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24話 隠し通路

「ところで、写真の少女の事をなんであんたが知ってるんだ?」

「私、耳がいいんです」


サフィラは自分の耳をちょんと触った。


「はぁ?」


「実は、街の中でミノス達の話をこっそり聞いてしまいまして」

「えぇ!?」


俺とシルフは驚いた表情を浮かべる。


「それで、気になってしまって、ついここまで来てしまいました」

「そ、そうなんだ……」


なんかこの子天然っぽい。


「でも、このままじゃあんたも殺されちまうぞ?」

「そうなんですよね。どうしようかと悩んでいます」


随分と呑気な子だな。


「ミノス達は儀式がどうこうって言ってたよぉ」


シルフが会話に参加する。


「そうですか。儀式……一体どんな儀式なのでしょうか……」


サフィラは心配そうに呟いた。


「……」


アリルは無言で地面を見ている。


「アリル様、でしたよね?」

「え、えぇ、何かしら?」


アリルはサフィラに声をかけられて顔を上げた。

すると、サフィラは突然アリルを抱きしめた。


「な、な、な、何をするのよ!」


アリルは顔を真っ赤にして慌てふためいている。


「アリル様、可愛いですね」


サフィラは抱きついたままアリルの頭を撫でている。


「ちょっ、やめ、やめてぇ!恥ずかしいわ!!」


アリルはじたばた暴れているが、全く効果は無いようだ。


「ふふ、やっぱり柔らかいです」


サフィラは微笑んでいる。


「ひゃぅ!!もう許してぇ!」


アリルの顔はさらに赤くなっていく。


「うわわ、大胆だねぇ〜」


シルフは頬に手を当てながら言った。


「何やってんだ、お前ら」


俺も呆れながら見ている。

しかし、美少女二人がハグしてる光景はなかなかの絶景である。


「アリル様、元気出ましたか?」

「……え、え?」


サフィラは体を離す。


「不安な時は、誰かに抱き締められると落ち着くって言いますので」


微笑みながら言った後、「私の母がよくしてくれたんです」と付け加えた。

アリルはまだ状況を理解していないようで放心状態になっている。


「アリル様?」

「あっ、うん、平気よ……」


アリルは胸に手をあてたまま俯いていた。


「あの、大丈夫ですか?具合が悪いなら……」

「本当に大丈夫だから!気にしないで!」


アリルはサフィラを両手で制止しながら答えた。


「それなら、いいのですけど……」


サフィラは首を傾げていた。


「とりあえず、話を戻そうぜ?」


俺は話の流れを変える事にした。


「そうだねぇ」


シルフが同意した。


「じゃあ、まずどうやってこの牢屋から脱出するか考えようぜ?ここにいたら俺達は全滅だ」

「そうですね」


サフィラはうーんと腕を組んで考えている。


「あ、ハイネ、こっち来てぇ」


シルフが隅っこの方を指差している。


「なんだ?」


俺はシルフに近づく。


「これ見て」


シルフは壁にある文字を指し示す。


「これは?」

「多分、隠し通路があると思うんだぁ」


シルフは得意気な表情で言う。


「へぇ、よく分かったな」

「えへん」


シルフは胸を張る。


「でも、どうやったら開くんだろうな」

「そこなんだよねぇ〜。鍵穴も無いしぃ」


シルフはうーんと考えている。


「よし、ここは一つ、古典的な方法でいこう」

「古典的?」


シルフは不思議そうな顔をしていた。


「こういうのは大体、壁にスイッチがあったりするだろ?」

「あるかなぁ?」

「まぁ、物は試しだ。やってみよう」

「わかったよぉ」


シルフが俺の横に来た。


「ちょっと!本当に大丈夫なんでしょうね?」


アリルが心配そうに聞いてくる。


「ああ、任せてくれ」


俺は自信満々に答える。


「ハイネ様、それは一体どういう方法なのですか?」


サフィラが興味深そうにこちらを見てきた。


「例えば壁の、この色が違う場所とか怪しいだろ?」


俺は一つの箇所を指差しながら言う。


「確かに、言われてみればそうですねぇ」

「つまりそういう事だ」

「どういう事でしょう?」


サフィラは頭に「?」マークを浮かべている。


「こうするんだよ!」


俺は思いっきりその部分を殴った。

ドゴォン!!!という凄まじい音が響き渡る。


「えっ!?︎ちょっ!!︎何やってるの!!︎」


アリルは驚いているようだ。


「これで開くはずだ!」


俺は振り返りながら言った。

ゴゴゴ、という音が鳴り、目の前の壁が動き出した。

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