小説投稿サイトが好きだという話。
小説投稿サイトは不思議な空間。毎日毎日、多くの物語が生み出され紡がれている。同じように見えて少しずつ違った物語が新着欄に並ぶ。
小説投稿サイトにはいろんな人がいて、いろんな価値観を持っている。学生やサラリーマン、主婦、お年寄り。色々な年代の人がいて、住んでる場所もみんな違う。多くはないけど国内だけではなくて海外に住んでる人もいる。もちろん小説投稿サイトなので出版経験のあるプロの小説家もいる。小説家になりたいと思っている作家の卵もたくさんいる。作家だけでなく生み出される物語を心待ちにしている読者も多い。
小説投稿サイトにはファンタジー、恋愛、文芸、SF、エッセイ、詩、二次創作、いろんなジャンルのいろんなお話が多く存在する。また、毎日毎日新しく生み出されている。毎日違う物語が生まれ、飽きることがない世界。何もしなくても好みの話が供給されていく。そんな小説投稿サイトが私は好きだ。
小説投稿サイトの中でも一際巨大な小説家になろうでは年間10万作品以上投稿されている。
これは小説家になろうの作品を投稿開始年別に並べたグラフだ。2020年に投稿された作品は10万作品を超えている。(※2021年10月時点で存在している数)
実は年間10万作品といえば日本国内の年間出版点数を上回っているのだ。
概ね7万点が日本で発売される数である。これは絵本や図鑑、事典も含んだ数である。
小説家になろうという存在が1年間に生み出す作品は、すでに日本で発行される1年間の作品数よりもはるかに多いのだ。
そしてなんと総文字数は360億文字を超えている。10万文字を単行本一冊と換算すると360万冊分の本があると言える。
普通の人では一生かかっても読み切れないくらいの物語が既に存在しているのだ。
200万人を超える人が登録し、数十万人の作家が存在していればどんな話だって大抵探せば見つかる。入り浸るのも当然なのかもしれない。
小説家になろう以外にも数多くの小説投稿サイトが存在する。カクヨム、魔法のiらんどやエブリスタ、アルファポリス、pixiv、ハーメルン、野いちご、等々。
日本国内でも100を超える小説投稿サイトが存在する。だが、よく知られているのはその中でもせいぜい20程度だろう。
ほとんどのところは、その存在を知られることなく、ひっそりと運営されている。
また小説投稿サイトと一言で言ってもいろんな形式がある。多くの人が小説と言っているのは文字だけで構成された物語の形式。
しかしながらWikipediaではこう書かれている
@小説の定義
”小説は作者が自由な方法とスタイルで、人間や社会を描く様式。フィクションは、散文で作成された虚構の物語として定義される。”
https://ja.wikipedia.org/wiki/小説
定義に基づくと規則や句法にとらわれずに書かれた物語を書いたものであるため、大きな枠でみると、掲示板や、チャット形式、リレー形式、ゲームブック、オーディオブック、ノベルゲーム、ビジュアルノベルなど様々な形式の小説が存在する。
どれも物語を紡いでいる点では変わらない。ここではそれらを含めて小説投稿サイトとして扱っている。
そんな多彩な小説投稿サイトだが、数が100を超えると言っても半分くらいは生きているけど死んでいる。運営がもう運営することを諦めて放置されているところも多い。半分程度はもう管理放棄されているようなもの。
もう改善されず、既存の技術が使えなくなったり、セキュリティの問題を抱えていつ死んでもおかしくないところが大半なのだ。
死んでいくサイトもあれば生まれるサイトももちろんある。近年では年間10を超える小説投稿サイトが生まれている。
そして同じくらい閉鎖、または放置されていく。今も健全に運営されているのはほんの一部でしかない。
有名な企業が参入しても閉鎖されるこの世界は多くの死屍の上に成り立っている。最初はケータイ小説が覇権を握り、理想郷が有名になり、それらが没落し、そしてなろう小説と呼ばれるジャンルが有名になった。最近ではチャット小説が人気になったり、音楽とコラボするところが流行った。また直近ではコミカライズや映像化するための原作としての小説が求められている。
小説投稿サイトのトレンドはいつも変わり続けている。
2010年代半ばからは、多くのものがWebへと移動してきている。大手の出版社も参入してきている。ただ、大手といえど生き残るところは少ない。それでもまだまだ参入していくところは多いのだ。
生き残るのが難しいとわかっていて参入していく、それが小説投稿サイトというものなのだ。
そして私も、小説投稿サイトに魅せられた1人。
小説投稿サイトに魅せられてここ数年はログインしない日がないくらい入り浸っている。小説投稿サイトをひたすら歩き回り、データを集め分析し、業界を渦巻くトレンド、過去の出来事を集めまくった。余暇時間の大半を小説投稿サイトに使った。
そして今年ついに小説投稿サイトを作った。作れるようになったのだ。
良い機会なので作るに至る経緯や私と小説投稿サイトとの関わり、そして作ってみて思ったことなどを備忘録として残しておくことにする。これまでの振り返りから作ったものをどういった方向性で扱っていこうか方針を決めたいと思う。
これは小説投稿サイトを作ってしまった私の、ヒトリゴトなのだ。
こんな感じのヒトリゴトが続きます。それでもよければお進みください。