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19話 空の旅

俺達は今、とある場所を目指して空を飛んでいる。


その目的地とは、魔族領にあるという『闇の城』である。

なぜ、俺がそんなところを目指しているかというと、風の精霊シルフと約束したからである。


それは少し前の事だ。


あの後、俺達はストーンドラゴンがいた山を後にして、次の街を目指していた。


その道中、シルフが俺達に話しかけてきた。


「ねえ、みんなぁ」

「ん?」

「どうかしたのか?」

「あのね、お願いがあるんだけどぉ」

「何だ?」


「私と一緒に来てくれないかなぁ」

「どこにだ?」

「魔族の国へ」

「えっ!?」


アリルは驚いている様子だった。

無理もない。

この世界に住む者にとって、魔族は恐怖の対象だからな。


「ど、どうして、私達が魔族の国に行かないといけないのよ?」


アリルは動揺を隠しきれず、声が震えていた。


「うん、実はねぇ、風の噂なんだけどぉ、魔族が他の国を侵略しようとしてるみたいなんだぁ」

「他の国を侵略って……」

「で、でも、それって、何百年も前の話じゃないの?」

「それがねぇ、最近になって、また戦端が切られたみたいなんだぁ」


「まさか、イフリートの復活に関係が?」

「さすが、アリル!鋭いね。そう、イフリートが復活したことで、魔族が動き出したみたいなんだよぉ」

「そうなると、俺達にも無関係じゃないな」


「うん、だから、お願い」

「わかったわ。一緒に行きましょう」

「アリル!?本気なのか?」


俺はアリルの決断に驚いた。


「ええ、シルフの力になりたいもの」

「ありがとう!アリル!」


シルフは嬉しそうに感謝の言葉を口にした。


「ただし、条件があるわ」

「えっ?条件ってぇ?」


シルフは首を傾げた。


アリルは真剣な表情でシルフを見つめながら言った。

その視線を受け、シルフも真面目な顔つきになる。

そして、アリルはシルフに向かって言った。

その内容は……。


「一つ目は、そこに行く目的を教えること。二つ目は、単独行動はしないこと。三つ目は……命が危うくなったらすぐに逃げること」


アリルは人差し指を立てながら説明する。


「なるほどぉ、わかったよぉ!」


シルフは元気よく返事をした。


「目的は偵察だよぉ!風の噂が本当かどうか確かめに行きたいんだぁ」

「なるほどね、もし本当なら四大精霊である私達も狙われる可能性があるわけだし」

「私も、ハッキリさせておきたいわ」


「よし、じゃあ、出発しようぜ」


俺はそう言い、歩き出す。


「ちょっと待ちなさいよ!」


アリルは俺を呼び止めた。


「どうした?」

「どうした?じゃないわよ!魔族の国まで歩いて行くつもり?」

「他に方法でもあるのか?」

「私の風の精霊術でひとっ飛びだよぉ!」

「そうか、忘れてたぜ」


俺はポンと手を叩く。


「あなたねぇ、本当に大丈夫なの?」


アリルは呆れ気味に言った。


「大丈夫だって、じゃあ、頼むよ」

「はーい」


シルフはそう言うと両手を広げて、詠唱を始めた。

すると、俺達の体はあっという間に浮かび上がった。


「きゃっ!?」


アリルは驚きの声を上げる。


「お前、まだ慣れないのかよ?」

「仕方ないじゃない!私は水の精霊なんだから、空を飛ぶのは専門外なの!」

「仕方ないお嬢様だなぁ」


俺はアリルの手を握ってやった。


「ひゃうぅ!?」


アリルは変な声を上げて顔を赤くする。


「何だ、その反応?まさか、照れてるんじゃないだろうな?」

「そ、そんなわけないでしょう!?」

「なら、いいじゃないか」

「よ、良くないわよ!」


俺達はそんなやり取りをしながら、空の旅を満喫していた。

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