小説家になろうに一度戻ってきた話。
そんなわけでマグネット!の活気がなくなりマグネット!への熱も少し冷めて、改めて小説家になろうを調べるために戻ってきた。
小説家になろうのデータをひたすら分析しようと決意した。
とあるスコッパーの備忘録でもデータ分析はやったけど、小説家になろうを全部を調べてみたわけではない。その当時はできることも少なかったし技術もなかった。ただ、マグネット!で活動していてデータ分析をしているうちにその技術も手に入れることができた。なので全作品、ユーザー、手に入るありとあらゆるデータを集めて、あらゆる角度からなろうを分析することにした。
そんなわけで作ったのが、小説家になろうを知ろう、だ。
あの時の私は今から見ても頑張っていたなぁと思う。
たまに見返してちょっとびっくりする。当時の私、頑張りすぎじゃない?と見返しながら思う。グラフも凝って色々と試したりしたし、これのおかげでグラフ作成能力がぐんと上がった。
ただ、その作品もマグネット!で活動していなかったら作ることができなかったと思うので、マグネットに行ったことは間違いではなかったのだと今は思っている。
そんなわけで、これまでざっくりとしか理解していなかった部分を徹底的に調べた。なろう小説APIだけではなんともならない部分はスクレイピングで取得した。負荷をなるべくかけないように、統計的手法による抜き出しで推定した。なろう小説APIで取れる部分は全部とった。
それらを加工してユーザーも含めて分析した。
使ったグラフは100を超えたし、エクセルのデータは数百Mになってとても重たくなった。数十万件のデータ分析はかなり労力のいるものだった。
まぁ、苦労したおかげで色々なことがわかった。
ランキングの攻略法も大体わかった、各数値がどんな感じの分布になっているかもわかった。これまでのよくわかっていなかった部分が可視化されて小説家になろうという存在がとてもクリアになった。
小説家になろうを知ろうは自分だけではなく、他の人も知りたかったことみたいで、多くのレビューをいただいたし多くのブクマもされた。
その他のジャンルで現在でもレビュー数2位という素晴らしい結果を得た。
そんなわけでなろうという存在を深く知ることができた。そして気付いたのは、ランキングは単にブックマークされた数と評価された数の合計だということだ。
当たり前のことなんだけど、ランキングというシステムはそれだけなのだ。それが全てなのだ。
このシステムはとても単純なのだけど、大量のユーザーがいる場合はとても強力な武器になる。それが小説家になろうの一番の武器。
評価される、ブックマークされるためには、まずリンクを開いてもらうことが必要。
タイトルを長くするのは、どんなものか判断してもらうため、リンクを開かせるための情報は短文では成しえない。あらすじを多くしてもスマホ版ランキングでは最初は表示されない。
データを集めて出てきた結果は当たり前の事実をひたすら突きつけるものだった。なろうという場所の本質がわかったような気がした。
その結果を踏まえて、マグネットもひたすら分析してみた。それでわかったのは、ほとんど傾向は変わらないということ。人気ジャンルは人気であり、それは結局好む人の分布を表しているだけ、なろうからきた人が多ければ結局それはなろうの好みを表している。
統計的にも自明だった。
結局なところ、マグネット!の一番の悪手は収益のためのランキングを実装してしまったことだと思う。収益化したり不人気ジャンルを盛り上げたりするのは別にいいのだが、それをランキング化してしまうことは更なる格差を生むだけなのだ。
何かに値段をつけるということは、その価値が決定される。
例えば小説を書いて100円投げ銭されたとする。そうなるとどの程度の価値がついたかがはっきりわかる。それがランキングでハッキリわかってしまうのは格差しか生まないのだ。
商業的に売れるものが見られるし、見られないものは価値がないように見えてしまう。実態は別としても、仕組み上仕方ない。商業化で収益を出す仕組みならさらにそうであろう。
別に競い合っていくことが前提の小説投稿サイトならばよかったかもしれないが、マグネット!が掲げた目標はそうでない。
ランキングというシステムを使う限りなろうの呪縛からは逃れられない。もしも逃れたいのであればランキングを使うことをやめなければならないのだ。色々と調べてわかったのはなろうから逃れたいのであれば、なろうと同じ土俵に上がってはいけないということ。
結局マグネット!がなろうと別にいくのならランキングという仕組みは撤廃する必要があったのだろうなということがわかった。
まぁ色々と調べてわかったし、勢いも無くなっていたのでマグネット!ずっと連載していたエッセイを閉じることにした。
これ以上やってもあまり変わらないし、これ以上分析した結果を載せるとユーザーにも酷いことがわかるので運営としてもあまり歓迎されないだろうと思ったからだ。事実、エッセイを読んでマグネットへの投稿を辞める人もちらほら見かけた。
そして終わらせることに決めてエッセイを完結させた。多くの人が完結の際にコメントをくれたけどちょっと胸が痛かった。盛り上げるために書いたエッセイが他の小説よりも読まれて、マグネットの現実を晒すことになってしまったのだから。
そんなわけでマグネット!に使っていた時間分、やれることができたので次なる分析を始めた。次はカクヨムを分析することにした。理由としては、カクヨムの実態をほとんど知らなかったので、どんなところか一度調べたかったから。
そんなわけで作ったのが、カクヨムを『ゆっくり』データ分析してみた。である。
小説家になろうと比較できるように、できそうな部分のデータを集めてみた。詳細はエッセイを見てもらえばわかる通り、小説家になろうとほとんど傾向は同じだったのだ
システムが違ってもそこまで統計的には変わらない。それは予想していたけど事実だった。結局なところWeb小説を書く人の特性は小説家になろうを見れば大体分かるということ。
新興小説投稿サイトを作る人は一度小説家になろうを調べてから作るのがいいと私は思う。
ランキングは取り入れるのは簡単だけど、効果的に使うには大量のユーザーが必要。
競合が少ない昔ならともかく今は本当に難しい。
小説家になろうが強いのは大量のユーザーとシンプルな仕組み。