれを片腕で受け止めた。
「なっ!?︎」
俺達は驚いた。
あの細腕で、しかも片手だけで、ゴーレムの攻撃を防いでいるのだ。
「グガァッ!!」
ゴーレムはもう片方の腕を振り下ろしたが、それも簡単に受け止められてしまった。
「無駄です」
サフィラはそのままゴーレムを投げ飛ばした。
「破壊スベキモノヲ発見、コレヨリ排除ニ移ル」
ゴーレムは再びサフィラに向かってくる。
「そんな単調な攻撃では私は倒せませんよ?」
サフィラは余裕の表情で言う。
「サフィラ強いねぇ!」
「そうね、とても人間とは思えないわ」
シルフとアリルも見入っていた。
「破壊スル」
ゴーレムはサフィラの周りを走り始めた。
「ハイネ、あいつは何をしているの?」
アリルが不思議そうに聞いてきた。
「多分だけど、あいつはサフィラを惑わそうとしてるんじゃないか?ほら、よく見ると結構速いだろ?」
俺は走り回っているゴーレムを見ながら言う。
「なるほどぉ〜!頭いいんだぁ!」
シルフは感心していた。
しかし、サフィラは一向に動じる気配はない。
「破壊スル」
ゴーレムはサフィラの後ろから襲いかかる。
「甘いですね」
サフィラは振り向くことなく、拳でゴーレムの頭を殴った。
バキィッ!
ゴーレムの頭は砕け散った。
「…………」
俺達は呆然とした。
この女、強すぎる!!︎
「皆様、お怪我はありませんか?」
サフィラは涼しい顔で俺達に尋ねてきた。
「え、えぇ……」
「大丈夫だよぉ〜!」
「それより、あんたの正体は何なんだ?ただの人間とは言わさねえぞ?」
俺はサフィラを睨む。
「はい、私は竜人族の末裔です」
「「「りゅ、竜人族?」」」
サフィラは俺達の反応を見てクスっと笑う。