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17話 風の精霊シルフ

「ハイネ〜!あーつーいー!」


俺が目を覚ますと、アリルの顔が目の前にあった。


「この街、暑くて死にそうよ!私は水の精霊だから暑さには弱いのよ」

「うるさいな、暑いなら離れて寝ればよかっただろ?」

「だって、あなたと一緒じゃないと眠れないもの」

「まったく、お前は子供かよ」

「あら、私に魅力を感じないっていうの?」

「そういう問題じゃねーっつの」


俺はため息を吐きながら起き上がった。

アリルは不満そうな表情を浮かべながらベッドの上に座っている。

このやり取りも何度目だろう? 初めて会った時からずっとこんな感じだ。

まあ、今となっては慣れたけど。


「はあ、もういいから、早く支度しろよ」

「分かったわよ。全く、あなたは私の旦那様なんだから、もっと優しくしてくれてもいいと思うんだけど?」

「はいはい、分かりましたよ」


俺は適当に返事をしながら、アリルの着替えを見ないように窓の外を見る。

外はまだ薄暗い。


「ほら、さっさと行くぞ」

「うん」


俺達は宿を出て街を歩いて行く。


「ねえ、どこに行くつもりなの?まだ朝早いし、何も見えないわよ?」


隣を歩くアリルが首を傾げながら聞いてきた。

確かに、今は太陽が昇り始めたばかりで辺りは真っ暗だ。

俺達がこれから向かう場所は、街の中心。


何故そこに行こうとしているのかと言うと――


「ねえねえ、答えなさいよ」


「いいから黙ってついてこいって」

「わ、分かったわよ……」


俺は少し強引にアリルを連れて目的地まで歩いた。

しばらくすると、目の前に水辺が見えてきた。


ここは街の中心にある小さなオアシス。


街の住人はここで水浴びをしたり、魚釣りをしたりする。

俺は、その湖に向かって手を伸ばした。


その瞬間、俺の手を中心に水面が波紋を描き始める。

やがて、湖の真ん中に光が集まり、それは徐々に人の姿へと変わっていく。


「…………」


現れたのは、肩にかかるくらいの長さの緑色の髪をした、見た目は10歳くらいの小さな少女だ。

彼女は俺を見て、にぱーっと笑顔を向けた。


「良かったぁ!気付いてくれたんだねぇ!」


その少女は俺の前に来ると、頭についたアホ毛をピョンピョンさせながら喜んだ。


「やっぱり、昨日の頭痛はお前のせいだったんだな」

「そうだよぉ!助けに来てくれてありがとぉ!」

「まったく、毎度毎度俺を呼び出すなよな」


「だってぇ、君しかいないんだよぅ。それにぃ、君のこと気に入ったからぁ」


「はいはい、ありがとよ」

「えへへぇ」


俺と少女のやり取りを見て、アリルは状況が掴めず困惑している様子。


「な、何なの、この子…………?」

「ああ、紹介するよ。こいつは風の精霊シルフだ」

「よろしくね、お姉さん!」

「え、えっと…………よろしく…………」


アリルは戸惑いながらも挨拶を交わした。

四大精霊と言えでも全員が顔見知りな訳ではないようだ。

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